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『クトゥルフ神話系ストーリー』 事象の境界線に立つ少女の記録  作者: S.R.Scarlet
第1章 少女が過ごしたハーフたちとの4年間
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Story7-3


話の要約はこうでした。エリカ・N・メッサーシュミットはナポレオン戦争時に創られたハーフだった。プロイセンを守っていたものの敗北。その後行方知らずになったかと思いきや、ナチ党を率いて世界大戦を始めたという真実。そして彼女は世界の制圧を目標に行動しているという事も聞かされました。そして外部に誰も詳しい正体を知られない存在を新たに作って送り出したという事でした。


カチューシャ「そんな・・・」


ロストヴァ「何度も言うけどこれが真実。それに・・・多分あの子も限界にきているはず。」


カチューシャ「それはどういう・・・」


ロストヴァ「例えば・・・RTS(リアルタイムストラテジー)はわかるわよね。」


カチューシャ「リアルタイムで進行する戦略ゲームですよね。」


ロストヴァ「それがわかるなら話は早いわね。今の状況は簡単に言うと、ゲームの製作者が攻撃用チートを使ってプレイヤーに挑んでいる状態。攻撃力MAXで挑み、そしてそれにもかかわらず負け続けている。」


カチューシャ「・・・チートを使っても勝てないのですか?」


ロストヴァ「どんなにパラメーターの限界値を使えると言っても数が多すぎるからだめなのよ。四方八方からやられているから勝てない状況。さらに勝てなきゃおかしいはずの状態だと思い込んで負け続けているからすでに精神も限界を迎えている。」


カチューシャ「・・・ということは負け続けているからゲーム自体をなくそうとしている?」


ロストヴァ「やっぱり頭の回転がいいわね。その通りよ。今回負けたらあの子は本当に地球1つ吹き飛ばすわね。」


カチューシャ「つまりエリカを勝たせろという事ですか。」


ロストヴァ「そうね。それが現時点ではベストね。」


カチューシャ「でもそれはヒトミさん達を裏切ることになる。」


ロストヴァ「・・・トレードオフよ。どちらかを選べばどちらかを捨てる結果になる。」


カチューシャ「・・・。」


提示された答え。1つはエリカさんと共に世界の制圧を手助けする。もう一つはエリカさんを倒すこと。ただしそれは世界の滅亡を意味するという事でした。そしてどちらをとっても私には不利益しかないという事でした。長期的に見ればエリカさんの方が正しいかもしれません。でも短期的に見ればエリカさんは間違っているでしょう。その答えを出そうとしている中で私はある1つの考えを思いつきました。


カチューシャ「・・・これ以外の選択肢を作ればいいのではないですか?」


ロストヴァ「そんなのがあるの?」


カチューシャ「なければ作ればいいのですよ。」


ロストヴァ「そう。答えは出ているの?」


カチューシャ「1つだけ。第3の道を。それを使って説得に行きます。」


ロストヴァ「そう。頑張ってきてね。」


カチューシャ「ええ。」


そう言って私は再び目を開けました。目を開けると自分の部屋で、そこにはエリカさんがいました。


エリカ「どうやらお目覚めのようね?」


カチューシャ「ここは・・・私の部屋ですか。」


エリカ「籠城をさせてもらっているわ。」


カチューシャ「・・・全部エカチェリーナさんから聞いてきました。」


エリカ「そう。なら話が早いわね。私と共に世界の制圧に乗り出すわよ。」


カチューシャ「・・・時期尚早ですよ。」


エリカ「はい?」


カチューシャ「時期尚早だと言ったのですよ。」


エリカ「何を言っているのかさっぱりわからないわね。」


カチューシャ「じゃあ逆になんでチートのような力を持っているのに勝てないのですか?」


エリカ「わからないわよ。わからないから挑んでいるのよ。」


カチューシャ「そうですか。でも答えは簡単ですよ。どんなに技術が優れていても数がそろわないから負けるのですよ。ナチス時代も似たようなものだったのでしょう?」


エリカ「・・・何を考えているの?」


カチューシャ「なら簡単に言わせてもらいます。正面からぶつかるだけが世界制圧の手段ではないのですよ。緻密な作戦のもとに行わなければ実現はしません。」


エリカ「無理言わないでよ。私についてくる人間なんて本当に少数よ。例えついてきても数人の人間につぶされるのがオチよ。今までもそうだったんだから。」


カチューシャ「なら、味方になったようにすればいいのですよ。」


エリカ「こんなに悪名が広まったのに?無理よ。」


カチューシャ「ここからは私の考えですが・・・私ならそれができます。」


エリカ「・・・?」


カチューシャ「エリカさん。あなたは言いましたよね?『こんなに悪名が広まった』と。」


エリカ「それがどうしたの?」


カチューシャ「私なら、まだヒトミさんたちは私が味方だと思っています。あなたと裏で内通しようとしていることは知らない。」


エリカ「・・・わかるように言いなさいよ。」


カチューシャ「私があなたの代わりをします。私が地球で頑張っている間に宇宙の方で軍を作って磨いておいてください。」


エリカ「無理よ。私がここにいることがばれている時点ですでにあなたも私とのつながりがばれている。だからもう時間がない・・・。」


カチューシャ「そんなことないですよ。少なくとも、私のことはまだ何かの作戦で必要なモジュールとしか向こうは思っていませんよ。そして、モジュールだと思っている以上は私を保護しようとする動きをしてあなたにしか目を向けませんよ。」


エリカ「・・・それで、保護されるあなたはどうするの?」


カチューシャ「私は・・・どこかの国家を運営します。同時にPMCを設立して国防の任に当たらせます。向こう側には私の脳を戦術的モジュールのAIとして組み込むとでも言っておきます。」


エリカ「軍事力では負けるわよ?あいつらの持っている軍事力は圧倒的よ。それこそ戦術とか関係なしに物量で叩いてくるわよ。」


カチューシャ「それは今の状態では、でしょう。」


エリカ「・・・?」


カチューシャ「あなたが戦力を出して人をおびえさせた。そしてその次の戦争がいつ来るかわからない。ゆえに、戦火におびえないように軍を巨大にした。これがあなたの勝てなかった理由です。」


エリカ「ならプランを聞こうじゃないの。」


カチューシャ「まずは平和活動に貢献をすることにします。戦火が遠ざかれば軍の規模は小さくなっていきます。代わりがいればなおさら減っていき、国民は平和ボケをします。そして軍縮に向かう。」


エリカ「・・・。」


カチューシャ「同時に外貨を稼ぎます。可能な限り債権を持つように心がけます。そして経済が立ち行かなくなった状況で一気に債権を行使して弱らせます。」


エリカ「シロアリみたいな戦法ね。」


カチューシャ「それでも効果は抜群ですよ。目の前に火を持った放火魔がいて、常に警戒感を持っているとは真逆ですよ。気が付いたときには手遅れになっているのですから。」


エリカ「・・・信じてもいいの?」


カチューシャ「信じてくださいとしか私からは言えません。」


エリカ「・・・。」


それからしばらく沈黙が訪れました。そしてエリカさんは口を開きました。


エリカ「・・・あなたに賭けてみる。あなたが成功しなかったら今度こそ・・・。」


カチューシャ「その今度こそは起きませんよ。」


エリカ「作戦名は何にするの?」


カチューシャ「サッカーから取って、オペレーション:アディショナルタイムはどうでしょうか?終わりの間際にある逆転のチャンスという意味を込めたいと思います。」


エリカ「・・・気が付かれなさそうね。いいわ。あなたを私は信じる。」


カチューシャ「今はまだハーフタイム直前です。前半を攻めた分、後半はカウンターでとります。それこそ圧倒的な力を持って。」


エリカ「頑張ってね。」


カチューシャ「もちろんです。」


そう言って私は彼女が天井に穴をあけて飛んでいくのを見届けました。しばらくするとヒトミさんが入ってきました。


ヒトミ「カチューシャさん!大丈夫でしたか。」


カチューシャ「大丈夫です。特にけがをしているわけではないですし。」


ヒトミ「追尾は!成功したの!」


しかしその答えはネガティブだったらしく、ヒトミさんはまた悔しがっていました。


ヒトミ「まあ、なんにせよあなたが無事でよかったわ。でも、どうしてあなたを狙ったのかしら。」


カチューシャ「どうやらエリカと名乗った彼女は私を機械に組み込もうとしたらしいですね。数百人を連結した巨大戦術解析装置を創り出すと言っていました。」


ヒトミ「なんてやつなのかしら。・・・となると、あなたを保護しなければならないかもしれないわね。」


カチューシャ「それなら1つだけ考えがあります。私が国家運営をすることはできないでしょうか?4年後にソマリアを運営したいと思います。」


ヒトミ「どうしてまたそんなことを?」


カチューシャ「秩序がない状況を利用して私を守れるように軍隊などを用いることができます。混乱期であれば私の戸籍などを改変することも簡単でしょう。」


ヒトミ「・・・まあ、あなたが希望するならいいわ。一応私も注意をしておくわ。」


カチューシャ「ありがとうございます。」


ヒトミ「それと・・・ここからはあなたも国を動かすことになるわ。頑張って。」


カチューシャ「ヒトミさんも頑張ってください。」


そう言って今回の事件は収束した。エカチェリーナさんからはあとで感謝をされました。そして、今回の事件を機にニャルラトホテプのハーフとしての全権の地位は私がなる事に決まりました。そして3月の卒業式も無事に終え、大学へと進学をしました。

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