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生きる…それは死ぬことだ

『ねえ。どこまでなら生きていける?』


突然、意味不明なことを言い始めた親友に対して、僕は憐れみの目を向けた。


「そういう表情は酷いと思うんだよね」

「必然だろう?どうした?再発したか?西尾維新に影響受けたか?」

「最後でお願い。だから、『どこまでなら殺せるか』は二番煎じだから『どこまでなら生きれるか』を聞いているの」


どこまで殺せるかという質問はまだわかる。

が、どこまで生きていけるか生きれるかというのは、

精神面でか、

肉体面でか、

この二つで大きく意味が変わってくる。


「お前の求める答えはなんだ?というかお前の答えは?」

「死ぬまで。私は死ぬまで生きていける」

「は?」

「だから死ぬまでだって」


一回聞いただけで分からなかったの?と聞いてくるが、そういう意味じゃない。

答えがあまりにも『普通』だったからだ。

当たり前の事実を目の前で述べられたことに驚愕した。


それはそうだろう。

生きていくためには死んでいてはいけないし、

死んでいては生きていけない。

だが、この流れで『当然の事実』をただ言われるとは思わなかった。


「死ぬまで…ね」

「そうそう。自分が死んだと思った時が私が『生きていけなくなった時。』逆説的に『それまでは生きていける。』いや『生きていけた。』んだね」

「答え出てるから。僕が回答する必要はないね。」

「ああ!待って!」


親友は僕の袖を引っ張り、僕がここから出ていけないようにする。


「僕に何を求めているの?」

「絶対これ黒歴史になるから貴方も考えて?ね?」

「…はあ、仕方ないな…」


…さて、『どこまで生きていけるか』か。


生きていくとは、なんであろうか。

その人間を生きているとするのは誰であろうか。


ならば他人にそれを求めるか、自分にそれを求めるか。

言いかえれば、さっき言ったように肉体か精神か。どちらに求めるのか。


いや、肉体的なことは彼女も答えに求めてはいないだろう。『僕の思う普通の身体が亡くなるまで』とでも答えるつもりなのか?僕は。

じゃあ、精神に重きを置くのが正解だろう。


「そうか、そうだな。考えるのをやめることになったときかな」

「考えをやめるとき?」

「そう。自分が死んだと思っている時点ではそいつは死んではいない。本当に死んだ奴はそんなこと思えやしないんだ。だからまだ、生きれている」


言うならば一種の厨二病と変わりない。

『私には感情がない』

とかいうのと同等だ。

精神疾患とも似たものかもしれない。


「私は死んだなんて思うというのは、それへの反抗の声明だよ。決して自殺の犯行声明なんかじゃない。

その上自殺とは死ぬことじゃない。自殺とは生きることをやめることでもない」

「…よくわからないよ」

「自殺を『選択できる』時点でそいつは死とは無縁の存在なんだ。

肉体的死が、精神的死と同じわけがない」

「?」

「生きようとしているから死んだと思い、生きたかったから自殺するんだ」

「訳がわからないよ」

「わからなくていい」


こんなのがわかるわけもない。

でも事実だ。いや私はそれが事実だと信じている。

本当に死んでいるやつほど生きていて、

本当に生きているやつほど死んでいるのだ。

生きるとは死ぬことだ。

僕がそう決めた。


「…哲学的。…じゃあ貴方は生きているの?」

「ああ、生きているさ」

「…なら貴方は死んでいるということ?」

「いいや。生きている。だからここにいる」

「本当に?」

「本当さ」

「そう。それは貴方が貴方の家族を殺してまで得たかったものなの?」

「…さあねえ。どうだろうね」


周りの赤色を気にしないから恐怖で狂ったのかと思ったがそういうことではないらしい。

やはり謎の質問である。

どうして、どこまでなら生きていけると聞いたのか。


「…貴方は本当にこんなことをして生きていられるの?」

「…哲学的といいながらお前も哲学的じゃないか」

「そうかな?で、どうなの?」

「生きていられるさ。生きるとはそういうことだ」

「そうなんだ…じゃあ、うん。私はこれを見なかったことにするよ」

「へえ、どうして?」

「死者の行為に私は口を出さない。さようなら」


そういって親友は、僕の両親が生きていた部屋を出ていった。


「…僕が死者ね。何を言っているんだ。お前も死者じゃないか」


誰も彼もが何かを殺して生きている。

生者は須らくして死者。


そう。

例えば、自殺を他殺と、事実を殺して生きるている。

そんなものだ。

全く訳がわからないよ。

となった貴方。それでいい。それが普通心配しないでください。

なんというか、文学してる気がする

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