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『クトゥルフ神話系ストーリー』 事象の境界線に立つ少女の記録  作者: S.R.Scarlet
第1章 少女が過ごしたハーフたちとの4年間
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Story1-3

5月16日水曜日。その日は晴れていました。雲一つない快晴。山登りには最適だと言われるような日でした。私はヒトミを京王線の高尾山口駅で待っていました。学校で会ってから行くという手も考えたのですが、結果として現地集合になりました。

ヒトミは私がついて数分もすると来ました。水曜日というのもあってか電車も登山口も混んでいなかったために疲労はあまりありませんでした。さて、本題の山登りですが1号路から山頂まで行って5号路を経由して6号路で帰るルートを取りました。

1号路にはケーブルカーの駅にある展望台や薬王院などの場所があるので写真を取って行きました。山頂に着く頃には13時をまわっていました。


カチューシャ「そう言えばヒトミさんの住んでいた場所はどこだったのかしら?アメリカというのは聞いたけど、どこらへんだったの?」

ヒトミ「私はシアトルの近くに住んでいました。」

カチューシャ「シアトル・・・たしかアメリカの北西に位置する州だったわよね。」

ヒトミ「はい。大体日本の北海道に近い緯度ですね。」

カチューシャ「やっぱり寒いの?」

ヒトミ「そうですね・・・冬はとても寒いですけど夏は快適ですね。」

カチューシャ「じゃあ日本の夏はつらい?」

ヒトミ「湿度がつらいですね。向こうはあまり蒸し暑くはないですから。」

カチューシャ「そう。」


そんなこんなで話しながら途中で買っておいた弁当を食べて、私たちは山頂で少しの間見て回ることにしました。結果だけを言うと、陣馬山のコースに入って景信山の山頂まで行ってから引き返すことにしたので、6号路の入り口に着いたのは17時でした。6号路を下りながら私たちは話していました。


カチューシャ「城山のところは結構よかったわね。運が良ければ富士山も見られるみたいだけど残念だったわね。」

ヒトミ「そうですね。でも次に来る時は見られるかもしれませんね。」

カチューシャ「そうだといいんだけどね。」


そう話していると滝が見えてきました。滝の近くは結構涼しかったので休憩しようかとヒトミに聞こうとしました。


カチューシャ「ヒトミさん?ちょっと休憩してもいいかしら。・・・ヒトミさん?」


そう聞いたが、反応はありませんでした。振り返ると誰もいませんでした。


カチューシャ「少し遅れているのかしら?とりあえず電話を・・・」


そう思って私は携帯を取り出しました。携帯の番号はあらかじめヒトミから聞いていましたし、それに高尾山では携帯が通じていたのでかけられるだろうと思って携帯を出しました。しかし・・・


カチューシャ「圏外?なんで?さっきまで3本もアンテナが立っていたのに。」


なぜか圏外表示を出していました。どうしようか正直迷いました。このまま下っていくべきか、それとも引き返して見つけに行くか。迷いました。迷っていると急に爆音が山の方から聞こえてきました。後ろを振り返ると18時半をまわっているのに昼のように明るかったのでした。そして下からも爆音が聞こえてきました。まるで爆弾が爆発したかのような音。それが耳をつんざいていました。


カチューシャ「爆発!?とりあえず駅にまで行って・・・」


考えたくはありませんでした。爆音と昼のように明るい。なにか自分の常識を打ち砕く何かが起こっている。不安、焦り、恐怖・・・いろいろな負の感情がまぜこぜになって襲ってきました。走りながら私は一心に駅を目指しました。しかし現実は非情でした。

私は木の根に躓いて転んでしまいました。膝をすりむいてうずくまっていると目の前の低木が揺れ出しました。熊?イノシシ?・・・そうであったほうが幸せだったのかもしれません。しかし本能は告げていました。そしてそれは正しかったのでした。

現れた者。それは異形の者でした。目のないヒキガエル・・・・そう形容するのがやっとのようなおぞましい姿。それを見た私は叫び声を上げました。廃墟で幽霊に会ったような声を。そしてそれは近づいてきました。私をとらえようと腕を伸ばして。その時でした。

それの体が燃え上がりました。紅蓮の炎。そう形容するのがふさわしい色の炎。その炎が燃え上がっていると突然コウモリのような炎がそれに突っ込んでいきました。炎が触れると怪物は跡形もなく消えていました。そしてその炎が突っ込む直前に私は声を聞きました。


カチューシャ「ヒトミ・・・さん?」


そう呟いていました。そして空を見上げるとそれは正しかったのでした。確かにそこにヒトミは居ました・・・多数の炎の塊を従え、炎に覆われた姿で。ヒトミはすぐに下りてきました。そして静かに、こう聞いてきました。


ヒトミ「大丈夫だった?カチューシャさん。」

カチューシャ「あなた・・・ヒトミさんよね?」

ヒトミ「はい。あなたの知っているヒトミ・エイブラムスですよ。」

カチューシャ「え?でもあなたのその姿・・・それにその炎たちは?」

ヒトミ「これは私のもう一つの姿。そしてこの炎は私の配下の炎。」

カチューシャ「・・・ごめんなさい。ちょっと待って。」


わけが分からなかった。目の前に炎が現れてそしてそれが自分の知っている存在だったら?答えは決まっている。だれでも驚く。ヒトミは説明をしてくれた。自分の存在を。

聞いていくと彼女は1819年生まれで、フォーマルハウトから来たクトゥグアという神様と人間のハーフなのだと。彼女は炎を纏っているためによく炎の神格と言われているが、実際はプラズマが炎のように見せているだけで電気の神格なのだということ。周りの炎も実態はプラズマであり、それぞれに名前がついているということも。


カチューシャ「つまり、あなたはプラズマなどの電子を自由に操れる神様の能力を持った人間と神様のハーフなのね?そしてその周りの炎が配下のプラズマで合っているのよね?」

ヒトミ「そう。そしてこれが世界の真実。宇宙には生命体とは違う存在が存在している。これが正しい世界なの。」

カチューシャ「それじゃあなんでここに来たの?理由は?」

ヒトミ「あなたも見たあのムーンビースト。あれの上にいるのがエカチェリーナ・ロストヴァ。彼女は私の敵で、ニャルラトホテプという神格のハーフなのよ。彼女がここで何か大きなことを起こそうとしているというのを見つけたから私が先行派遣されたのよ。とにかくここは危険よ。とりあえずふもとにまで・・・」


そうヒトミが言った瞬間に私はカメラを持ったムーンビーストという存在を見つけました。

そして何かを操作して離れようとしました。ヒトミも気がついたらしく、すぐに何かを放って吹きとばしました。カメラをこちらに持ってきたヒトミが


ヒトミ「プリズム拡散方式・・・。これではジャミングも意味をなさない・・・。」

カチューシャ「どうしたの?そのプリズムなんとかって言うのが何かあったの?」

ヒトミ「・・・あなたが明らかなターゲットにされたのよ。明確にあなたをとらえようということ。」

カチューシャ「な、なんで?私をなんでターゲットに?もし捕まったらどうなるの?」

ヒトミ「理由はわからない。でも・・・捕まったらまず自由はないわ。良くて死ねる。悪くて一生奴隷。それがあいつらの考え。」

カチューシャ「打つ手はあるの?あるのよね?」

ヒトミ「本当はしたくなかったのだけど・・・。」


そう言ってヒトミは私にコンタクトレンズのようなものを渡してきました。


カチューシャ「これは?」

ヒトミ「小型HUD。生体電気を使って情報などを伝える最新の道具よ。」

カチューシャ「・・・つまり私もあなたたちの仲間になれというわけね。」

ヒトミ「助けるにはいろいろと大義名分がいるのよ。私たちの協力者。それが最善なのよ。」

カチューシャ「分かったわ。」

ヒトミ「それと、これを飲んでおいた方がいいわ。」

カチューシャ「これは?」

ヒトミ「リヴァイブミード。たとえどんな姿で死んでも元の通りに生き返らせることのできる特殊なドリンク。」


リヴァイブミードと言ったドリンクは金色をしていた。飲んでみると甘い。蜂蜜を飲んでいるかのような味でした。それと同時に小型のHUDもつけました。それには多くの情報が写っていて、まるでコンピューターの画面をずっと見ているかのような感覚でした。

そしてそれをつけ終わった時に下から黄土色の車が来ました。アメリカ軍が使っている戦闘車両。それが来ました。ヒトミは下りてきた女性の兵士に私を家まで送るように命令していました。私も乗るように言われてすぐに乗り込み、そして1時間ほどして私は家に戻りました。その日そのまま布団を頭にかぶって寝ることにしました。そして次の日になって、私は学校に普段通りに行きました。


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