第四話 授業ってやっぱ寝ちゃうよね
「陸、授業中ずっと寝てて先生に気づかれないなんて奇跡としかいいようがないよ」
明人、俺もそう思うぜ。
俺は自称居眠りが得意だが、授業の最初に熟睡して先生に気づかれなかったのはびっくりだった。気づいててもう呆れられているという線も考えられたが、第三者からの観点で見ればその考えは0%だ。
よって、俺は先生に気づかれなかったことになる。
「しっかし、あれで寝てるなんてね、私も気づかなかったよ」
怜奈が言った。レナ曰く、それは神技らしい。
俺はバレないようにと、肘をつついて右手で拳をつくって顔を支え、俺の利き手である左手でシャープペンシルを持ったまま睡眠についた。それが幸いを呼んだか。
「あっという間に午前が過ぎたぜ」
「ほとんど寝てたでしょ」
怜奈のツッコミはスルーする。
「よし、飯だ!」
俺は無理やり話題を変えて俺は弁当箱を開ける。
ちなみに、自炊弁当だ。凛は調理はできるが、兄として俺が責任を持って二人分の弁当を作っている。
「いつもおいしそうだね」
怜奈がよだれをたらしそうな勢いで俺の弁当を見下ろす。
「今度作ってきてやろうか?」
「えぇ、いいよぉ、悪いしに」
「まぁ、遠慮すんなって!」
「じゃあ、俺にも!」
「男に作る飯はないな」
「なんだと!」
明人が怒鳴り散らす。
「にゃははは!彼の弁当は私だけの弁当なのだよ、ワトソン君!」
「これは俺の」
俺の弁当を奪おうとして無理やり引き離した。
ま、これから先本当にそうなるとは思わなかったけど。
俺は腹がすいてたから猛スピードで弁当にありつく。
「くったくったぁ!」
「早っ!」
ありつく時間、実に20秒だった。