第二話 当たり前のことを言うが、中学は義務教育だ
世間一般に人気なスマートフォン。おちろん義務教育の中学校には持ち込み禁止だが、俺は登下校は堂々と持ち歩いている。今は音楽を聴いているため、ヘッドバンドを身に着けている。ヘッドバンドは両耳に当てるもの。普段俺は耳に差し込む形式であるイヤフォンをつけているが、学校での俺は何かと目立つ存在なので、俺自身目立つ行為をしているというのだ。俺は他人から見た自分を知らない。この前俺は同級生に頼んで、他人から俺はどう見られているのか聞いてみた。そしたら、結構な量の答えが返ってきた。
・みんなの中心的人物。
・みんなを楽しませるムードメーカー。
・頭が良い。
・好青年。
・何かとトラブルに巻き込まれやすい体質
・物忘れが酷い
・校則破りのヤンキー
以下etc……
なんかどんどん印象悪くなってきてるけどそれはあえてスルーしよう。みんなもスルーしてくれ。
まあ、そんなわけで、俺は目立つ存在であり、みんなの頂点に立つ男だ!
「何一人でにやけてんの、お兄ちゃん?」
凛がひくぅ~と言った表情を見せる。
妹にきもいぃって言われてるような顔で見られる兄の気持ちがようやく分かった……
まあ、別にそんなことどうでもいいんだ。
問題は……
「いやぁ、実に距離が長い……」
俺の家から中学までは距離がとても長い。だから早起きして早くに家を出ている。凛の通う小学校は中学校の隣接であるため、通学路は同じだ。
いつもならここらへんで、あいつと会うんだけどだなあ……
「わぁっ!」
「うおっ!」
いきなり後ろから抱きつかれた!何奴だ!
「って、怜奈……朝っぱからなんてことしてんだお前は…」
周りの視線が痛い。
「ごめんごめん。ドッキリ大成功だね」
「ったくよ……」
怜奈はようやく俺から離れた。
「おしどり夫婦ですね」
「違う!」
「違うわよ!」
「声がハモったですね」
凛が俺と怜奈をからかう。
ちなみに、さっき怜奈がドッキリと称して抱きついてきたが、決して恋人だからではない。怜奈はただの幼馴染であり、抱きついてきたのは彼女にそういう癖があるからだ。よく恋人だぁ、とか、おしどり夫婦などと言われてからかわれることがあるが、断固否定する。
「凛、何回言ったら分かる。俺たちはただの親友だ」
「幼馴染じゃなくて?」
「幼馴染だから、親友なんだよ」
そこで俺はウインク。
「リィ君、それはないよぉ」
「……だよな」
これも俺の当たり前の日常だった。