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腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第3章 恋する乙女の悪役令嬢
23/59

2. 悪役令嬢の乙女心

 うわーっ。睫毛長っ。


 ジッと見つめられると途端に自分に自信が無くなってくる。自慢じゃないが容姿には自信が無い。前世で培ったメイクアップ術も現世では通用しない。なにせ、塗るタイプのつけまつげも無ければ、黒コンタクトも無いのよね。もちろん、BBファンデも無いからパテ埋めもできない。


 魔王討伐の際、日焼けにも気を使わなかったから、細かいシミも沢山出ている。


 今まで『勇者』で選ぶ立場だったから全く気にしなかったけど……こんな小娘のどこが良かったのだろう。


 こんなんだから、軽く見られて浮気されるのよね。今度こそ、いつまでも可愛いっていってもらえるように頑張らなきゃね。


 見つめられ続けると悪いほうへ考えが向かっていってしまう。どうした私、そんな性格じゃなかったはずなのに……


 もっと、ポジティブシンキングだったはずでしょ。誰にも負けない手技があるじゃない。それに夢中になっているはずよ。もう私から離れられなくなっている……はず……でしょ……


 動かないわね。もしかして触られるのを待っている?


 でも、この甘々な雰囲気を壊したくないなあ。


 そんなに見つめられ続けると……ネズミになったような気分。すっごく逃げ出したくなってしまうじゃない。


 やっぱり、触ってあげたほうがいいのかな。今ここで始めちゃったら、歯止めが効かなくなりそう。まだ正式に皇太子の奥さんになったわけじゃない……それどころか……プロポーズの返答さえしていないじゃないの……


 何やってるのだろう……でも、今ここで、こちらから言い出すのも変よね。


 今ここで求婚っぽい言葉を言ってくれれば、どんな言葉でも、貴方の奥さんになってあげるって言うのに……ああ、ダメダメ、上から目線だわ……メリー皇太子との関係は、ずっとリードを握っていたから……こうなっちゃっているのよ。


 もっと下手に出て可愛い奥さんを目指さないと……もちろん、夜の主導権は握るけど……あのイイ声は毎晩……いや相手は皇太子だから側室を持つはずだから週1回でいいから……やっぱりイヤ……何がなんでも、この人を独占したい……


「あ、あのう。お嬢様……」


 リオーネ……そこに居たの!? うわっ!! 恥ずかしい!!!


 顔から火が噴きそうだわ。居るなら居るって言ってよ!


「……コホン……なに?」


 咳払いでごまかしてみる。そうよね、傍に居て部屋の扉を開けてくれたのですものね。


「……もしかして『威嚇』が効いてません?」

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