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短編集

異世界へ強制招待!?

作者:

闇を引き裂くような絶叫に氷雨は深い笑みを零すと地面転がるごろつきの一人の背中を盛大に踏み付ける。


「さて、あたしの担当区域で随分おいたしたみたいだが」


ぐりぐりと下駄で容赦なく踏みにじる度に足元から叫び声が上がるが氷雨は赤い瞳に喜悦を浮かべるのみで動きは決して止めなかった。

     

「調停師 氷雨に喧嘩売ったんだ。アヤカシとしての誇りがあるなら大人しくお縄につきな」


アヤカシと人が暮らす日の国。人にはない不可思議な力をもつアヤカシ専門の捕縛人。それが調停師である。

薄ぐらい所があるアヤカシにとっては天敵なのだがごろつき達は調停師ではなく”氷雨”という名に一斉に硬直させた。


「氷雨・・・・だと?」


「敵に対して必要以上にいたぶり遭遇したアヤカシが例外なく従順化して再犯率皆無なため”調教師゛の異名をもつあの?」


「高笑いとともにアヤカシの自尊心を粉々にして更なる屈辱と恐怖感を植え付けゲボクとするというあの?」

     

 ごろつき共の言葉に氷雨の笑顔の種類が変わる。より危険で物騒な種類のものに。 


「いてててぇ〜〜〜〜〜!!!おい!お前らあんまり刺激するなぁ〜〜〜〜!!!!」


氷雨に踏み付けられた男が直接的な被害に遭う。


その声に顔を引き攣らせ黙り込んだごろつき達だったが氷雨の担当区域で悪さをしてそれを氷雨本人に見咎められた時点で彼らの運は尽きていた。


「さて」


「・・・・・!?」


どんな凶悪犯を目の前にしてもこうはならないだろう具合に恐怖で震えるごろつきに氷雨は愛用の刀を鞘から抜くとにこりと愛らしい笑みを向けた。


「お互いに言葉も尽きた」


ぶんぶんと首を横に振る男たち。言い訳はたくさんあります。

が、氷雨は軽やかに無視。


「神妙にお縄につきな!」


嬉々とした氷雨の声にアヤカシの悲鳴が重なる。

と、その時。


「っ!」


氷雨の足元に見慣れない幾何学模様の光の陣が現れた。


「なっ!」


驚く氷雨の頭の中に強烈なほど強く木霊する『声』。


『我に従え』


強く深く氷雨の中に入り込み彼女の存在そのものを支配下に入れようとする力。


屈せよ、従えと響く声に呼応するように陣の光がますます強くなっていく。

それと同時に氷雨の中にふつふつと沸き起こる感情。


「ふっ………ふふふっ」


低く笑い出した氷雨に事の成り行きを見ているしかなかったごろつきたちがびくっ!と震える。

そんな周囲など完全に無視して、ついでに拘束するように強まる光も頭に響く声も重くなってひざをつきそうになるからだも全部全部無視して氷雨は心の底から………怒った。


「ふざけんなぁ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


怒りという怒りが篭った怒声に自分が言われたわけでもないのにその場に土下座してしまうごろつき達。

氷雨の渾身の一喝により陣の光が弱まった。ふいに軽くなったからだに氷雨は身体を伸ばし怒りで爛々と光る瞳のまま更に怒鳴りつけた。


「どこの馬鹿か知らんが、こんなふざけた真似しくさりおって!許さん!!説教かましてくれる!聞こえてる!?今からいくから正座して待ってな!」


炎を吐かんばかりの勢いでそう言うなり、弱まった陣の光が再び強くなる。氷雨の姿が消える寸前、彼女は土下座をしたままのごろつき達を振り返り一言。


「あんた達は番所に出頭しな!逃げたら折檻だからね!」


「「「はい!!」」」


竦みあがったごろつき達が氷雨の姿が消えるなり番所に駆け込んだのは言うまでもない。





補足 氷雨は異世界召喚、しかも使い魔として召喚されかかるも、怒りで反発した挙げ句自らの意思で召喚者を説教しに行きました。


召喚者側のお話も構想中ですので気長にお待ちくださいませ。

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