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『クトゥルフ神話系ストーリー』 事象の境界線に立つ少女の記録  作者: S.R.Scarlet
第1章 少女が過ごしたハーフたちとの4年間
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Story2-1

Episode2 Scorched Earth(焼け落ちた世界)


目を開けてすぐに見えたのは岩のような鉄くずで、そのすべてが炎に包まれていました。空からは白いヘリが飛び方を忘れたかのように回りながら落ちていました。

黄色いパーカーを着た何かが近づいてくる・・・何かを言っているはずなのにその言葉がわかりませんでした。顔を少し下げてみるとヒトミさんの姿がありました。その姿は炎に包まれた高尾山でも見たあの姿でした。そしてその姿が光ったかと思った瞬間、視界が暗転して真っ暗な場所にいました。


カチューシャ「ここは・・・?」


???「ここは夢の世界よりさらに深い意識の世界、ドリームランドよ。またあったわね、カチューシャ。」


後ろを振り返ってみるとそこには私が死んだときに会ったエカチェリーナ・ロストヴァさんがいました。


カチューシャ「ドリームランド・・・?」


ロストヴァ「そう。眠りの領域にあるこの世界は人間の中でも特別な能力を持つ一部の人間はこの世界に来ることができるの。まあ、今回は私が手を回しておいたのだけど。」


カチューシャ「じゃあさっきのは・・・」


ロストヴァ「あれは夢・・・正確に言えば安心できない夢ね。」


カチューシャ「どういうことなのですか?夢ならば現実とは違うのではないのでしょうか?」


ロストヴァ「あの夢は私が見せた夢。正確に言えば警告をさせるための夢ね。」


カチューシャ「どういうことですか?」


ロストヴァ「まあとりあえずかけたら?お茶の1つくらい飲んでからでもいいんじゃない?」


気が付いてみると目の前には椅子とテーブルがあって、ティーカップに注がれた紅茶が湯気を立てて置かれていました。周りを見るといつの間にか縞瑪瑙の飾りが至る所に置かれている小さな庭園にいました。


ロストヴァ「まあ単刀直入に言わせてもらうけど、ヒトミ・エイブラムスには注意するべき。」


カチューシャ「なぜですか?私を少なくとも助けてくれた方ですよ?」


私は椅子に座りながらいいました。


ロストヴァ「でもそれは、あれが来たからあなたはあの戦いに巻き込まれた。そして、一度死ぬなんて経験をすることになった。そうとも取れるわよ?」


確かに筋は通っていました。あの戦いは私が気が付かなければ起こりえないことでしたし、死ぬこともなかったことです。確かにその通りです。


ロストヴァ「あれの実力はあんなものじゃないわ。本気を出せば惑星の1つくらいは消し飛ばせる能力を持っているわ。」


カチューシャ「惑星・・・1つ分?」


ロストヴァ「そうね、有名な例を挙げるとウルカヌス・・・惑星バルカンね。」


カチューシャ「惑星バルカン?」


ロストヴァ「ええ。・・・水星よりもさらに内側の周回軌道を持っていた惑星で、アインシュタインの一般相対性理論で説明可能ということで片付けられた惑星ね。実際は19世紀前半までは存在した惑星で、あれの力で消し飛ばされた惑星。だから今は何もないの。」


カチューシャ「でも、それはどうして起こったのですか?」


ロストヴァ「あれは今から少し昔・・・と言っても200年ほども前の事だけど、ウルカヌスにある種族が地球に対しての前哨基地として作ろうとしたのが始まりね。警告は数回したらしいけど、それを聞き入れなくて、結果的に惑星ごと焼かれて重力崩壊を起こしたのよ。はじけた惑星の塊は太陽に落ちて行ったわ。」


カチューシャ「その種族とは・・・?」


ロストヴァ「確か・・・ユゴス星の前哨基地の司令官から離反したミ=ゴだった覚えがあるわね。まあ・・・あれは人間が好きすぎてしょうがない生粋の馬鹿よ。というか、第1世代がみんなそんな感じなのよ。まあいいわ。とにかく、あれは人間を守るためになら手段を選ばなくなる・・・いえ、選べなくなるわ。特に自分と親しい人間を守るためなら少しの犠牲も止むを得ないと考えるタイプよ。・・・まあ今行える警告はこの程度ね。ところで、ハワイに行くのであれば最大限の注意をしなさいね。」


カチューシャ「それはどういう意味で・・・」


そう言っていると私の意識がだんだんと薄れてきているような気がしてきました。少しでも油断すると意識を引っ張られそうな感覚でした。


ロストヴァ「時間ね。もう起きる時間が近いのよ。それじゃ、真夜中のお茶会はこれでおしまい。それじゃあね。」


そう言って私の意識は薄れていき瞼が重くなり、次に目を開いたときに見えたのは自分の部屋の天井でした。


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