違和感と危機感~どこぉ?ねぇどこぉ?~
今回は翔視点です。彰が戦ってる間の画面の向こうの状態ですね
そして、ブクマが気付けば2件に!ありがとうございます!
これからも仕事に負けず頑張ります!
とりあえず、休みが欲しい、せめて従業員の増員だけでも…
ルール説明を聞いて無理だと思った。
この世界に呼び出されて、戦い方も学ばずに武器も防具もなく、魔法も禁止(まぁ、魔法の使い方すら教えられてないけど)、それに追加で一定時間毎に範囲魔法が降ってくる
相手は騎士団団長で武器も防具も準備済み、魔法を使えないのは一緒だけど範囲魔法は自前の鎧で無効化出来る
こんなの決闘じゃない、只の公開処刑だ
国王はエレナさんの抗議に聞く耳を持たず、ヒョロゥを支持してるしどうしても先輩を殺したいと考えてるようにしか見えない
そんな明らかに不利な条件だけど先輩は承諾した。
僕は先輩を尊敬してるけどそれは先輩が聖人のように他者を受け入れたり武人のように己を高めたりする人間だからって訳ではない
先輩は人に慈悲をかけて許す事もなければ不利な戦況に燃える人間じゃない、先輩は狡い、狡賢いんだ
先輩がどんな勝負でも受けるときは勝ちを確信してるときだけだ
もし勝てなくても自分に被害はなく、相手が不利になったり負けて失う物以上に何かを手に入れたりする、何があっても自分に利益を出す、そんな人間だから僕は先輩を尊敬している
そんな先輩が条件を承諾するなら
「ノイスさん、エレナさん、先輩は大丈夫です。僕達はこの後どうするか決めましょう」
「ふむ、儂はアキラ殿に聞かねばならぬ事がある。此度の件でこの国の違和感に確信を持った。辞表を出して殺される訳にもいかんし、変装でもして身を隠すとしようかの」
「え?カケル様は何を言ってるんですか!ノイス!あなたも何を言ってるのかわかってるのですか!大丈夫な訳ないじゃないですか!あんな不利な条件、これは決闘とは呼べません!」
僕の提案にノイスさんは答えたがエレナさんはそんな僕達が薄情に見えたのか怒りを見せた。うん、ノイスさんは先輩の言葉を聞いて気付いたみたいだしエレナさんはここまで感情を出すなら大丈夫だろう敵ではなさそうだ
「エレナさん、僕達は先輩を見捨てる訳ではありませんよ。ルール説明を聞いて正直この国が嫌いになるほど腸煮え繰り返ってます。」
そう言ってエレナさんを落ち着けて僕は続きを話す
「でも先輩はそれを受けた、先輩は勝てない勝負はしませんってさっき言いましたよね?あれは本当ですよ、先輩は勝てない勝負なら何をしてでも逃げます。言葉で逃げて、誰かを身代わりにして、走って逃げます。そんな先輩が勝負を受けて更に国王に話を聞きに行くと言っている」
そうだ、先輩は国王に決闘の後に話があるって言ってた。
「300年前、つまり前代の勇者の時代、今の魔王がまだ勇者でいたときの事についてと言っていた」
「それがどうしたのですか?」
エレナさんはここまで言っても気付かないのか、アホなんだろうか?多分この人は今まで人を疑ったりしたことなかったんだろうな、疑う事を知らなければ会話の裏を考えたりは出来ないだろうし
「王女様、おかしいのですよ、アキラ殿が聞くべき内容は他にあるはずです、勝手に呼び出されて命が狙われてるのですぞ?普通ならその事に関係する事を聞くはずなのにアキラ殿はここで300年前の話を出すのかを考えて頂きたい」
ノイスさんはエレナさんにヒントを出すけど
「それは、えっと、余り気にしてないから?あれ?でも命を狙われて気にしない訳ないですし、えっと」
待て、いくら先輩が自由奔放な見た目小学生でもそこは気にするから、なんか違う方向に行きそうだから先に答えを出そうと思い僕は溜め息を吐いた
「違いますよ、先輩は自分の命を狙う理由はもう知ってるんですよ、そしてそれ以上に重要な事が300年前にある」
先輩は決闘や国王の対応に対して動じてなかった。それは予想してたからだろう
何故予想出来るのか、考えてみれば先輩には違和感しかない
魔法陣、戦闘、魔法の効果、ステータス
先輩はどこでその知識を得たのか、召喚の場からエレナさんと一緒に部屋に向かってその後に治療を受けた
その際に腕に変化が起きた、先輩はそれの原因に心当たりがあると言った。
何故そこで先輩はその原因を予想出来るのか
今の流れで先輩が知識を得る機会はかなり少ない、予想するほどの知識をどこで得たのか、簡単だ
「先輩は既にこの世界の知識を持っている、もしかしたら先輩は」
ふと画面を見ると片足が変な方向を向いたヒョロゥがゆっくりと落ちていた。
「続きは先輩本人に聞きましょう、ほら見てください先輩の勝ちでしょ?」
先輩の拳がヒョロゥの顔面に直撃した。
先輩はそのまま国王に問いかけると国王がニヤリと笑い
「よろしい、彼の者は勇者であると認めよう」
と言ってこちらを見て
「そしてそれによりこの場に居るカケルは偽者だと判明した!これより偽者の処刑を行う!」
やられた僕がここに居るのはその為か、これで僕が捕まれば人質となってしまう
僕を人質にして先輩を捕まえる事も言いなりにする事も出来るかもしれない仮に先輩が見捨てて逃げても仲間を見捨てた勇者として汚名を着せる、確実なのは僕は逃げようにも周りは騎士や魔法使いに囲まれてるからどうしようもないって事だけど
僕が冷や汗を垂らして画面の中の先輩を見ると先輩は気にする素振りもなく
「それは無理だな、まず俺の質問が先だしその前に地下からお客様が来るぞ」
と言った。つまり対策はしてあるということか、ん?地下?
ふと地面を眺めると底が盛り上がり
バッガーン!と爆発した。そこの煙が晴れるとそこにはなんか凄い女性が居た
顔は目がタレ目で口からは八重歯が覗いており普通なら和むような感じで可愛い、背は僕と同じ位で体型はそのメロンが無ければスレンダーと言えたのだけどなんか凄い、服装は露出度が高く肌は青白いそんな女性の一番凄いのは
「ハァハァ、アキラちゃん?ハァ、アキラちゃんハァハァどこぉ?ハァハァねぇどこぉ?」
目を充血させ口からは涎を垂らし荒い息遣いで辺りを見回すという変質者全開な状態で先輩の名前を呼び出してる所だと思う
おいこら先輩、客が来るってお前の客じゃねぇかよ!怖いよ!本当に怖いよ!
読んで頂きありがとうございます。
読者の方は多分彰に違和感しかないでしょうけど暖かい目でお願いします。
でもそれとは別で「ここの表現が駄目!」や「ここの描写詳しく!」「おい!誤字脱字激しいぞ!」「作者の霊圧が…消えた?」等がありましたらメッセージや感想でも良いのでお願いします。
確認次第すぐに直そうと思います。