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藤伊千代子伯爵夫人(1934年9月20日)

藤伊千代子伯爵夫人が母親へと成長します。


子供達は皆ハイスペックです。父親の藤伊栄一伯爵だけ一般人ですなぁ。転生者でなければ、子供達とも釣り合わない気がします。

1934年9月20日



藤伊栄一伯爵49歳、


藤伊千代子伯爵夫人27歳、


子息

藤伊幸一、嫡男10歳


藤伊誠一郎、次男5歳


藤伊綾子、長女3歳、双子


藤伊加奈子、次女3歳、双子







藤伊伯爵一家はドイツのベルリンの邸宅にいる。


「ママァー。パパがあそんでくれない。」


「パパ。にいにいたちばかりとあそふ。」


にいにい達とは長男の藤伊幸一10歳、次男の藤伊誠一郎5歳である。廊下で藤伊千代子伯爵夫人を見つけた2人の女の子が話し掛けてきた。片手にぬいぐるみを持ちながら水玉模様のパジャマを着ていた。彼女達は藤伊栄一伯爵の双子の娘である。年齢は3歳だが、立って歩き、日常会話ならほとんど問題ないほどだった。


髪が長い女の子は長女の藤伊綾子。髪が短い女の子は次女の藤伊加奈子。二人共、美人な母親似である為、母親の藤伊千代子伯爵夫人からは、、私の天使たち、、と呼ばれていた。


「そんな、悲しそうな顔をしないで私の天使たち。美人な顔が台無しになってしまうわよ。」


妻の藤伊千代子はそう言いながら、娘達の目線の高さまでしゃがんで両手でそれぞれの手を握った。娘たちにべたぼれ中だった。


「ねぇ、お母さん。お父さんそろそろ帰ってくるよ。」


千代子の後ろには自分の頭のサイズより一回り大きい海軍将校の帽子を被っている男の子がいた。彼がかぶっている帽子はそこいらの店が売り出している偽物でなく、本物だ。藤伊栄一海軍中将の帽子である。上官と会う予定がない日は基本的にスーツで出勤していた。


「あ、誠一郎。ちょっと、呆れた目でお母さんを見るのやめてぇー。悲しくなるよー。」


その男の子の目は自分の夫である藤伊栄一が呆れた時にする目と同じだった。まあ、それも仕方がない。親子なのだから。男の子の名前は、藤伊誠一郎。藤伊栄一伯爵と藤伊千代子伯爵夫人の次男である。誠一郎はお父さん大好きっ子であった。


「今夜、お父さんと貴族のパーティーに出席するんでしょう。準備終わったの?お父さんが時間に厳しいこと知ってるのよね?」


誠一郎は壁にある時計を指差していた。


「もうっ、5歳児なのに可愛げないよぉー。お母さん悲しい。」


「せいにい。ママをいじめちゃダメェ!」


「ちょうちょう。ママがわらってないとパパがプンプンににゃるの!」


双子の綾子と加奈子が母親の千代子を庇うように誠一郎との間に立った。二人は父親の藤伊栄一が不機嫌になると遊んでもらえなくなると思っていたからだ。別に千代子の為ではなく自分の為であった。


「おい。ちょっと静かにしてくれよ。うるさいぞ。」


部屋の扉が開いて中から藤伊伯爵家長男の藤伊幸一が出てきた。千代子達が幸一の部屋の前で騒いでいたからだ。幸一は10歳の為、私立の学校に通っていた。莫大な資産を保有する藤伊伯爵家の嫡男として相応しくなる為日々努力している。部屋で勉強しているのに部屋の外で騒がれていたら溜まったものではない。


「幸一、誠一郎がお母さんに優しくないの。」


「母さん、俺の話聞いていた?」


「幸一も冷たい。そんなんだと、可愛い女の子に嫌われるよ。」


クスクスと笑いながら、幸一を見ていた。


「........。告白なら、数えられないくらいされたよ。」


幸一は、、(何も知らないの)、、と言う顔をしていた。藤伊幸一は藤伊伯爵家の嫡男だ。つまり、藤伊栄一伯爵の後を継ぐ。学校での成績も常に上位であり、運動能力が高い幸一は女子の憧れの的だった。顔面偏差値普通より下の藤伊栄一と偏差値68オーバーの藤伊千代子の遺伝子を持っているから、偏差値60ぐらいの顔である。雑誌に載るまではないが結構いい方だ。


「ほへ........。そんなのやだよぉ〜!息子の幸一がモテることは、父親の栄一さんもモテることだよぉー!」


一瞬、驚いた顔をして文句言いはじめた。


「いつも、パーティーだとおんにゃのひとがパパにすぐよっていくよ。」


「パパはあーちゃんとかなちゃんがだいちゅきだからたいじょうふ!」


双子達は母親千代子の胸に刺さるような言葉を言いつつ、千代子に抱きついていた。口では父親が好きと言っているが、母親の千代子も大好きであった。父親の藤伊の交渉を影から見ることが楽しみの一つとなっていた事が関係しているだろう。中々帰ってこない父親に構って貰おうと彼女らが考えたことだ。藤伊に見つけてもらう本来の目的は殆ど達成されなかったが、語彙力大幅向上、一定の交渉術を身につけてしまった。幼い脳は覚えることに長けている。


「父さんがモテること当たり前でしょ。母さん、伯爵夫人なんだろう。伯爵家の財力知らないの?」


「知らないけど、栄一さんが使っていいお金をもらっているもん!確か、私の貯金が4500万円ぐらいだったと思う。年末一度、栄一さんが200万円ぐらいまた振り込んでくれるから極端に減らないよ。」


抱きついていた双子の娘たちから離れて言った。


「マジで........。母さん、金銭感覚大丈夫?4000万円は空母1隻分の建造費だよ。」


幸一は海軍の機密資料をコッソリ盗み見ていた。現在実行段階に移行中の第二次海軍軍備充実計画で建造が決定している空母蒼龍の建造費は約4000万円だ。兎も角、千代子の貯金だけで空母1隻の建造ができるのだ。


「そうなの?」


「うん。母さんって運がいい人なんだね。母さんの実家、陸軍系の貴族は没落しているのに。」


「そんな事ないよ。日本の貴族院の御婦人達だけのパーティーだと皆さん、そんな素振りを見せないわよ。」


「貴族院........。父さんの知人や子分が半数以上いる。」


大日本帝国の国会は衆議院と貴族院がある。衆議院は国民から選ばれた者が国会議員になる。貴族院は貴族でないと貴族院国会議員になれない。貴族院は基本終身である。解散もない。非政党制主義であり、衆議院の政党体制を好ましく思っていない。


貴族院がここ数年以上静かにしていた。貴族院から内務大臣が選出されていたからだ。貴族院から内務大臣の椅子に数十年以上座り続けた故藤伊一郎伯爵は貴族院議員から圧倒的な支持を得ていた。特権を守る存在とされていたのからだろう。


貴族院には藤伊伯爵家の椅子がある。当主の藤伊は海軍軍人を理由に正式な貴族院議員になっていない。でも、藤伊伯爵家の椅子はある。将来、退役した藤伊が衆議院議員になる事を防ぐためだ。衆議院議員として政治の舞台に上がったら、敵になるかもしれない。


絶対に避けなければ、ならない!


昔からの特権階級は世界的に見ても排除されていくだろう。自分より圧倒的な資産を保有する貴族が敵になる。藤伊伯爵の傘下にいれば、昔からの特権階級の中でも数少ない勝ち組になれる可能性が高い。衆議院議員ならば、傘下に入り難い。


「お母さんはパーティー好きなの?兄ちゃんも不思議に思わない?偶にお母さんお昼前から夕方まで家にいないよ。」


「鋭いな、誠一郎。で、母さん何やっているの?」


藤伊兄弟の父親譲りの弱者を追い詰める4つの瞳。自分の母親だとしても、情けなんてない。藤伊の悪い癖まで引き継いでいた。冷静になり過ぎると損得勘定だけで物事を判断してしまう癖だ。


「もぉー、栄一さん一筋だからね。栄一さんの好みや行動パターンなんて全部知っているのよ。平日は各国の大使夫人と会っているのよ。お母さんはこう見えても、5ヶ国語を話せるのよ。」


腰に手を当てて偉そうにする母親。千代子の首には藤伊の写真が入っているブローチをいつも携帯している。


「「!」」


母親がクルクルと二人の前で回っている。それで、千代子が履いている足首まであるスカートのフワリと上がって、両膝下に隠されている武器を息子達は目にとらえた。色々な事が抜けているであろう自分達の母親が足に武器を隠している。これに二人は驚きを隠せなかった。右足に拳銃。左足にナイフ。


「あれ?スカートの中見ちゃった?........。私は栄一さんの敵なら誰でも容赦しないわ。」


首を傾げて千代子はケラケラと笑い、一瞬で両手に拳銃とナイフを持った。ナイフの切先と拳銃の銃口は息子達、幸一と誠一郎に向いていた。


「あー!ママ、ぶきつかってるー!」


「パパにいうよ〜!」


わざとらしいタイミングで双子の姉妹が声を上げた。


「ご、ごめんなさい。ね、栄一さんに言わないでね。週末のお出かけがなくなっちゃうから。」


直ぐさま、拳銃とナイフをしまって双子の娘達に抱きついた。強引にそれぞれを片手で抱き上げたと言うべき状況だった。抱き上げた二人の顔を交互に見て言った。


「うん。わかった、ママ。」


「はーい。」


「ありがとう。私達の天使たち。」


母親の千代子が息子達に殺意を放った。尚且つ、武器を向けた。これを藤伊が知れば、怒ることは当然だろう。怒られる=嫌われるの構造が頭の中で形成されている千代子にとっては防ぎたい事である。双子の姉妹達にとってお出かけは重要な事だ。父親の藤伊に構って貰える事を意味するからだ。


「なんで、そんな物を持っているの?」


「栄一さんの横に立つためよ。妻だから横に立てる保障はないでしょ。栄一さんの横はお母さんの指定席なの。それにお母さんの影響で藤伊伯爵家に泥を塗りたくないわ。」


美人だから藤伊の横に立てるのではない。藤伊栄一伯爵が認める存在だから立てるのだ。5ヶ国語(日本語、英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語)を操る。藤伊千代子伯爵夫人はそこら辺に転がっている様なポンコツお嬢様でない。


「母さん、武道やっていたの?」


「何を勘違いしているの?うーん、まだまだ子供だね、幸一。武術なんて意味ないわ。お母さんは殺人技術を栄一さんから学んだのよ。私自身が自分を守る為に教えてくれたのよ。」


「あ、はは。そんな理由であそこまで習得できるのは母さんぐらいだよ。」


幸一の声はカラカラだった。誰だって、自分の母親が武器の扱いを心得ていたら驚くだろう。


「なんでだろう。栄一さんにもそんな顔で言われた。綾子と加奈子はどう思う?」


「「スー、zzzzzz。」」


千代子の片方ずつ肩をそれぞれ枕にして綾子と加奈子は抱き上げられたまま寝ていた。生まれて3年ほどの彼女達はお昼寝をする必要がある。疲れてしまったのだろう。誠一郎がベビーシッターの人を呼んできて、千代子は彼女達に娘達が起きないよう静かに渡した。


「おいおい、そんなに子供を焦らせるな。」


廊下の曲がり角から不意に声がした。藤伊伯爵家の者なら誰の声か直ぐにわかるだろう。当主の藤伊栄一伯爵の声だ。藤伊はゆっくりと妻千代子、嫡男幸一、次男誠一郎の前に姿を見せた。


「でもぉー、こうでもしないと裏側を知ろうとしないわ。幸一よりも誠一郎の方が、多く視点から物事を考えているよ。」


「まあな。日本人と欧州人の考えや行動は全く違うからな。誠一郎は生まれてから一度も日本へ行った事がないし。」


次男誠一郎は物心ついてから一度も日本の地を踏んだ事がない。ずっと、欧州にいる。両親と兄は日本人特有の集団帰属意識、努力家、差別意識がない。欧州は階級社会であるから努力だけで越えられない壁がある。欧州人は日本人並に全員が努力しない。集団帰属意識もない。個人主義。帝国主義真っ只中の為、アジア人に対する差別意識がある。


家では日本人生活。外では欧州人の生活。誠一郎はこの様な環境で育っている。だから、誠一郎は日本人の視点と欧州人の視点から物事を考える様になった。


「栄一さん、日本にはいつ戻れるの?綾子と加奈子を出産してから3年以上経つし、私の体力も元に戻ったわ。」


「後2年くらいは無理だな。国際連盟関係の仕事が忙しから。」


国際連盟。第一次世界大戦後に設立された史上初の国際機関である。国際問題を話し合いで解決することが目的だ。常任理事国はイギリス、フランス、イタリア、日本である。アメリカは議会の反対の為に参加すらしていない。モンロー主義のためだ。ヨーロッパに関わるとロクなことがないと思っているかもしれない。国際連盟と国際連合との大きな違いは採決のやり方だ。国際連盟は全会一致。国際連合は多数決。国際連盟は全会一致の為に意見が纏まらないと行動が出来ない問題があった。


史実の日本は1933年2月に国際連盟を脱退した。大まかに言うと満州事変を国際連盟が批判したからだ。今回歴史では満州事変が発生していない。発生していないから国際連盟を日本は脱退していない。でも、ドイツの問題で国際連盟は揺れている。


ヒトラー政権が成立したドイツは1933年10月に国際連盟を脱退した。ドイツは他国が国際連盟を通じてコントロールされない状態になった。焦ったのはドイツ周辺国だ。ドイツの潜在的な国力は周辺国を圧倒している。周辺国は国際連盟の場でドイツへの圧力を求めた。


イギリスは日和見で何も行動しない。フランスは自国の経済当て直し優先。イタリアは天然要塞アルプス山脈がドイツとイタリアの間にあるから軍事的にも脅威ない。よって、興味なし。日本は無関心。


ドイツには自治都市がある。フランクフルトだ。協定参加国はドイツの軍事的脅威がないと多くの国の市民達から認識されていた。イギリス、ポーランド、フランス、オランダ、ベルギー、デンマークなどの市民らが常任理事国を批判し始めたのだ。特に、日本、イタリアが批判された。協定参加国だからだ。


裏でドイツと繋がっている


周辺国の政治家もこの批判運動に便乗した。イギリス、フランスの政府機関では連日の様にデモが行われ、他国にある大使館前でも同じ様な状態だった。一部は暴徒になっていた。世界恐慌の影響で不景気でストレスが溜まっている多くの人々のはけ口となっていたのだ。


結局、政治家らが選挙で勝つために国際連盟で特別審査会が行わる事が決定した。自国民の人気を得るためだ。日本の常任理事国である責任問題についてだ。


イタリアは軍隊駐屯してドイツを監視しているから問題ない。そもそも、フランスがイタリアを敵にしたくない。北東にドイツ。南にイタリア。流石のフランスでもこれは辛いからだ。ノルウェーとスウェーデンは共産主義国家ソ連から防波堤の役割があるから問題ない。日本は最近、コソコソと儲けているから気にくわない。


落とし所は、日本に多額の支援金を出させて経済回復する。日本が責任を認めれば、自国民からの支持を取り付ける事が出来る。何はともあれ、多くの政治家達は楽観的に考えていた。欧州諸国の国民達も同様だった。ただ、各国の海軍軍人の一部は渋い顔をしていた。


「父さん、国際連盟を脱退するの?」


「どうだろう.........。松岡全権代表がどの様な判断をするかだね。一応、政府としての結論は知っているけど。」


国際連盟の代表は松岡洋右だ。藤伊はあくまで駐ドイツ全権代表だ。国際連盟の仕事なんて何一つやっていない。ただ、欧州にいれば情報を直ぐ得ることが出来ると考えているから2年ほど滞在するつもりだった。


「教えて!」


「自分で考えてごらん。」


藤伊がそう言った瞬間幸一は自分の部屋に入った。自分でこれから色々と考えるつもりだろう。国連を脱退することはもう決まっている。後は脱退する時期だ。それは松岡洋右全権に委ねられている。まあ、政府の責任逃れかもしれないが........。


「楽しそうですね。」


幸一の笑顔を見て千代子は微笑んでいた。ただ、千代子はすぐに抱きつける様、藤伊の横に移動していた。誰にも渡さない。千代子の本能的な行動だった。


この時代、愛人の一人や二人いる男性が多い中で藤伊にはいなかった。藤伊の友人でも愛人がいる者は多い。藤伊にとって愛人とは不利益しか生まない存在である。藤伊がこの世で一番好きな物はお金だ。お金が大好きなのだ。藤伊の脳内はお金に関する情報が8割以上を占めている。贅沢な暮らしをしたいからだ。


「だな。じゃあ、誠一郎。久ぶりにサッカーでもやるか?」


「うん!やるやる!サッカー!」


誠一郎は父親の藤伊をおいて一人で先に走っていた。サッカー。ドイツでサッカーが広まったのは1870年代後半からだ。1人の英語教師が生徒達に英語教育の一環として教えたものだ。それから、ドイツ全土に広まっていった。ただ、サッカーに反発する勢力も多くいた。それでも、サッカーは広まった。


藤伊栄一は21世紀からの転生者であるため、サッカーを知らないはずがない。21世紀の人であった小学生の藤伊はサッカー少年だった。だから、基本的な技能を持っている。それで息子達にサッカーを教えていた。幸一は地域の少年サッカーチームの上位の実力を持つようになった。誠一郎はそんな兄をずっと見ていた。


誠一郎は一人で練習している。小学生になってもいない体つきのため、お子ちゃまの球蹴りだが........。それでもサッカーが好きだった。父親である藤伊栄一とサッカーをすることは誠一郎の楽しみの一つとなっていた。


「栄一さん、おかえりなさい。」


「ああ、ただいま。」


【はぁ。そう言って抱きつくかよ。一般的な日本人男性なら好まないかもな。】


藤伊は抱きついてきた妻の千代子を受け止めていた。家から一歩外に出ると夫に恥を掻かせることのない完璧な伯爵夫人として振る舞うのに家ではその面影すらなかった。先代の藤伊一郎伯爵が亡くなった時から何かと苦労をかけているので家の中では千代子が藤伊伯爵家の不利益にならなければ、自由にさせていた。千代子がアメリカ人並みの愛情表現を夫である自分にしても受け入れていた。


一応、化粧品が21世紀並みの多種多様にない時代でも千代子は美を持っていた。そんな女性を妻に持っている藤伊は他人から見れば羨ましい存在であった。だが、藤伊は千代子と10年以上の時を一緒に過ごしているので彼らの考えが全く分からないであろう。


「栄一さんのエネルギーを補給しないと。あー、一番安心出来る。」


千代子は全く藤伊から離れようとしなかった。母と子供達ではどちらが大人かいまいち判断に困ることであった。まあ、誰もが羨む美貌で4人の子供達の母親の藤伊千代子伯爵夫人27歳は、まだまだ日本が置かれている立場の厳しさを知らなかった。藤伊栄一伯爵と言う大きな傘に守られているから今でもこんな感じなのかもしれない。


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