12話
刹那とどっちが先に着くか競走していたが森の中に入ると魔物と戦っている気配を感じる。
「これは急がないと危ないかな?今のところは負けそうにないがそれでもかなり数が多いな」
気配のする方へと急ぐ。近づくにつれて魔物の死骸が増えている。見たところほとんど急所に穴が空いている。
「この傷跡あいつのに似ているな。だとしたらもっと急がないと。大軍は苦手だったはずだから」
草むらを抜けると3匹のオークが取り囲んでいるのが見える。一匹は目に矢を刺されてかなり怒っているようだ。手に持った斧を振り上げている。「ま、まだ死にたくないよ。もっとこっちでもいろんなやりたいことあったのに。こんな死に方嫌だよ。だ、誰か助けてよ」
素早く回り込んでつまみあげる。間一髪オークとの間に入ることが出来た。
「久しぶりだな、希海。ほら、何とかなっただろ」とニヤニヤ笑いかける。
「陽くん。どうしてここに?」
まぁそりゃそうなるな。
「まぁ成り行きだよ。いつものように主人公補正があっただけだよ」
実際に俺には運がよく大抵のことには自分の都合の良いことになるからな。
背中に装備してた大鎌を手に持ち一振りする。オークの首が綺麗に切れて落ちる。
「さぁ、第2ラウンドの始まりかな?」
「てか希海は動けるか?」
元の世界での友達に話しかける。
「ちょっと無理そう。体力も魔力もほとんどない」
確かにひとりであんな数の魔物を相手にしたらそんなふうになっても仕方ないか。
「良し、ちょっと我慢しろよ」
希海に近寄り両手で持ち上げる。俗にいうお姫様抱っこである。既に大鎌は背中に背負っている。
「キャッ、えっ、え、何してるの?」
希海が顔を赤くして動揺している。
「これが1番持ちやすいしついでに動揺する希海を見れてかわいいなと思ったから」
「持ちやすいからね。なるほど.....じゃないから何がかわいいよ、全くこんな時に...」
希海を抱えたまま魔物のいる方へと歩いていく。
さて今の新しい力を使おうかな。今の力はこんな感じ。
黒鷺陽
レベル78
年齢 17歳
職業 詐欺師
種族 死神(中級)
称号 転移者 テイマー 魔王
攻撃 16500(+15000)
防御 10000 (+3500)
速さ 14500
知力 19500
魔力 38000
体力 37564
装備装備 死のローブ(回避率上昇) 死神の目(鑑定・中級 )大鎌・断罪(不壊)
スキル 詐欺師(フェイク・多重思考・コピー)
死神(カット・鎌装備自攻撃範囲拡大調節可能・鎌鼬・後ろの正面)
魔王(配下のステータス上昇・経験値分配)
影魔法(影操作・硬化・影打ち・黒槍・黒鎖・影渡り・黒鎌)
フェイク
相手を騙し惑わすことが出来る。詐欺・詐称などの上位互換。
コピー
同じパーティーのスキルを8割の力で真似ることができる。使用中は自分のスキルを使えない。また自分のスキルや持ち物なども複製することが出来る。
段々、昔のスキルに近づいてきた。特にコピーとフェイクのお陰で戦術がかなり幅広くなる。さてと腕ならしに殲滅しますか。
ちょうどいい所に魔物の群れがやってきた。
「黒鎌。コピー」
一気に自分の周りの影から全部で四つの鎌が現れる。他にスキルを使わないならこれくらいの鎌を出すことが出来る。能力は装備してる鎌の性能を8割にした程度のものだ。獲物を見つけた魔物の群れは一瞬でこちらを囲んできた。
「ちょっと、やばくない。ゴブリンとかオークやらいろんな奴がいっぱいいるよ」
慌てた様子で希海が話しかけてくる。
「慌てるな。あれぐらいはどうってことは無い。殺すのが1番ギルドでだっただろう」
そのまま歩いていくと自動的に鎌が動き出し周りの魔物を駆逐していく。数分も経つと周りには一匹足りとも生存している者はいなくなった。
「いや、いつ見ても理不尽な強さだと思うよ、それ」
希海が呆れた声でこちらに話しかける。
「いや、それほどでもないよ。全く照れるな〜」
「いや、褒めてないから」
その後も素早く駆逐して回る。そろそろすべての魔物を駆逐し終わる。後気配に映るのは少しと言った所かな。そうこうするうちに気配は一つ二つと消えていった。多分刹那が倒したのだろう。
「じゃあ、エルフの所に合流しようか」
希海は首を傾げる。
「なんでエルフのことを知ってるの?あの人たちの事は話していないのに...」
「領主さんから依頼を受けたからちょっと行ってきたんだけどまだ森に人がいるって聞いて探しに来たんだよ」
ちょうど避難していたエルフ達に会って傷だらけのエルフたちが教えてくれた。泣きながら身振り手振りで必死になっていたから急いで駆けつけて来た。一応護衛としてスラさんを1部置いていったけど。
エルフのいる所へ戻ると列をなして待っていた。すると列の間から1人のエルフがこちらに向かってきた。
「この度はエルフ全員を救っていただきありがとうございます。誠に何とお礼申し上げれば良いのか…それといつまでそのようにしているおつもりですか?」
言われてからようやく希海をお姫様抱っこしていたままだということに気づいた。二人して顔を真っ赤にしながら希海を降ろす。遠くから何人かのエルフが悔しそうな顔をしている。
「終わったよ〜陽。あっ、久しぶりのぞみん。のぞみんもこっちに来てたんだね」
少し気不味い空気を打破してくれたのは残党狩りをしてくれていた刹那である。刹那は歩いて帰るより速い飛行の魔法を使って戻ってきたらしく空からやってきた。
「久しぶりセナ。相変わらず元気そうだね」
「こんな場所では何ですから、我が家に来てください。そして皆のものは復旧作業に取り掛かるように」
4人は村長の家に向かった。
「此度のお礼はどのようにしたら良いでしょうか?」
三人はそれぞれ顔を見合わせて話し合う。しばらくして俺が代表として言うことになった。
「今回は領主様直々の救援依頼だったので同盟に基づき特に見返りは求めていません。なので詳しいことはまた領主様と話し合ってください」
「それではこちらとしての面子が.....でしたらそれぞれに精霊の加護などはどうでしょうか?」
精霊の加護とは精霊の恩恵を受ける事で様々な効果を得られるというものである。
「それならば是非お願いします」
そして三人は村の奥にある泉に連れていかれた。そこは幻想的な世界でいるだけで心が癒されそうな空間だった。
儀式はスムーズに終わりそれぞれ精霊の加護を受けた。俺は死神という種族であまり適正がなかったので死神の目を少し強化してもらい、刹那は合成魔法を使えるようになった。そして希海は精霊魔法を使えるようになった。そして俺たち三人はエルフの村を去り辺境の街に帰って来た。街に入り領主の館に向かう。さて事後報告を終わらせて早く帰ろうかな。
「刹那と希海はちょっと買い物に行っといてくれ。希海の日用品でも買ってこい」
「「はーい。行ってきます」」
2人は顔を見合わせで(全く妙なところで気遣いが細かいんだから)
「何か言ったか?」
「「何も言ってないよ」」
陽は首を傾げながら領主の下へと向かった。




