討伐組合
「佐平太組どうだった」
「逃げてたぞ」
「そうか、良かった」
「今月は犠牲なしで済んだな」
「大ましら三体じゃなかったんだな」
「俺が見ただけで十体はいたぞ」
元酒場の椅子に座って組織長が呼びかける。
「さっちゃん招集宜しく、出来れば三十人」
「目的地に着く前に仲間割れで散っちゃいますよ?」
「相手も固まってはいないからバラバラでも良いじゃないか?」
「はあ、一応鐘叩いておきますね」
そう言って一つ結びの髪を揺らして大部屋を出ていく。
「未在達はどうだい」
「気にしますね?」
「小さいころから知ってるからな、俺達も余裕が無かったからなぁ」
「見回り組帰りましたー」
「ご苦労さん、江戸の周りはどうだった?」
「何とか襲い掛かろうと動いてますね、魔王もいないのに」
「あそこは剣豪も多いから大丈夫だろうけど、一応定期戦力出しとくか」
「未在組はもう目標討伐達成まじかですよ」
「うへぇ、雨の月にも成ってないのにか?うらやましいねー」
「じゃあ治圭太も討伐組に来いよ」
「いやですよ、命が大事ですから」
「逃げるの前提で掛かってるんだがなぁ」
「良いことも有るだろう」
「俺は給金の方が良いですよ」
そう言って治圭太は奥の席に腰かけ酒の注文をする。
「早苗さんと良治は?」
「逢引きですよ、真似事ですが進めました」
「そうか、何か変わったか?」
「目じりが少し下がってる気がしますね」
其の時最初の密偵が思い出したと声を上げた。
「あっそうだ、未在の奴笑ってましたよ」
「本当か、そうか、少しずつ戻っていくんだな」
そう呟いて組織長、八飯賀 長重は冷めたお茶を口に運んだ。