ステータス
俺はファムに俺が勝ったことをみんなに秘密にするように頼んで、みんなのいるところに戻った。もちろん、負けたことにするために悔しい顔を作っている。
「東堂君大丈夫だった?」
「東堂君でも無理だったのね。」
千羽は俺の身を案じてくれていた。正直に言おう。ちょっと嬉しい。惚れはしないが。鈴木はどこか期待していたような感じだ。まぁ、実際勝ったけどね。
「千羽、心配しすぎだ。まぁ、その、心配してくれてサンキューな。っていうか鈴木は俺に期待しすぎだ。お前が勝てないのに俺が勝てるはけないだろ?」
俺がそう言うと、千羽はホッとしたような表情になり、鈴木はジトッとこちらを見て来た。
「全員終わったので話したいんですがいいですか?」
ナイスタイミング。視線でファムに感謝を送ると、微かに頰が赤くなった。かわいい。
「では、簡単にあちらの世界について説明させて頂きます。」
あっちの世界の大陸は4つある。
人間国『ヒューマ』エルフ国『エルフィード』獣人国『アニーメラ』魔人国『デビラシオン』。
俺たちを召喚したのは人間国であり、文明は中世ヨーロッパをイメージした感じ。
あっちの世界には全種族共通の敵がおり、それらは魔物と呼ばれる。生物の強さはF〜Sランク、その上に特級、戦略級、幻想級、神級となる。魔族の平均の強さはAランク相当。一番強くて戦略級程度らしい。
「質問はありますか?」
ファムがそう尋ねると1人の女生徒が手を挙げた。
「なんでしょう?」
「あの、私、勇者なんかやれません。元の世界に返してください。」
「最初に言いましたが私は勇者召喚したところに割り込んだにすぎません。なので、私の力では。申し訳ありません。」
そこまで言うと、女子が絶望したように泣き出してしまった。何人かで慰めつつ、ファムに当たるのは違うと理解しているので何も言わない。
「もう、質問はいいですね?では、ステータスの話をしましょう。自分に対してもっと知りたいと思ってください。」
【ステータス】
レンヤ
人間
武神 魔神 神級精霊術師 神級テイマー
レベル1
HP 12500
MP 25800
STR 9800
DEF 8900
AGL 11000
スキル
剣術 Lv10
刀術 Lv10
短剣術 Lv10
槍術 Lv10
斧術 Lv10
無手術 Lv10
二刀流 Lv10
双剣 Lv10
火魔法 Lv1
水魔法 Lv1
風魔法 Lv1
土魔法 Lv1
光魔法 Lv1
闇魔法 Lv1
氷魔法 Lv1
雷魔法 Lv1
精霊魔法 Lv1
モンスターテイム Lv1
使い魔召喚
精霊召喚
無詠唱
鑑定
ステータス保護
ユニークスキル
魔法創造
武神の資格
魔神の資格
神精霊術師の資格
神級テイマーの資格
称号
裏闘技場1位
武皇帝
神の恋人
これはなかなか強いんじゃないか?
(レンヤさん聞こえますか?ファムです。)
ステータスを確認していたらファムの声が聞こえた。ファムの方を見ると、口に人差し指を当てて静かに、というポーズをとっている。
(心の中で私に話しかければ聞こえますよ。)
(こうか?)
(はい。)
どうやら成功したらしい。
(レンヤさん、あなたのステータスは他の人と比べて異質です。なので私の指示するようにステータスをいじってもらいます。)
俺はファムに言われた通りにすることにした。
ステータスを偽るのはステータス保護で出来るらしい。
その結果、こうなった。
【ステータス】
レンヤ
人間
剣士 魔法使い
レベル1
HP 180
MP 180
STR 150
DEF 90
AGL 110
スキル
剣術 Lv3
風魔法 Lv1
鑑定
ユニークスキル
称号
(ファム、これは弱すぎないか?)
(いえ、平均より上ですよ。ただ、あなたの問題はジョブですね。)
(やっぱりそのまんまの方がいいんじゃね?)
(いえ、そういうわけではなく、その、皆さんは勇者のジョブがあるのですが何故か蓮也さんのには無いのです。)
(・・・・・・ヤバい?)
(・・・前例が無いのでなんとも。)
(まぁ、いいか。ファムはその、つ、ついてきて、くれるよな?)
ガラにもなくファムを求めている自分に恥ずかしくなりながらも聞いてみた。
(もちろんです。どこまでもついて行きます。その、・・・私はレンヤさんのものですから)
ファムも照れながらも答えてくれた。ファムの頰が微かに赤くなっている。あー、今すぐ抱きしめてやりたい。
ファムへの思いがヒートアップする蓮也だった。
「さて、そろそろステータスの確認も終わりましたか?皆さんの平均がだいたい100前後だと思われますがこれはレベル1にしたら異常の強さです。」
・・・えっ、100で異常?じゃあ俺は?もしかして化け物扱いされる?隠して良かった。ファムありがとう。
「鑑定は他人や、物にも使えますがあまりマナー的にあまり良くないので気をつけてくださいね。では、送ります。」
(レンヤさん、私もついて行きますが、私は霊体化してついて行きます。)
(霊体化?)
(はい、そうです。レンヤさんにだけ認識出来るようになる状態です。もちろん実体化も出来ますので、その、こ、行為に及ぶ時の心配もありません。)
ファムが照れている。本当に気持ちが抑え切らなくなりそうだ。
まだ、逢ってそれほど時間が経ってないのにもう、気持ちが抑えきれないほどファムを欲してしまっている。恋に時間は関係ない。昔の人はいい事を言うものだ。
そんな事を考えながらまた、俺たちは光に包まれた。