[24] 遭遇
現れた瑠衣さんは、にっこり微笑んだまま、軽くお盆を掲げてみせた。
「お昼、お持ちしました。お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「ああ、うん。ありがとう」
お邪魔します、と断ってから、瑠衣さんは部屋の中に上がってくる。
お盆の上では、美味しそうなチャーハンが湯気を立てていた。
「ツナのチャーハンです。冷蔵庫の余り物で申し訳ないんですけど……」
「いやいや、作ってもらえただけでありがた過ぎるから」
一人暮らしあるある、ではないが、食事を誰かに作ってもらえるだけで本当にありがたい。
瑠衣さんは楽しそうにテーブルに食器を並べ始めるが、僕は気になることが一つあった。
「お友達の人はいいの?」
「はい。よくわからないんですけど、急に飛び出していってしまいまして」
困ったように眉を八の字にして、瑠衣さんは首を傾げる。
なにか急用でもあったのだろうか。
「鞄は置いてあるので、戻ってくるとは思うのですが」
「そうなんだ」
瑠衣さんもよくわかっていない様子で――そして、特に気にしていないようで――チャーハンの楽しそうに準備していた。
一通りの準備を手早く終えた瑠衣さんは、エプロンを外しながら僕を見上げてきた。
「いつ戻ってくるかわからないので、ここで私もご一緒してよろしいでしょうか?」
「うん、それはもちろんだけど……」
来客を放置していて、いいのだろうか?
わりとその辺り、ふわふわした感覚らしい瑠衣さんは、あまり気にした様子もなく、嬉しそうに着席した。
「ちなみに、お友達って、どんな人?」
「えっと、とっても綺麗な人です」
視線を持ち上げながら、瑠衣さんはその友人のことを口にしてきた。
「大学に入ってからのお友達で、仲良くしていただいている女の子です。この辺りの出身だそうで、ご自宅も、出身高校も、このすぐ近くだそうですよ」
「このすぐ近くの高校……?」
思い当たるのは、僕の通っている高校くらいだ。
もしかしたら、同じ学校の先輩だったのかもしれない。
「妹さんが一人いらっしゃるみたいで、入れ違いで同じ高校に入学したそうです。部活も同じだそうで、時々、楽しそうに妹さんのことをお話しされていますよ」
「へえ、妹さんが同じ高校……」
姉妹で同じ学校、というのは、まあ、そう珍しいことではないだろう。
部活も同じとなると、結構なレアケースかと思うが、あり得ない、というほどではない。
「高校生の時は生徒会長をされていたそうで、多くの生徒さんたちを纏められていたそうですよ。凄いですよね」
「……生徒会長?」
当然だが、生徒会長というのは、学校に一人しかいない。
僕のいた高校の生徒会長で、瑠衣さんと同学年、となれば、自動的に、あの人ということになる。
妹が同じ出身校――サクラは、同じ学校だ。
そして、同じ部活に所属している――地層研究部の前の部長は、生徒会長だった。
そうなると、ある人物の顔しか思い浮かばなくなり、僕の背中に冷たい汗が流れたところで、
「――――どういうこと!? 反対側の家、お婆ちゃんの一人暮らしだったんだけど!」
その人物が、僕の部屋に再び駆け込んできた。
「レン先輩?」
「レンちゃん?」
「え?」
「え?」
僕と瑠衣さんは、大きく目を見開き、顔を見合わせる――




