温かい冬
隼人と貴博を少し若返らせました。
(隼人=中1 貴博=小5)
ある冬の日の夜。
僕、綾小路隼人は今日も2つ年下の幼なじみ・岩崎貴博を家に泊める事にした。
貴博も僕も大好きな、いわゆる「お泊まりの日」である。
就寝時間の10時。
いつもはベッドを貴博に譲って、僕は床に敷いた布団で寝る事になっているのだが。
ここで思わぬ展開が来た。
「隼人兄…」
「ん?」
名前を呼ばれて貴博の方へ行くと、彼は布団から顔と手だけを出した状態で僕を見やっていた。
心無しか瞳が潤っている気がする。
「今日は隼人兄と一緒がいい…」
な………!? 何してくれてるんだ、貴博。
同じ部屋にいるだけでは物足りないってか!?
まだ小学生とはいえ、何なんだ、この気持ちは。
それでもとりあえず、貴博の気持ちに応えてベッドで一緒に寝る事にした。
「もう、急にどうしたの? 甘えたいのかな?」
身体を90度左に反転させて手を繋ごうとした次の瞬間。
なんと貴博は僕の胸に顔をくっつけて抱きついたではないか。
その様は、まるでコアラのようだ。
「た、貴博?」
「なんだか寒くて……でもこうしてくっついていると温かいんだ」
胸に顔をくっつけたまま、頬をスリスリさせる貴博。
思わず胸がキュンとし、気付けば僕は貴博の背中に手を置いて優しくトントンしていた。
「…それは僕も同じだよ」
ふと、窓を見ると今の僕たちの雰囲気に合わせるように雪が降っていた。
紺色の空と、純白の雪。
まるで絵本のような清らかな風景をバックに、僕は貴博におやすみのキスをしてゆっくりと目を閉じたのだった。