2話
気絶から目を覚ますと辺り一面は鬱蒼とした森だった。
「どこに出るか分からないと言っていたがさすがに森の中は無いだろう」
どっちに街があるのか分からないのでとりあえず森の中を歩く。歩き始めたのは太陽がまだ頭の上にあったはずなのだが気づくとすでに沈み始めていた。
「やばい。全然森を抜けることができない。仕方がないこのまま森で野宿するしかないのか」
どこか安全に寝れるところがないか森の中を更に五分ほど歩く。
「いや〜〜〜〜〜〜誰か助け……」
遠くから誰かの悲鳴が聞こえる。何者かに襲われているみたいだ。(ここからそう遠くないところが犯行現場だな。仕方がない。助けにでも行こうか)
急いで悲鳴のした方に急いで走って行く。
(でも、俺って実戦経験ないんだけど大丈夫かな?まぁなるようになるだろう)
悲鳴のしたところにつくと一台の馬車が転がっていてその周りを薄汚いおっさん5人が囲んでいる。鑑定するとおっさんたちが盗賊でそのうちの一人が少女を捕まえている。多分その子が悲鳴をあげた本人だろう。鑑定するとどこかの貴族の娘らしい。盗賊と向き合うように三人いるが恐らく護衛だろう。
(1つ貸しでも作りましょうか)
職業の詐欺師のスキルの認識阻害を使って盗賊だけに気づかれないように近づいて行く。
そろっと盗賊の中に紛れ込んだ。少しばかり護衛の人たちが顔を引きつらせているのが分かる。少女を捕まえている盗賊の真横に移動する。
「先輩、片手がふさがっていては辛いでしょう。代わりに預かっておくので殲滅してください」
「お前なかなか気がきくな。今回の取り分を増やしてやろう」
リーダー格の男は上機嫌でこちらに少女を渡してくれた。少女は今だに怖いのか先ほどから小刻みに体を震わせている。少女を片手で抱え上げると少女の顔が意外と近くにある。
「安心しろ。後はどうとでもやってやるからほんの少し俺がいいというまで、目を閉じておけ」
少女が驚いたように目を見開く。それでもしっかり目を閉じた。(さてさっさと片付けましょうか)
背中から大鎌を取り外し少女を背中におんぶする。背中に二つの柔らかいものが当たっている。ごちそうさまです。
「……お前何をしてる」
リーダー格の男がこちらの異変に気付いた。
「お前ら、何ぼさっとしている。早くそいつを殺してとり返せ」
4人が周りを包囲しながら距離を縮める。確かに数の利が活かせているがこっちは一般人ではないんでね。
「刈り取り」
スキルを発動させる。このスキルは対象のものを刈り取ることができる。例えば精神力や意識など様々なものを刈り取れるが肉体にはダメージがない。手加減がしやすいスキルだ。回転しながら大鎌で斬りつけると体に変化はないがばったりと倒れていく。今回は意識のみを刈り取った。残りのリーダー格の男に突っ込んでいき上段から振り下ろす。とっさに剣で防御するがこちらは鎌なので湾曲している部分が刺さり意識を刈り取られる。盗賊の身包みを剥ぎ衣服で拘束する。
「もう目を開けても良いぞ」
少女がその言葉通りに目を見開き盗賊が倒れていることに驚愕する。そのまま護衛のところに連れて行く。
「すいません。なんとお礼申し上げればいいのか」
「別にどうでも良いんだけど。ここの近くに街か村ないかな?」
護衛の人の話を無視して話を進める。
「ここから5キロほど歩くと辺境の街があります」
「分かった。助かったよ」
そのまま護衛と少女を置いて街に向かう。途中でコソコソしているおっさんたちがいたので全員気絶させておく。
一時すると少しばかり大きい街が見えてきた。辺境にしては壁が低い気がするが今は別に良いだろう。門はまだ開いていて兵士さんが受付していた。
「すいません、街の中に入りたいんですけどどうしたら良いですか?」
30代前半くらいの男が出てきて対応してくれた。
「おう、この街は初めてか?ここは辺境の街レルムだ。ギルド証はあるか?」
かなり強面の割に親切な対応だ。できれば若い綺麗なお姉さんが良かったのは内緒だ。
「すいません、ギルド証はないです。この街は初めてです。後お金は一切ありません」
強面の男はうんうん相槌をうってくれている。
「分かった。なかなかこの街に来るのはたいへんだっただろう。ギルドはこの道をまっすぐ行ったところにある。本当は身分証かかねを貰う必要があるが俺がついて行ってやる」
なかなかに親切なおじさんだ。しかもかなり頭が柔らかいという滅多にいない良い人だ。
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけします」
そのままおじさんに連れて行かれ街の中を歩いて行く。かなり質素でぎりぎりの生活をおくっていることが分かる。道中でおじさん(アーサーというらしい。無駄にかっこいい名前だ)に聞いたところここは辺境だから度々魔物が襲ってきたり物資が不足したりするため発展が滞っているらしい。
ギルドに入ると酒を飲んでいる冒険者も何人かいるが誰もまだ絡んでこない。多分アーサーさんが一緒にいてくれているからだろう。受付まで行くとアーサーさんは門の見張りに戻って行った。受付は若くて茶髪の綺麗なお姉さんだった。(しっかりフラグがたったようだ)
「えっと……冒険者登録したいんですが、どうすればいいですか?」
「とりあえずこの書類に書いてください。その後戦闘試験があってその結果によりA〜Fまでのランクに分けられます。実際にはSSSまであります。でも今日は遅いので明日にしてください。」
なかなかこの街の人たちは良い人ばかりらしい。
「分かりました。換金できるところありますか?ちなみにオススメの宿とかありますか?」
「換金はそちらから見て一番左です。宿は烏の濡羽亭です」
言われた通りに一番左のカウンターに向かう。あまり換金するものがないので盗賊から奪った武器を売却する。(ちなみに盗賊はまだ残党が残っているみたいだが現金はあまり持ち歩いていなかった)全部売ると10000Gに成った。さっそく紹介された宿に向かう。初めてこの街に来た人にも分かりやすところに宿はあった。外観もそれなりに綺麗な宿で二階建ての宿だった。中に入ると40位のおばちゃんとその娘ぐらいの人が受付に立っていた。
「いらっしゃいませ。烏の濡羽亭です。一泊1,000Gで二食朝と夜付きで昼はプラス200Gで食べれますがどうしますか?」
「とりあえず二泊お願いします」
そう言って2000G支払う。
「こちらが鍵になります。お部屋は二階の一番奥になります。夕食は一階の食堂に来てください」
そう言って真っ黒なカードキーを渡された。一旦部屋に入った後食堂で夕食を食べた。豚人の肉野菜炒めだったがなかなか美味しかった。部屋に戻りベッドに横になった。疲れてたのかすぐに意識を手放していた。
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また次の投稿は来週の土曜日を予定しています。




