闘技大会 1日目
遂に闘技大会当日。
この日までファムに「あり得ません。」と言わせるほど俺は力をつけた。一応勇者相手だから念には念を入れてみた。ちなみにファムとヨウコVS俺の戦いもしてみた。結果は10秒どころか5秒も持たなかった。ヨウコは自信を無くすどころか「流石です、ご主人様。」と尊敬された。恋人にそう言われて浮かれていたのはここだけの話。
さて、話を戻そう。ガラードはルールは基本的にないと言っていたがあれは嘘だった。調べてみると、確かに道具の使用は許可されているが相手にダメージを与えるものは禁止となっている。さらに武術系統においては魔法は補助や回復など敵に攻撃を加えないもの、魔法使い系統は武器の持ち込み事態禁止。さらに、精霊術師系統は精霊魔法のみ、テイマー系統に至っては道具すら使用禁止なのだ。
闘技大会は2日に分けて行われる。
1日目は午前に魔法使い系統、午後に武術系統のトーナメント、 2日目は午前に精霊術師系統、午後にテイマー系統のトーナメントが行われる。
「今日は出番が無いが、明日ヨウコには出場して貰うからよろしくな。」
「もちろんです。今日はファム殿と観覧席よりご主人様の戦闘を見ています。」
「分かった。ファムもだが、お前らは贔屓目抜きにしてかなり整っている。変な奴に絡まれないように気をつけてくれ。」
「「分かりました。」」
「いよいよ始まります、毎年恒例20歳未満による闘技大会だ!実況を勤めますは我らSランクパーティー『大地の源』。私は魔法担当のミュウです。ちなみに恋人募集中!」
「俺は前衛を担当するゼンだ。」
「俺は主に鑑定をしたり罠を探知したりする盗賊ジョブのショウだ。」
「と言うことで、第1回戦、・・・」
試合が始まった。出場者は個室が与えられそこから闘技場の様子を見ることができる。勇者同士が戦っているが、本当に勇者か?と疑いたくなるくらい弱い。
呆れながらぼんやりと試合を見ていると俺の番が来た。
「さて、次はまたもや勇者、シュウ。対するはギルド登録から一ヶ月でAランクまで上り詰めたレンヤ。彼の依頼達成確率は100パーセント。今回、学園長が彼に出るように勧めたらしいです。これはどちらも期待できそうだ。ちなみに賭けの倍率は何と180倍。賭けている人が本人と学園長のみという状況です。」
俺の名前がコールされた時、観覧席などからざわめきが聞こえた気がする。
「お前、東堂か!?」
「今はレンヤだ。」
「落ちこぼれが何故ここにいる!」
「何か言い合っているところ申し訳ありませんが始めさせていただきます。・・・・・始め!!」
何かされるのも鬱陶しいので雷魔法を無詠唱で発動し、意識を落とさせた。
「きききき、決まった〜〜!なんという早業でしょうか。雷魔法により一瞬で意識を奪ったようですね。期待が高まります。」
適当な実況だなと思いながら個室に向かった。結論から言うと、決勝まで全て同じ方法で勝てた。呆気ないものだ。そして、俺と学園長はガッポリお金を稼いだ。
午後の武術系統のトーナメントも大したことがない。たまに勇者と戦う時、俺の事を確認してくるだけだ。
そして決勝。唯一勇者の中でまともな動きをしていた鈴木、いや、シオリだ。
「まさかレンヤくんとこんな形で戦う事になるとは思わなかったよ。」
「俺もだ。流石に退屈だったから少しは楽しませてくれよ?」
「もちろんよ。」
始まると同時に斬りかかってきたやつとは違い、様子見とナイフを投げてくる。結構鋭い。だが、俺はそれを最小限の動きでかわした。今までは飛び込んできたのをカウンターを峰打ちで、沈めてたが、これは期待できそうだ。シオリの武器は刀のようで、切り札を切ることにしたらしい。いや、それ以外で勝つ方法がわからなかったのだろう。
「抜刀術か。構えは悪くない。あとはスピードが俺よりあればいいな?」
「知らないの?抜刀術は素早さが命なのよ?」
無駄口を叩きながらも構えは崩さない。
「反応しろよ?俺の速さに。」
俺はそう言って、神速魔法を使った。今ではLvも上がっている。俺の速さは光を超える。
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」」」」」
はたして、この会場に俺の速さを目で追える奴がいただろうか。そんなことを考えながら、実況の優勝宣告とそれによる歓声を背に俺は帰った。