表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Your name is  作者:
ONE/Start is the destiny.
6/12

第六話 人が人じゃないって、どう説明すればいいんだろう

 ここは何処だ……

 目を覚ました場所は、俺の知っている我が家なんかではない。むしろ室内ではない。冷たい夜風が俺の頬にぶつかっている。

 何も見えない……視界を布かなにかで遮られていて何も見えない。

 俺は倒れていた。砂地の上に。仰向けに倒れていて分かった。俺の両手は後ろで縛られている。そのため、砂が俺の手にあたった。ジャリジャリする。

「これは……」

 急に何かが軋む音が響いた。この音は、ブランコ。いや、シーソーか。

 きっと、ここは公園なのだろう。俺はすぐに予想できた。

 俺を襲ったフードの男。あいつが俺を縛りつけ、公園まで運び込んできた。可能性はそれしかなかった。

「力はまだ発動しないようだな……」

左のほうから覚えのある声が響いた。俺を襲ったクソ野郎だ。

「何が目的だ。凛はどうした!」

 きっと、凛が帰ってこないのもこいつのせいだ。こいつのせいに決まってる!

「なぁ、目隠し、外してやれよ」

 男の他に誰かいるのか。男は誰かに指示を送っている。少なくとも、二人はいる。指示をだした男と出された人物だ。

「うぐっ……!」

 目隠しを外された俺はまず、目隠しを外した人物を見た。

「……凛!?なんで……」

「ごめんね、お兄ちゃん」

 凛は悲しそうな瞳で俺を見た。

 なんで、俺をそんな目で見る?

 そんな目で見るなよ……似合わないじゃないか。

「悪いな。貴様の妹はお前の力を解放させるために協力してもらっている。もちろん、こいつは色々と可愛がったがな」

 フードの男は凛の頭を叩いた。俺が唖然としている間に凛は男の傍に歩み寄った。

「貴様……凛に何をした!」

「調教さ。少し荒々しいがな」

「……!?貴様、よくも!」

 俺の心の鎖が、砕けた。

 俺の両手を縛るロープは粉々に砕けた。俺はすぐさま起き上がり、男に襲い掛かる。

 だが、フードの男は俺の攻撃を軽々と避けた。それどころか……

「お兄ちゃん!」

 凛が叫んでいるのが聴こえる。そりゃそうだ。俺の腹に銀色に光る刃が突き刺さってんだから。

「まだまだだな」

 男は刃を抜き取る。その刃はナイフでも、剣でもない。

 男の右手だった。

「なんで、手が……」

「お前はこの世界のことを何も知らない。自分の力さえも、俺たち魔導士の存在も」

 次に男の右手が俺の心臓を貫いた。俺はそのままよろけ、身体が崩れ落ちた。

 もう死ぬのか……短い人生だったな。

 凛……お前の笑顔、もう一度見たかった……


―あなたはまだ、死んじゃ駄目。


 頭に声が流れると共に、俺の心の何かが覚醒した、感覚がした。

「ほう…やっと覚醒したか……」

 男はにやりと微笑んでいる。

「凛を……返せ!」

 俺の身体は跳んだ。飛躍的に高い。

 身体が軽い!

 体重がないと思えるぐらい、俺の体が軽くなっている。

「アァァァァァァァァァ!」

 雄叫びを上げ、俺は空中で右手の平を男に向けた。

 掌にエネルギーが集中し、粒子状の球体を作り出した。

「くらえ!」

 緑色に光る粒子の球が男を直撃した。男は球の速さから逃れることはできなかった。

「……波動、なんて力だ。だが、これまでだ」

 男は向きなおり、凛に右手の刃を突きつけた。

「なっ!」

 俺は男の前に着地した。だが、攻撃できなかった。凛の首筋に男の刃がつきたてられているからだ。

「妹はもらっていく。お前は、ここで死ね」

 男は左腕を振るった。突如、左腕を振るった近くの空気が一変にして変わった。炎が上がったのだ。突然現れた炎は俺を襲う。

「グワァァ」

 近距離からの攻撃をたやすく回避することは難しい。俺の身体はたちまち炎につつめれていく。

「こんなものぉぉ!」

 それは、俺自身驚くほどのパワーだった。両手の掌から水が射出したのだ。まるで、消防隊でおなじみのあの水だ。

 俺は水によって体の炎を消した。大量のやけどを食らうはずだが、無傷だった。火傷のあとはない。強いて言うならば、衣服が燃えただけだった。

「どうなってんだ…………凛!凛は!」

 ようやく気がつく。だが、公園を180度見回しても男と凛の姿は見当たらない。

「リィィィィン!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ