第十一話 神の冠を知れ
俺は、この力を、神の冠をもっと知らなければならない。神の冠に選ばれたんだ。
「やあ」
「おう、もう戻ってきたか」
千夜さんは木にもたれかかっている。俺を待っていたみたいだ。
「瞬間移動の使い方はよおく分かったみたいだな。よおし、その調子でどんどん行こう。まずは炎からじゃな」
「炎、か」
俺は右手を掲げた。
……俺は炎を操りたい!
「……やっぱり最初は無理か」
簡単には技を使うことはできない。やっぱり現実はそうだよな。
「そういえば、千夜さんは超能力使えたりしないわけ?」
「私は使えない。私が頼りとするのは身体能力だけだ」
「そうですかぁ……」
俺はもう一度何回か試してみる。
だが、炎は一向に現れない。
どうしたらいいかな……
「違う考え方をしてみればいいんじゃ」
違う考え方。
その途端、俺は凛をさらったフードの男を思い浮かべた。
あの男を、炎で焼き尽くしてやりたい!
その刹那、俺の体全体が炎に包まれた。
「よし、やった!やったぞ!」
俺は喜びのあまりその場に転んでしまう。だけど、そんなの気にしない。俺は炎を出すことが出来たことが嬉しくて仕方なかった。