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腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第2章 溺れた皇太子
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7. 元婚約者への復讐

今回、次回と恋愛シーンが濃いです。

屈辱的『ざまぁ』なので、男性はご不快に思うかもしれませんのでご注意ください。

 まずは、軽くジャブからいってみようかしら。


「今の私は何をするかわからないので、お母様は一人で乗ってくださいね。」


「えっ……」


 私は強引に話を決めるとメリー皇太子の従者の手を借りて、母を馬車に押し込んでしまう。実は母は寂しがりやなのよね。誰かが常に傍にいないと何も考えられなくなってしまうらしい。一見、私の手から逃れられたかのように見えて一番の罰だったりするのよね。


 いくら寂しいからってベッドの中まで他の男を連れ込むのはどうかと思うけど、これが母の習性だからなあ。そう妊娠したのは2回目だけど、私が知っているだけで家の中へ知らない男を連れ込んだことが数回ある。私が知らないだけで浮気もしているに違いない。


 ただベッドの中へは男だろうと女だろうとどうでもいいらしく。私が親離れを始めると侍女たちや小姓たちが犠牲になった。リオーネも一度連れ込まれたことがあるらしい。


 ハミルトン王子が安心した表情になった。流石に変な誤解はされなかったと信じたい。


「ハミルトン王子はこちらに……」


「私にいったい何を!」


 罰を与えろ! と言ったくせに母と引き離されるとなると生来の臆病癖が顔を出すらしい。


「別に何もしませんよ。そうですね。メリー皇太子といちゃつきますので目隠しでもしてくださいね。」


 猿轡をさせれば、もっとそそるんだけど流石に無理よね。


     *


 馬車に乗り込む。


 普通の人間でも目隠しをされると他の感覚が鋭くなって感じ方が変わってくる。それを精神感応を持つハミルトン王子に応用したら……。あとはメリー皇太子がイイ声を出してくれるかどうか……チラリと横目でメリー皇太子を見ると期待で目が潤んでいる……気が早いよ。全く。


「少々無防備になるんで、若干拘束させてもらいますねハミルトン王子。」


「あ、ああ。」


 私はリオーネに言ってハミルトン王子に抱きつくように言う。


「ええっ。本当にいいんですか? どんなふうに抱きつけばいいでしょうか?」


「そうね。ハミルトン王子に膝枕してもらって……いやいやいや、もっと密着して……腰に手を回して、そうそうそんな感じ……」


 初めは遠慮して膝に少しだけ頭を乗せようとするリオーネに両膝の中央部分に頭を持っていってもらう。


 これでリオーネの思考が流れ込んでいるはず。多少邪魔なものがあったほうが逆に神経ととがらせて精神感応能力に集中しようとするはずだわ。


 目隠しをしたハミルトン王子の隣にメリー皇太子を座らせ、さらにその隣に私が座る。この馬車、中が広くて助かった。流石は王族専用の馬車ね。


 これで妄想の準備は万端ね。初めは普通にメリー皇太子にキスをねだる。目に力をいれないように上目遣いで、唇をぺろりと一周舌で舐める。


「……ん、ふ、ちゅ……ふ…ん……」


 それを合図に私の腰に手を回しながらキスを仕掛けてくるメリー皇太子。横目でチラリとハミルトン王子のほうをみると耳に力が入っているのが分かる。


 さて本番だ。私はメリー皇太子の胸の辺りからお腹、太腿に掛けて指を滑らせる。そうすると唇を吸う力が強力になっていく。


 私は気を持たせるように唇を離すと舌を突き出して見せる。メリー皇太子の舌と私の舌が絡みながら、再び唇を重ねる。もちろん、その間も私の左手はメリー皇太子の太腿からお腹にかけて這い回っている。


「……んっ。……ぁ……」


 メリー皇太子のイイ声がキスとキスの合間に漏れる。ふと視線を感じてハミルトン王子に視線を向けるとリオーネが起き上がってこちらを覗きこんでいる。


 私は思わず睨みつけてしまう。そのまま、力なくハミルトン王子の膝の上に突っ伏してしまうリオーネ。


 悪い! リオーネ!!


 心の中で謝っておく。リオーネの顔はハミルトン王子の膝の上だ。少々荒いがズーハーズーハーと呼吸音が聞こえるのでそのままにしておく。


 メリー皇太子に視線を戻すと目で抗議された。私の左手が止まっているのが気にくわないらしい。少し熱くなってきたフリで首元から胸元までのボタンをはずしてゆく。できるかぎり、ゆっくりとメリー皇太子がイライラするくらいが丁度いい。


 形のいい谷間が露になる。もちろん、見せるだけだ。決して触らせない。そんなことをしたら、メリー皇太子の昂ぶりが台無しになってしまう。手の動きを再開し、さらにもう一方の手も付け加えていく。


 自然と私のほうへ向かって腰を突き出してくる。短パンからチラリと覗くお尻が艶かしい。その隙間にも手を差し込む。


「あっ、ああ……いい……」


 気持ち良さそうな顔で喘いでいるメリー皇太子の姿は可愛い。もう隣にハミルトン王子がいることさえ忘れているみたい。そのハミルトン王子の肩を何かを我慢するかのように掴んでいる。


 そのときだった。


「やん……きゃっ……」


 リオーネの顔に何かが当たったようね。ハミルトン王子はその声に思わず腰を引いたようでリオーネの頭はハミルトン王子の膝から転げ落ちる。


 いくら広い馬車の中だと言っても大の男が2人四つん這いになるには、狭いようで自然と身体が密着する。思わす私は、その重なった2人の姿をシゲシゲと観察する。


 うん。いいわ。


 妄想もいいけど、いい男が2人重なりあっている実物はもっといい。


「リオーネ。キスしてもいいわよ。」


 なぜか私に抗議の視線を向けてくるリオーネに対して、ご褒美をあげることにした。


「なっ……」


 羞恥心で真っ赤になった顔を私に見られることが嫌なのか顔を背けているハミルトン王子の首に手を巻きつけて、その唇を奪うリオーネだった。

次回は更に濃くなります。

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