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プロローグ
その物語は、勇者の【 死 】によって紡がれる“理不尽な基盤”の上に成り立っていた。
幾度と賽を振ろうとも、いかなる道を選ぼうと、勇者の行きつく先は【 死 】のみであった。
誰が言ったか、もはや記憶は霞がかる。
「その身に内包した奇跡は誰が為のものか。
いかに強靭な力を秘めようと、導く先が【 死 】なれば、聖剣とは名ばかりの妖刀ではないか」
と、誰か ハ ワラッタ 。
それは、初めて触れた。
苦く。 重く。 痛切で。 口惜しい。
記憶の 欠片 ――――。