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VS.主人公!(旧)  作者: 阿漣
Ver.5.01 理を求める者たち
250/252

248.重要告知

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。

 

 夏真っ盛り。

 なんとか色々とあったものの、無事に海水浴バイトのイベントを乗り切ることに成功したオレは、1日だけゆっくりと休んだ。


【正確には熱を出して寝込んだ、というところじゃがな】


 月音先輩への返事も含めて、精神的にずっと張りつめていたのが一気に解放された反動なのだろう。エッセが言う通り体がダルく熱っぽかったので否応なかった、というのが真相だ。

 そしてなんやかんやで一週間が経過し、本日―――8月1日に至る。


 勿論その間、何もせずにのんびりしていたわけじゃない。

 今回は八束さんに助けてもらえたから何とかなったものの、まだまだ世界にはオレの太刀打ちできないような敵がいるとわかったのだ。いくらか強くなった自信はあるものの、現状に安穏としていられるほど図太くはない。

 さすがに毎日は難しかったものの、せっかくの夏休みということで狩場での武者修行がてらいくつか依頼を請けたので、こあらからその達成報告をしに行くところだ。


「あー、加能屋にも寄らないといけないか。結局、弥生さんに羅腕刀についての話をしてないわけだし、一度顔出しておいたほうがいいな」


 海水浴で偶然会ったけども、ばったり会っただけで会話もそんなに出来たわけじゃない。今後も色々と素材を持ち込んでお世話にもなるわけだし、顔を出しておくのが妥当だろう。


【うむ、浮世の義理は可能な限り欠かさぬほうがよかろう】


 ……こう、エッセに浮世の義理とか言われると凄く違和感が。


【それに……そろそろ時期でもあるからの。

 おぬしが斡旋所に行く用事がなければ、足を運ぶように言うつもりでおった】


 ……? 何かエッセのほうで斡旋所に用があるんだろうか。

 まぁそれはさておき、交通機関を乗り継いで無事に斡旋所へと到着する。初期に比べれば大分慣れた感じで入口を通過してエレベーターへ。

 初めて出雲に言われて入ったときはあれだけドキドキしていたってのに、変われば変わるもんだなぁとしみじみしているうちに、到着して扉が開く。


 ……ん?


 なんか雰囲気が妙な感じだ。

 いつも通り主人公プレイヤーたちが依頼を請けようと居るのはおかしくないのだが、その数が変なのだ。普段は数人なのに今はその倍は居るし、もっと言えば少しざわついているというか興奮しているような妙な熱気が存在していた。

 どうやらエレベーター出入口横の壁、そこに設置されている巨大液晶掲示板に注目しているようだ。気になるので見てみようとして失敗する。


「うぐ……無念」


 理由は簡単。

 掲示板の前に集まっている人たちの中に身長が高いのが何人もいて、よく見えなかっただけだ。さすが見ている人たちを無理矢理押しのけて最前列へってのも性格的に難しい。

 くそう、頑張れ、オレの成長期!

 仕方ないので諦めて、先に依頼窓口へ報告しに0向かうとしよう。


「どもー」

「こんにちは、充さん。御用を承ります」


 頻繁に依頼を受けていることもあって、最近はようやく名前を憶えてもらえるようになってきた。別段それがどうしたと言われると何だけど、美人の受付嬢に記憶してもらえるのってなんだかそれだけでテンション上がるよね。


「とりあえず依頼報告ですね。これと、これと……」


 収集物を依頼の種類毎に分けてカウンターに置いていく。

 受付さんはさすがに手慣れたもので、端末を流れるように操作しながらひとつひとつ手際よく確認していく。その見事な事務処理を見ながら、


「そういえば、何かそこの液晶掲示板のところに人だかりが出来てますけど、何かあったんですか?」

「ええ、中央からの大規模な告知があったので。久しぶりということもあって皆さん、やっぱり気になっているようですね」


 中央。

 その言葉は斡旋所の人たちにとって、中央本部のことを指す。

 聞いても詳しいことは教えてもらえないが、出雲たち主人公プレイヤーによれば、どうやらGMゲームマスターやこの世界を構成するゲーム的な機構システムそのものと同義らしい。

 NPCである斡旋所の人たちは本部だと思っているが(このへんは都合がよいと思わなくもないけれど、そもそも主人公プレイヤーが都合よく優遇されるようになっているので今更な気もする)、そこから発信されてくるものは全てゲームとしての重要告知だと考えていいとのこと。

 大規模なイベント戦のお知らせとか、そういった類のものと思えばいいか。

 後で見てみるとしよう。


「はい、確認終わりました。報酬と貢献ポイントの付与終了です。

 同時に貢献ポイントが規定値を超え、6級昇格に必要となります試験対象物の収集も確認出来ましたので、ランクの方を上げておきました。併せてご確認下さい」


 お、ついに来たか!

 さてさて、ではお楽しみのステータス確認といきますか。


 三木みき みつる

 称号:な し

 年齢:16

 身長:170.5センチ

 体重:67.3キロ

 状態:良好

 種別:主人公(重)▼

 属性:???/???/???/???

 斡旋所ランク:6級

 評価ポイント(貢献ポイント):2030(2030)/8000

 筋力:33/112

 敏捷:18/91

 巧緻:15/105

 技術:18/98

 極め:30/120

 知力:14/45

 生命:28/100

 精神:29/48

 霊力:7280/112

 魔力:10/38

 運勢:■ ■ ■

 所持金(P)/借金(P):110800/0

 総合Lv:72

 所有職キープ・ジョブ

  逸脱した者ハエレティクス LV.72

  武芸者マーシャルアーティスト Lv.29

  潜伏師ハインドマスター LV.18

  拳闘士ボクサー LV.22

 技能スキル

  杖 15.27

  刀 29.33 

  鎖鎌 17.10

  槍 18.11

  十手 12.32

  見切り 30.01

  投擲 28.14

  狙撃 48.12

  弓(和洋) 48.20

  話術(詐欺) 21.76

  体捌き 23.90

  拳闘 22.05

  組み技グラップル 23.32

  物理隠密(小) 10.99

  気配隠密(小) 18.73

  感知 20.92

  魔術 22.87

  陰陽術 35.08

  狂気 9.09

 特殊:

  簒奪帝デートラヘレ・インペラトール++

  自動再生(強)

  重心制御

  煙狼召喚

  式神召喚(茨木、宴禍、静穏、幽玄、悠揚、具眼、羅腕、等)

  神話遺産ミュートロギアヘレディウム魔王ラーヴァナ(1/90)”

  暗視像ナイトヴィジョン

  威圧ブロウビート

  傲慢なる門アッロガーンス・ポルタ

 技:

  与一の毀矢

  無限の矢サギッタ・インフィニタース


 武器:なし 

 防具:なし

 その他:百眼の小手、

     雷上動、水破、兵破、三日月刀、羅腕刀

     剛紗なる袖 隠袋

 戦利品:未配分品▼


 請負中依頼: な し

 未完了依頼: な し

 完了依頼:▼


 今回達成した依頼3つで無事に貢献ポイントが2000を超え、6級へと昇級することが出来た。これでまた一歩、“修復屋レストレイター”へ依頼出来る3級という立場に近づいたというわけだ。

 まぁ実際のところ“上位者ランカー”は1級以上であることが当たり前で、その上で実績を積み重ねている存在ということだから先は長いんだけどね……。

 こればっかりは実績が全てだから、もっと時間を掛けてなんとかするしかない。今の“上位者”たちだって、イベント戦とか色々なものを積み重ねて成り上がってるわけだし。

 そう考えると、さっき話に出ていた本部からのお達しがイベント戦だったりしたらありがたいかな。

 鬼首大祭の時の武倉さんの言動からするに、茨城童子クラスみたいなのが出てくるのがイベント戦らしいので、今のオレなら大活躍できる自信がなくもないし。


【なんじゃ、充。おぬしは“上位者ランカー”になりたいのか?】


 絶対にそうなりたい、ってわけじゃないけどね。

 少なくともなっておけば色々と融通が利きそうだし、広いツテみたいなものだって手に入るかもしれない。使える力はどれだけあっても困らないと思うから、出来ればなっておきたいってレベルだな。


 そう考えた瞬間、頭を過るのは鬼首大祭で遭遇したあの最強の術師。


 いずれあの圧倒的な力に立ち向かうことになるのは間違いないからね。

 あ、ちなみに所持金がべらぼうになっているのは、海水浴が終わった翌日に鬼首大祭のときに倒した宴禍童子たちの賞金が入ったからだったりする。

 もっと稼いだら居候しなくても、自分でマンションとか買えそうだなぁ、とか思ったり思わなかったり。


【……知っておるか? 悪銭は身につかず、という言葉があっての】


 うぐぐ……ちょっと思っただけだよ。

 子供じゃあるまいし、そんな突発的な散財はしないもんね!


【ふふふ……冗談じゃから許すがよい。

 そも、その金子きんすはおぬしが文字通り命を賭けて戦い、そして結果として得た報酬。それを本心から悪銭というのは些か物事が見えぬ愚物の言であろう】


 久しぶりのからかいに悔しく思いつつ、それ以上の反論は諦めて掲示板の方へと向かうことにした。

 幸いなことに依頼の達成報告をしているうちに、液晶の前に立ちはだかっていた連中も大分少なくなっており、随分と見やすくなっている。

 さて、一体どんなイベントが載ってるのかな……?

 少し胸を高鳴らせながら覗き込んだオレの目には、


『緊急告知! 下記日程にてアップデートを予定しております。

 日時:内部時間 8月14日22時(日本サーバ時刻)

 アップデート内容の詳細につきましては8月10日12時より告知致します。こちらの掲示板及び登録メールアドレス、及びホーム画面のお知らせよりご確認ください。

 尚、アップデートに伴うログアウトは必要ありません』


 液晶に出ているそんな内容が飛び込んできた。


「…………ッ」


 おいぃぃぃぃぃッ!!?

 アップデートとか、こんなハッキリ書いたらダメじゃね!?

 具体的には|斡旋所の皆さん(NPC)に丸わかりになっちゃうだろぉぉぉぉぅ!?


【案ずるでない。この画面、一般人には見えておらぬ。

 ほれ、出雲がステータスチェッカーを教えてくれた際に言うておっただろう。主人公プレイヤー以外には違うものが見えておる】


 それを聞いてほっと一安心しつつ、


「……エッセが見せたかったのはコレ?」


【うむ。GMとしての制約があるから詳細を話すことは出来ぬが……かなりの大事になるのは間違いない。情報収集も含め、仲間同士で備えておいた方がよい内容じゃ。

 心の準備も含め、色々と備えておいてもらいたかった】


 ま、不幸中の幸いか、オンラインゲーム部の合宿を挟んだ後の話だし、注意しておくことにしよう。エッセがここまで言うってことは、何やらヤバい感じが滅茶苦茶してるし。

 その頃には出雲も大会から戻ってきているだろうし、内容の告知後に一度みんなで相談して対策出来るように段取りだけしておくか。


 そう決意した後、オレは斡旋所を後にして顔出しをするべく加能屋へ向かい、1日を終えた。



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