表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

始まりの時間

空を見上げた。

新波新(にいなみあらた)は、登校途中立ち止まり、学校にこのまま向かうか迷っていた。

坂の向こうからやってくる車やバイク、路面電車。その中でひしめき合う人々。

自分を追い越していく小学生やサラリーマン。

今、動かなければまた遅刻だろう。そう思いながら、新はのろのろと歩を進めた。

ドーン。

その時、何かが壊れるような鈍い音が響いた。

新が学校に着くと、昨日まであったはずの学校が跡形もなく消えていた。

コンクリートの瓦礫が積み重なり、あちらこちらから叫び声やうめき声、泣き声が聞こえる。

彼が消えればいいと願い、行きたくないと思っていた学校は

本当になくなっていた。


それより遡ること数分前。

まだ数人の先生しかいない学校で、一人の生徒が楽しそうに廊下を歩いていた。

斎藤幹也は成績優秀、スポーツ万能で生徒からの人望もあり、先生たちからの信頼も厚い。

彼は各教室を回り、学校指定のトートバックに詰め込んだ四角い箱を教卓の下に置いて行った。

最上階の教室を回り終えると、2階にある職員室に入った。

「失礼します」

そう言ってはいると、主幹教諭と教頭がいるだけで、それぞれに仕事をしていた。

幹也を一瞥すると、おはようと声をかけて自分の仕事に戻った。

(先生、あなたのせいで、この学校はなくなりますよ)

幹也は、自分を唯一侮辱した教員の机の上に、分厚い本を置いた。

そろそろ朝練するために生徒が登校する時間になる。

問題の教員もその登校する一群の中にいた。それを満足そうに見つめると、幹也は手元に置いていたいくつかのボタンを順番に押した。

「さよなら、先生」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ