闘技大会2日目1
「お待たせいたしました。これより闘技大会2日目、午前の部、精霊術師対決です。司会は1日目に引き続き我々『大地の源』が務めます。」
「「「「「ワァァァァァァァ!!!」」」」
「それでは第一回戦!なんと、1日目ですでに二冠、完全制覇も夢ではない。誰もが予想にしなかった最強。レンヤ!」
「「「「ワァァァァァァァ!!!」」」」
おー。凄い歓声。いや、嬉しいもんだな。
「レンヤに立ち向かうは優勝候補、勇者の中でも1番の精霊術師、ナオト!な、な、な、な、なんと、彼が契約しているのは光の精霊王、これは幾ら何でもレンヤさんのスペックが高くても難しいんじゃないでしょうか!?」
精霊王?精霊神だぞ?しかも、精霊魔法も一応限界突破しておいたしな。
「リヒト、頼むよ。」
ナオトが精霊王を召喚した。光って所がクラス委員長らしいよな。
「レンヤ君、君が王城を出て行ったのは1人で生きていける自信があったからだったのか?」
「1人ではないがな。」
「勇者よりも力があるのにどうして、どうしてみんなを守ろうとしないんだ!」
最初は穏やかだったが、いきなり切れ始めやがったよ。面倒くさい奴だな。
「気に入らなかったからだ。」
「なっ!僕たちがどういう気持ちだったか、君に分かるか!?初めて魔物を殺した気持ち、死にかけた時の気持ち、君に分かるのか!?」
「分かるはずないだろ?」
こいつは何を言っているんだ?弱ければ死ぬ。当然のことだ。魔物を殺した気持ち?蚊を殺すのも魔物を殺すのも一緒だ。いちいち気にしていたらきりがない。そんな事もわからないとはな。
「裏闘技場、知ってるか?」
「いや、知らないが。」
「地球の格闘家たちを始め、犯罪者など、制限なしに参加できる闘技場。そんなものがあった。」
ナオトも黙って聞いている。
「そこでは、基本的にルールはなし。武器を持ち込み、運が悪ければ死ぬことだったてある。」
ナオトは顔面蒼白になり、僅かに震えている。それでも俺は続ける。
「俺は裏闘技場に参加していた。あそこでは俺のランキングは1位だった。当然俺は何人も人を殺した。」
「君は、人をなんだと思っている!?」
遂にナオトが怒鳴った。まぁ、しょうがないか。
「人は人だ。弱い奴は死ぬ。そういう環境に居たんだからしょうがないだろ?」
「何を言っても無駄のようだね。でも、強いなら僕たちに協力してくれてもいいんじゃないか?」
「なら賭けをしよう。」
「賭け?」
「そうだ、お前が勝てばいくらでも協力してやる。だが、もし俺に負ければ2度と俺に文句を言うな。」
「・・・・・・いいだろう。君も精霊を召喚してくれ。」
「言質はとった。来い、レーナ。」
「はい。あら?あなたは光の?」
どうやらレーナは光の精霊王に気がついたようだ。そして、レーナが声を掛けたら、精霊王が跪いた。
「ど、どうしたんだ、リヒト!」
「この方には逆らってはいけない。ナオト、降参しなさい。・・・はやく!」
「なっ!」
「まぁ、当然だろうな。」
「な、何をしたんだ!レンヤ君、これは卑怯だぞ!」
「卑怯?おい、リヒトって言ったか?俺は卑怯か?」
「いえ、滅相もありません。」
「あのー。すみません。そろそろ始めたいんですけどいいですか?」
「我々は棄権だ!」
「ちょっと、リヒト!」
「黙れ!降参しないと契約を切るぞ!」
「え、えーと、れ、レンヤの勝ち!」
観客は当然盛り上がらなかった。まぁ、戦いを見に来たのに戦わなかったからしょうがないか。
そして、俺は一切戦うこともなくこのトーナメントを制した。途中で怪しく思った、『大地の源』の鑑定役のショウがレーナを鑑定して精霊神だとバレてしまった。まぁ、構わないが。
「これにて、精霊術師の部は終了です。では、休憩をはさみ、午後はテイマーの部だ!」
まぁ、ヨウコを出せば万が一にも負けることはないだろう。