3. 皇太子のおもちゃ
「クッ……クックッ……クッ……」
目の前のメリー皇太子が突然笑い出す。そんなに強い『威嚇』を放ってしまったのだろうか?
「えっ……だ、大丈夫?」
幸せを目の前にして、相手を廃人にしてしまったのだろうか。そんなことになったら、メリー皇太子を殺して、私も死ぬわ。
皇太子が顔を近付けてくる。キスかな……と思ったら横にそれていく……なんだあ……
何だって何だ……何を期待してるのよ……
「だいじょうぶだよ。君の七面相があんまり可愛くてつい、見とれてしまっただけなんだ。」
皇太子は私の耳元で囁いてくる……ぞぞっ……少し低い声で囁かれたものなんだから……首筋に寒気が走った。
そうよ。皇太子はじっと私のことを見つめていただけじゃないの。それを勝手に解釈して赤くなったり、青くなったり……
いやあー! 恥ずかしすぎる!! 恥かしくて悶える!!!
でも肝を冷やしたわ。気をつけないといけないよね。
なによ。もう。
こんな意地悪な面もあるのね。異性とのお付き合いは相手が1枚も2枚も上手なのは分かっていたけど……オモチャにされるなんて思わなかったわ。
オモチャにするのはもちろん大好きだけど……オモチャにされるのも、まんざらでは無いわね。
癖になったら、どうしてくれるのよ!
「イジワルね……」
私は頬を膨らませてみせる。
「ゴメン、ゴメン! 君の表情は一瞬たりとも見逃したく無くて、本当に申し訳ない……」
再び間近で視線を合わせながら囁いてくる……もうなにをされるかと、胸がドキドキしてきた……
いいわあ……。なんて響きのいい言葉なんでしょ。本当に悶え狂わせるつもりなの……
言葉攻めの次は何かしら、ソコに愛があればなんでも許してあげるよん。
「あっ……ああ…あっ……」
そこで初めて、膝から太股に掛けてソッと撫でてくる。師匠がいいせいか、撫で方もタイミングもピッタリだ。これだけ焦らされれば、気持ち良くないわけがないのよね。
「あん」
強弱の付け方もいいわね……やってもらって一番気持ちよかったところみたいね。ただ女性の場合は多少演技が入るから、反応がいいからって、ソコばかり撫で回さないほうがいいわよ。
「ん……ぅ……ん……ぁ……ひっ……」
まだまだってところかしら……こんなに簡単に演技にだまされるようじゃ。免許皆伝ってわけにはいかないみたいね……