第五話 人の価値って、なんですか?
放課後。俺は、家に帰る前にコンビニによって雑誌を呼んでいた。
怜奈は先に家に帰った。
俺自信、今は一人でいたい気分だった。
「凛の奴、なんで電話に出ないんだ?」
凛はついに反抗期になったのだろうか。
電話にもでない、メールにも変身しない。
兄の俺が悪いことでもしたのだろうか?
まあ、兄弟喧嘩ってのはいつのまにか終わってるもんだ。
誰がなんといおうと、俺はそう思う。
俺が呼んでいる雑誌は、情報雑誌だ。
一番の見出しを見る。
《謎の殺人事件!》
死体は誰か認識することもできないほどばらばらにされているため、雑誌に映る死体写真はモザイクばかりだ。
こんな手間のかかることするなんてな、殺戮を楽しんでいるか、相当のバカだな。
「夕飯、どうしようかな……」
家に帰ると、何処にも妹の姿はなかった。
「あいつ、何処いったんだ?」
まあ、友達とどっか言ってるんだろうな。夜まで帰ってこないのだろうか……
何かと考えていると、家の玄関が開く音がした。
「凛か?どこ言って……」
部屋に入ってきたのは俺にとって見知らぬ男だった。深くフードをかぶって顔は良く見えないが、体型からして男だ。黄土色のローブを着ていて、手足はローブによって隠れている。
「あんたら、誰だよ」
「お前が、斑神陸か?」
「ああ、そうだが」
そう答えた途端、頭に鈍い痛みを感じた。男に頭をつかまれた。そのまま俺は体を掴み上げられた。
「お前はまだ、あのことを覚えているか?」
「なんの、ことだ……」
「記憶障害だというから、お前も探すのに急かされたんだ。可能性のある奴を片っ端から殺しては誰か分からないようにするのも面倒くさかったんだぜ」
「お前……バラバラ死体事件の……」
「ふん、答える必要はないな」
俺は男に思いっきり投げ飛ばされた。
「ぐはっ!」
壁に叩きつけられ、俺は勢い良く床に転がり落ちる。
「なんなんだよ、てめぇは……ぐはっ!」
腹にけりをくらった。
鈍い痛みが走った。
「おもしろいなぁ。お前は。目も瞑らないのか」
男は俺の右腕を掴み、力を入れた。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
人の腕力とは思えないほどの力だった。
一瞬にして、俺の右腕から骨が砕ける音が響いた。
「骨を粉々にしたが、こんなんじゃまだ足りねぇ……だが、お前はまだ殺すわけにはいかねえんだよなぁ。たくよ、惜しいぜ」
その男の声を聞いたのが最後だった。俺は、さらなる男の蹴りによって頭に痛みが走り、そのまま気を失ってしまった。