朱雀刹那の話
時間軸は黒鷺陽と別れて一人で買い物に行くところまで戻る。
「はぁー、久々の外だよ。封印されてる時間が長かったな。昔の人も自分勝手過ぎると思うよ。折角魔王を倒したというのに...」
刹那は神様の手違いで少し前の世界に飛ばされてしまっていた。遡ること約数十年。
いつもの様に自室でFSOにログインしていた。愛用しているキャラは種族が吸血鬼で職業が魔女で魔法に特化しつつ直接戦闘にも対応可能なキャラだった。また種族の固有能力で脅威的な再生能力を持っていてギルド内でも最強候補の1人だった。装備も1級品で全てがシークレットレアの装備に身を包んでいる。メイン武器はギルド内の職人に造ってもらった刀である。これの切れ味はさることながら魔法の威力も上昇させるぶっ壊れ機能を持つ。(アイツの大鎌も凄かったよな)ギルマスでありなおかつギルド内の全員でかかっても勝てない程の強さを持つ人のことを思い出す。ログインしてみると珍しく運営からメールが届いている。このゲームは基本何をしても良くプレイヤーの自由のためほとんど運営は干渉してこない。不思議に思いメールをみる。そして陽と同じように転移させられてしまった。
目が覚めるとそこは真っ白な部屋だった。目の前ではこれまた真っ白な机と椅子に座っている何かを飲んでいる女性がいる。まだこちらが意識を取り戻したことに気づいてなさそうだ。(あ〜何となくこのあとの展開読めたな。まぁまぁメールにも書いてあったからな…とりあえず服装の確認と。)全身をみてゲームの時と同じ装備であることを確かめるアイテムとかの類いはいつも魔法で収納していたがレベル1に戻っていて魔法とスキルがリセットされていると予測する。1通りの確認が終わったので音をたてないように向かいの椅子に座る。女性は未だに気づいていないようだ。仕方ないので声をかける。
「すいません。転移させられたんですけどどうすれば良いですか?」
人がいきなり声をかけられたりするとどうなるか簡単なことである。ただただ驚いてしまう。
「キャッ!」
そのまま綺麗に後ろに倒れていく。ガタンとコントのように倒れて床に頭を打ち付けて涙目になる女性。こちらをみると咳払いをして椅子に座り直し何事も無かったかのように話を始める。
「えーと私はまぁいわゆる女神というものです」
(凄くドジでリラックスしていたのだが...)
「女神にも息抜きは必要何です!それは置いといて貴方には異世界に行ってもらいます。(以下長文)」
黒鷺陽にしたような説明を刹那にもしていく。最後に質問のコーナーに移る。黒鷺陽は特に気にしてなかったが刹那はかなり慎重だった。(だって異世界は男子高校生の夢だよ!とどこかの男子の証言)
「スキルとかはどうなるんですか?」
「基本的にはFSOと同じですが裏ルールとしては性格や生活習慣にも影響されます」
話し合いが終わるとすぐに転移を実行させられた。何でも後ろがつかえているらしい。そして転移させられたのはいいが少しだけ時間軸がズレてしまっていた。
刹那はその世界で成り行きのまま王様の依頼のため魔王を倒して英雄と言われ歓迎を受けた。しかしそれは長くは続かなかった。あまりにも強大な力はいつ自分に降り注ぐか分からないため人々は次第に恐れが起こる。その結果英雄のことをよく思わない人たちが率先して迫害を始めた。そして人々の不安に火が着くとそれは大きな炎となって刹那を襲った。そしてあのダンジョンに封印されることになった。ちなみにその追い出して封印した王国は魔物の大氾濫によって滅びてしまった。その大氾濫の原因は封印したダンジョンだったため英雄の呪いとして恐れられた。
過去の回想を終えた頃にようやく店が並ぶ地域にたどり着いた。少し周りから訝しむ視線や下心丸出しの下卑た視線を感じる。そんな視線を無視してお店を探す。基本的には今つけている装備を超えるようなものは見つかりそうにないため、普段着やアクセサリー中心に見ていく予定だ。とりあえずは日用の服を見に来た。少しは予想していたがそこまで可愛い服はなかった。ただ下着などは替えを含めていくつか買えた。最後にアクセサリーも一応見ていこう。アクセサリーが置いてある店には様々な人たちが来ていて貴族用から市民用そして冒険者用まで幅広く揃えてあった。どれも少し高めの値段になっている。貴族用は見た目重視で冒険者が効果重視、市民用は値段重視で作られていた。
「私はこのちょっと高めの髪飾りにしようかな?」
見た目は黒地にピンクの桜のような花がついた髪飾りを手に取る。効果は魔力効率上昇(中)と魔法威力20パーセント上昇が付いていて値段は今の手持ちぎりぎりの高さだ。
(今回は自分へのお祝いとして買っちゃおう)
早速買ったばかりの髪飾りをはめて宿に戻る。色々なお店を見て回ったので時刻はかなり過ぎてしまいもう夕方になってしまっている。通りを歩いていると前から冒険者らしき男が3人並んで歩いている。
「おいそこの嬢ちゃん。俺らと遊んでかない?」
「楽しい思いができるぜ」
「見たところ魔法使いみたいだからお持ち帰りしようぜ」
視線が身体中を舐め回すように見るので嫌悪感しかわかない。ただここで面倒を起こすのも嫌なので軽く無視して帰る。
「おい無視すんのか!」
肩を掴んで引き止められる。面倒なのでやってしまうことにする。その前に最終警告でもしといてあげよう。
「警告です。これ以上私に関われば公開しますよ」
かなり冷たい態度で警告する。装備も色々と耐性が付いているが無視できる範囲である。
「ハッハッハッハ。面白いこの程度の魔力しか持たず更に筋力などないのに」
鑑定の下位互換のスキルである感知というスキル持ちらしい奴が口を開く。
(馬鹿かこいつはそんな力を丸出しにするような馬鹿はいないし私はこの街にいられないわ)
また手を伸ばしてきたので軽く体を引き無詠唱で相手の足元を凍らす。
「何!?無詠唱で魔法だとこの威力の魔法だと上級の魔法か?」
「ふん、勘違いも甚だしい。これは初級魔法のアイスボールの応用版だ。冥土の土産に教えてやったよ」
男達の顔から血の気が引いている。
「サイレントボール」
当たった対象を話せなくする魔法使いの詠唱を封じるための魔法を使う。これで声も聞かなくて済む。いっときすれば話せるようにはなるようにしている。
「火球」
狙うは男達の頭の上にある髪の毛だ。ハゲにする。なんか男達が言っているが何も聞こえないので無視する。
最後は氷球を当てて鎮火させてそのまま放置しておいた。
「そのまま反省してから氷が溶けるのを待っとけ!」
その後は特に問題なく帰り着くことが出来た。ちょうど宿の前で陽と会う。陽がこちらに気づくと軽く手を振って駆け寄ってきた。
「髪飾りを買ったんだね。け、結構、に、似合ってるよ!」
少しどもりながらも新しくしたことに気づいてくれる。そういうところがいい所だと思う。
「ありがとう。似合ってるならとても嬉しいよ」
このあとそれそれ今日あったことを話しながら夕食を取り早めに寝た。
読んでいただきありがとうございます。評価をいただけると嬉しいです。また質問なども受け付けています。分かりづらい所などを質問してもらっても大丈夫です。




