表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王コペオの独裁日記  作者: BrokenWing
11/19

魔王の後始末1

       魔王の後始末1



 その後、吾輩達が外に出ると、まだあの者達が頑張っておった。


「動物を大切にしよう!」

「動物虐待は犯罪です!」


 ふむ、熱意は分かるが、これでは、やはり迷惑であろう。やるのはいいが、このように、直接利害が出る場所では不味かろう。

 振り返ると、館長が縋るように吾輩を見ている。


「うむ! 皆の者! 問題は全て解決した! そなたらも大義であった! 引き上げるがよかろう!」


 すると、予想はしていたが、連中は引かないようだ。


「いや、せっかくここまで来たんだ! 俺達は今日一日、ここで抗議活動を続ける!」

「そうだそうだ! 虐待はんた~い!」

「あら? あなた、この拉致犯人に骨抜きにされたわね!」

「そうよ! この、裏切り者~!」


 う~む、これでは収拾がつかぬであるな。

 ふむ、ならば……。


「対象この者達! ウィルアップ! そして、アンリミテッドトランスレート! 期間2分!」


 吾輩は、この者達全員に、意思力を増幅させ、更にその意思を、周囲の全ての知性ある動物に伝わるようにしてやった。


「ならば、今ここで、その思いのたけを解き放つがよい! もう、吾輩は何も言わぬ!」

「ん? 今、何かしたか? でも、そういう事なら遠慮なく行くぜ! 皆! もう源波さんは関係ない! ここで、俺達の動物愛を叫ぼうじゃないか!」


 全員、目を輝かせ、そのリーダーに追従する!


「我々は、人間のエゴで動物を利用する事に反対する! 動物園反対! 水族館反対! 捕鯨反対! ヴィーガン万歳!」

「そうよ! 私達の動物愛が世界を変えるのよ!」

「そうだ! 俺達には、人間よりも動物の方が大事なんだ!」

「動物たちに愛を!」

「「「「「「我々の動物愛は、地球より重い!!」」」」」」


 ふむ、中には若干危ない者もおるようだが、これは見ものであるな。


 数分後。


「え? ちょっと、何これ?」

「わわ? な、何だ?」

「げ? これは?」


 ふむ、この者達の愛が伝わったようであるな。

 周囲から、一斉に野良犬や野良猫、そしてカラス共が、群れをなしてこの者達を取り囲む!


「ワン!ワワン!バウ!」(コペオ訳:何ていい人達だ! 俺達は、一生あんた達について行くぜ!)

「ニャ! ニャニャ、ナ~ゴ~」(コペオ訳:あたし達もよ! そして、人間に見捨てられたあたし達にご飯頂戴! ってか、あたしを飼って~!)

「カーカー、ア~ホ~!」(コペオ訳:拙者らも感謝するでござる! そうだ! これからゴミ出しは、直接道路にバラ撒いて欲しいでござる!)


 全員、野良動物達に囲まれて、とても嬉しそうであるな。

 皆、手足を滅多やたらに振って、喜びのダンスを踊っておる!


「では、ユリ、帰るぞ! あの者達も、感激のあまり、もはやデモどころではなかろう」

「は~い。後~、コペオちゃん、あの人達、絶対に家に入れないでね~」

「うむ!」


 ユリは吾輩を抱き、困惑している館長を残し、タクシーを拾った。


「こ、こら、それ以上寄るな! あ~! つつかないで~っ!」

「ちょ、汚いわね! この、特別仕様のデモ隊装備が汚れるじゃない!」

「か、痒い! ダ、ダニがぁ~っ!」

「こっちはノミがぁ~っ!」


 過ぎたるは猶及ばざるが如し。

 何事も、程々が良かろう。



『本日昼過ぎ、『ちょっと過激な動物愛護団体』が、デモ抗議中に、動物を虐待している映像が撮影されました。皆、群がって来る動物達に対し、殴る蹴るの暴行を加え……』


 現在、吾輩とユリは、ステーキという、肉の塊を堪能している。


「ふむ、ちとやり過ぎであったか?」

「どうだろ~? でも~、あの人達も動物に慕われて満足なんじゃな~い?」

「うむ! この動物の肉も美味である!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ