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ゲーム世界に召喚された俺は、闇堕ちして魔王をはじめました  作者: ひしゃまる
第一章 魔王、新生
8/22

ラブコメ

魔王城に一番近い街セイルンを目指して、森を抜けた。


「さて、ヌエをどうしようかな」


ブレインウォッシュは召喚魔法とは違うため、キマイラのヌエをどこかにしまったり隠したりしておくことはできない。


少し考えて、ヌエには森に隠れていてもらうことにした。


「呼ぶときは、この指笛を3回吹くから、そしたらこっちにくるんだぞ」

指笛をピイィッと吹いてみせる。

『メ』

『ガル』

『グァ』

キマイラの三つの頭は、こくこくとうなずいた。


「ヌエヌエって、そんなに耳がいいの?」

「勝手に名前を変えるな……その時は迎えに来よう」


スマートフォンのマップを見る限り、森の出口からセイルンの街まで、馬の早足で1時間くらいだ。

ゲーム内よりも距離の感覚が5~6倍に広がっているが、それでも往復できない距離ではない。


「それもそーね」

アーリュはにっこりと笑った。

「なんか、機嫌いいッスね」

「え、だってなんか、迎えにいくとか、家族っぽくない?」

「いや、魔王だし」

「魔王婦人かー」

「いや、人質だから」

そう言って、ふと思い出した。


「ちょい待ち、アーリュ」

「ほへ?」

俺は来た道を戻って、森の繁みの中へと彼女を手招きする。

彼女は微かに頬を赤らめて、こっちの方にやってきた。

「ちょ、な、なにするつもり……? こんな繁みに連れこんで」


いや、連れこんだんじゃなくて、君が素直に招かれちゃってるんですがね。

俺は、アーリュを大きな木へと追い込んで、彼女に覆いかぶさるように木の幹に手を突く。

壁ドンならぬ、木ドンといったところだ。


俺が真面目な表情で見つめると、アーリュはカアァッと耳まで赤くなってしまう。


「ちょ、ダメよ……そんな、こと……」

目をうるうるさせちゃって、なにを妄想しているんだろう?

面白いから、要件はすぐに済まさずに、そのまま眺めることにする。


「そ、そりゃあ、あたしはゼロの奥さんかもだけど……こ、こういうのは結婚してからっていうし、お父さまにも報告しなきゃだし……」


「ほう。しかし俺は、そんなつまらぬことには頓着せぬぞ。魔王だからな」

「にゃにゃっ!」


俺がずいと顔を近づけると、アーリュはさらに顔を赤くして狼狽する。


「や、でも……あたし、その、は、初めてだし……できればその、こんな繁みとかじゃなくて、ロマンチックなのがいいかなーって」

「ほぅ、まだ誰の手もついていない生娘か。よいぞよいぞ」


「た、助けてヌエヌエ! ぷひー」


アーリュがスッカスカの指笛を吹くと、繁みのほうからさっき別れたヌエが姿を現した。

俺がやる指笛とはまるで違う音色だったが、おそらくアーリュの声を記憶しているのだろう。

賢い奴だ。


俺たちの状況を見て、ヌエはなにかを悟ったようにその場にお座りのポーズを取った。


『メ』

『ガル』

『グァ』


にゅるりと、尻尾が伸びてくる。

よく見ると、尻尾は蛇の頭をしていたんだな。


「なんだこれは?」

俺が尋ねると、ヌエはヤギのねじ曲がった角を穴に見立てて、そこに、ドラゴンの細長い舌を出し入れして見せた。

まぁなんというか、つまり性行為を現してるんだろう。


さらに、蛇の頭がブルブルと高速振動をはじめる。


ぶぃいいいいいいん……!


凶悪なほど震動した蛇は、やがて目を回してとまる。かわいいなおまえ。


「なるほど、特殊プレイが必要なときはお呼びくださいということか」

『メ』

ヤギの頭がはっきりと首を縦に振った。

「ひぃっ」

ようやく、事態を理解したアーリュは青ざめた。

「あああああたしそのちょっと、そういうのは……は、初めてはその、すすすす好きになった人がいいし、二つ同時とかマニアックなのも……」

「結構そういう知識に詳しいんだな」

「にゃ、にゃあ!」

恥ずかしそうに視線を泳がせる。

「だ、だって……その、捕まってるあいだ暇だったし、ルフィアってお母さまがハーフだから、すぐにエッチな話題をするし……」

ルフィアって、アーリュが魔王城に捕まってるあいだによくしてくれた、魔王の娘だっけか。


まぁとりあえず――。

「ふん、おまえの都合など知ったことか」

「や、やぁっ」


怯えたアーリュにむかって、俺は手をかざした。


「サイレント」


「いやー、おかさん……んんん?」


悲鳴の途中で言葉を奪われたアーリュは首を傾げて俺を見あげた。

俺は彼女から身体を離して、町の方へと足を向ける。


「んんんん?」


どゆこと、と聞いているのだろう。

「いや、人質に逃げられると困るから、助けを呼べないように『サイレント』をかけてやろうと思ったんだけど、なんか勘違いしていたのが面白くって」


アーリュは再び顔を真っ赤にした。


「んんー、んの、んぃんぃんぅーっ!」

「もぅ-、この、鬼畜ーっ!」といったところだろうか。


「いや俺、魔王だし」

「ふがーっ」


ポカポカと叩いてくるアーリュの拳を背中に浴びながら、俺はセイルンの街に入った。



話を進めようと思ったんですが、ちょっとテレビがぶっ壊れたりして、その修理に追われてしまったので(真田丸見られなかった……)、ラブコメ的な掛け合いなんかを。

アーリュ、個人的にはとても愛おしいんですが、こういうアホの娘っぽいチョロヒロイン、いかがでしょうかね。

ハーレム展開はもう少々お待ちください。

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