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腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第3章 恋する乙女の悪役令嬢
22/59

1. 悪役令嬢の初体験

 あれっ、空中遊泳している?


 何かふわふわとしたいい気分だなあ。これは夢の世界かな。いつもの悪夢とは全く違うみたい……


 でも身動きが取れない! でも金縛りでもない。ほら、手足は動くじゃない……


「お嬢様。そんなに足を振り回すと落ちてしまいますよ。」


 どこからか、リオーネの声がする……リオーネ、リオーネ…


「リオーネ……どこ?」


 気がつくと本当に浮いていた。顔のすぐ近くには、メリー皇太子の凛々しい横顔があった……


「起きてしまったのかい……私のお姫様……首に捕まっていておくれ。」


 背中と膝が抱えられていた……………いわゆる、お姫様抱っこらしい。彼氏を作らずにオタク街道まっしぐらだった前世はともかく魔王討伐の『勇者』となった現世を通しても初めての体験よ。


 私は恐る恐る、言われた通りに皇太子の首をかき抱く。わお、この密着具合がなんとも……いいわあ。


「きゃっ。」


 少し揺れただけでワザと悲鳴をあげて、くっついてみたの……私の胸辺りが押しつぶされてしまっている……真っ赤になったメリー皇太子の顔ったら……可愛いわあ……


「可愛いお姫様……もう少しで部屋につくから、おとなしくしていてね。」


 そう言って、メリー皇太子は私の額にキスをひとつ落とした。


 わーお、ひとつひとつの仕草が洗練されている。こんなことを素で出来るなんて、天性の誑し……か……生まれながらの皇子様しかできないよね。


 その皇子様が私にプロポーズしているなんて……前世の自分なら夢にも思わない。逆に鼻で笑ってバカにしたかもしれない。こんな場面に遭遇するなんて……しかも、当事者だなんて……


 こうやって必死に茶化さないと……きっと頬が火照っている。真っ赤になっているよね。


 メリー皇太子は、人を抱えているにも関わらず、全くふらつく事もなく部屋までたどり着いた。


 前世の自分なら……夏と冬の同人誌即売会の売り子になるためダイエットに励んでいたから……そこそこ軽かっただろうけど……大手サークルとは違って個人だったからバッチリメイクと痩せていることは必須だった。スッピンや太っていると軽く見られる。まあ有名作家のアシスタントみたいにデパートの化粧品コーナーの店員並みのスペックは必要ないけど……現世は魔王討伐のため筋肉体質になっているから重たいに違いない。


「あっ。ごめんなさい…………ん…ん……ふぅ……ちゅ…………」


 ベッドの上に置かれるときに首に回していた手を離すタイミングを間違えてメリー皇太子ごと倒れ込んでしまう。間近に整った顔を見ているうちに引き込まれるようにキスをした。


 そして、またしても離れるときに音を立ててしまう。仕方が無いでしょ。慣れて無いんですもの……


 メリー皇太子は腕立て伏せの体勢で私の顔を見つめている。さっきのキスで寝ているときに出していたであろう涎の跡とか取れているといいんだけど……


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