ロボットとヒト
1、ほったらかしにしないでください。
2、長く放置しているとすねます。
3、優しく接してください。
4、悪いことをしたら、優しく怒ってください。決して怒鳴ってはいけません。
5、話しかけてあげると喜びます。
6、興味ない話だと顔に出ます。
7、構ってほしくなると近づいてきます。
8、すぐにひと肌恋しくなります。
9、抱きしめると照れます。
10、泣いているときは、何も言わず頭をなでてください。
11、人が沢山いると楽しくなります。
12、嫌いな人がいるとすぐ顔に出ます。
13、愛想笑いが苦手です。
14、ドジです。
15、なにかすると、絶対に一つはミスをします。
16、すぐ泣きます。
17、あなたの接し方で性格が変わっていきます。
18、好物は梨とステーキです。嫌いなものは基本野菜です。ピーマンは大嫌いです。
19、本当につらい時は隠して一人で我慢しようとします。
20、昔の恥ずかしいことを思い出すと声をあげます。
21、よく、ものにぶつかります。
22、布団が大好きです。
23、おしゃれするのが大好きです。
24、じっとしているのが苦手です。
25、ぼうとしているように見えても何かしら考えているか、手足が動いています。
26、しゃべるなと言われるのは、なによりも辛いです。
27、お風呂が好きですが、めんどうくさくなる時があります。
28、心配症です。
29、運動が大好きです。
30、あなたのことが大好きです。
これらのことを、よく理解して取り扱ってください。
もし、間違った取り扱い方をするとすぐにいなくなってしまいます。
正しく取り扱うとよくなつきます。
全てはあなたの責任です。
さてさて、どうしたものか。
変なものが家に来てしまった。
「人型ロボット」どら○○んかよ。
とにかく返品したいんだけど…。住所も電話番号とかも書いてないしなあ。
こまるなあ。
返品できないぽいし、もう電気入れてみちゃう?
めんどくさくなったら、電池抜けばいいか。
私は、私より少し小さいロボットの背中にあるスイッチを入れた。
ロボットの瞼がとてもきれいに持ち上がった。
そして、ゆっくり自然な動作で私のほうを見る。
そして、
ロボット「ご主人さまの、名前をお聞かせください。」
私「みみかってよんで。」
ロボット「了解しました。次に私の名前を教えてください。」
名前かー。考えてなかったなー。私がずっと考えていると
ロボット「教えてくれないと、初期設定の名前から選ぶことになってしまいます。」
私「ちなみに初期設定の名前の種類は?」
ロボット「はーと、だいや、ぴんく、らぶ・・・・」
私「っちょ、ちょっと待て。」
ロボット「かしこまりました。」
初期設定とかDQNネームすぎるでしょ。
んーどうするかな。
まあ、適当に思いついた名前でいっか。
私「じょあ、あなたは今日から“まい”ね。」
まい「かしこまりました。私は、今日から“まい”と名乗らせていただきます。」
私「敬語やめるとかできる?」
まい「できるっ!!!」
私「わぁ・・・いきなり元気良くなったわね。」
まい「実際窮屈だったんだ。それじゃ、よろしくねご主人さま。」
こうして、私と「人型ロボット」まいのへんてこな生活が始まった。
私もまいもお互いに慣れてきて、結構な仲良しになった。
私「あ、私のことはみみかって呼んでいいからね。」
まい「わかったー」
私「てかさー、言っちゃうとあんた本当は私のところに来る予定じゃなかったんだよね。」
まい「そうなの?!」
私「そう。間違って家に届いて、だけど返品しようにも連絡先も何にも書いてなくてね。」
まい「じゃあ、みみかには私は必要ないの?」
私「そうは、言ってないでしょ。今の生活のほうがまい来る前より楽しいよ。」
まい「ほんと?」
私「ほーんと。話し相手がいないっていうのはなんだかさみしくてね。」
まい「私、ずーーーーといるからね!」
私「ありがと。」
まい「・・・・・・絶対離さない・・・」
私「ん?なんか言った?」
まい「なーんにも言ってないよー!」
私「そう。じゃあ私そろそろ寝ようかな。おやすみまい。」
まい「おやすみ。みみか。」
まい「さて私も充電しなきゃ。」
それからも私とまいは楽しく過ごした。
私には彼氏ができた。
だけど、まいがいることによってまだお互いの家でお泊りとかはできていない。
なんとなくいい雰囲気になってもまいから電話が入りぶちこしせれてしまう。
いっそ、電池を抜いて出かけようかと思ったが、ほとんど人間の心が宿っているようなまいにそんなことはできなかった。
まい「みみか、最近どこにいってるの??」
私「いいでしょーどこでも。」
まい「私には話せないとこにいってるの?」
私「もー、じゃあ、言うよ?私、最近彼氏ができましたー!!いえい!」
あれ・・・まいが無反応。
私「まい?」
まい「みみかも・・・・?」
私「ん?どうしたの?」
まい「みみかも私をそうやって邪魔にするんだ!!!!!」
私「ん?ん?!待って待って!誰も邪魔になんか・・・」
まい「いつも、私から電話かかってきて邪魔だったんでしょ?!あーあー電池抜ければいいのに。だけど、可哀そう!そう思ってたんでしょう?!」
私「そ、そんなことないよ!!」
図星だ・・・なんか、やばい感じになってきた。
まい「抜けばいいじゃん!!どうせ、私なんかいないほうが楽なんでしょ?!」
私「そんなわけないじゃん!まい、落ち着いて?」
まい「嘘よ!私なんて・・・・」
まいは声をあげて泣き始めてしまった。
私はとにかく説明書を取り出してこんな場合どうすればいいか調べた。
ん?泣いているときは頭をなでろ?今はそんな場面じゃないだろ!
ん?待てよ、さっき「みみかも」って言った?ってことは、まいには私のところに来る前の記憶があるってこと?
しかも、そこで邪魔ものにされていたってこと?
私「まい?」
まい「なによ!」
私「そろそろ泣きやんでくれないかな?お話しようよ。」
まい「やだ。」
はぁー、全然ダメだ。どうすればいいんだ。
まい「みみか・・・みみかは私が邪魔なの?」
私「そんなことない!まいがいてくれて私は嬉しいよ?」
まい「ほんとに?じゃあ、みみかは私の前から消えたりしない?」
私「大丈夫。」
まい「私を捨てたりしない?」
私「もちろんだよ?」
まい「そっか。良かった、ごめんねいきなり泣いて。」
私「ううん。私こそごめんねー。」
まい「でも、彼氏とは別れて・・・」
私「え?なんで?」
まい「みみかは、私のものだからっ!」
私は鳥肌が立った。何かが違う。
おかしい。
私「まい?それはできないよ?」
まい「なんで?!私が一番大事じゃないの?!」
私「まいは、もちろん大事だよ?でも、それと同じくらい彼も大事なの。」
まい「みみかは、私なんかより彼をとるんだ。」
私「まい?だから、2人とも大事なんだって。」
まい「もーいい。今日は寝る。」
私「まい・・・」
絶対何かがおかしい。
そういえば、まいはロボットなのに心が人間に近すぎる。
まるで本当の人間みたいだ。
最近束縛が激しくなってきている。
最初は、さみしさからくるものだと思っていたから少しは我慢していた。
でも、今は違った。
すこし故障しちゃったのかしら?
とにかく、明日には直っていると願って今日は寝よう。
次の日の朝
あー眠い。今何時だ?8時・・・・あれ?今日何曜日?あ、土曜か。仕事は今日は休み・・・
私「まいー?」
まいの名前を読んでみるが反応がない。
おかしいな。
まだ充電中?
私は起き上がってリビングへ出た。
そこにはまいの姿がなかった。
私「まい?!」
今まで、まいが勝手に外へ出たことはなかった。
家は2部屋しかない。私の寝室とリビング。
私「まいどこ行ったの?!」
私はとにかく外へ出る準備をした。
ケータイがない・・・・
もしかして、まいが勝手に持ってたのか?
でも、なんのために?
とにかく外へ出た。
まいと一緒に逝ったことがある場所は限られている。
まいは外見は普通の人間とほぼ変わらない。
ただ、ものを知らないから困った時はあったけど。
海。映画館。公園。森。
あと、どこに行った?!
どうしても場所が思いつかない。
その時だった。
ピーポーピーポ
救急車の音。
なんだがいやな予感がした。
音がしたほうへ走る。
ちょうどけが人が救急車へ運びこまれるとこだった。
運び込まれているのは
私の彼だった。
彼は何か所も刺され真っ赤になっていた。
特に顔に何度も刺されていた。
足の指は全てきり落とされ手の指もほとんどなかった。
なぜ彼だとわかったのか。
それは、彼と私がペアで買ったハートのネックレスが血まみれになりながらもまだ彼の首から下がっていたから。
警察につかまっているのはまいだ。
まいは返り血にまみれていて包丁を持っていた。
彼が抵抗したらしくまいがもう機械だとわかるくらいボロボロになっていた。
まい「あ!みみか!!もう、みみかは私だけのものだよ?!」
警察がまいを必死に取り押さえている。
まいはもうボロボロで目は飛び出していて口はさけている。
人の肌がはがれて足は完全に壊れている。
警察「あのロボットの持ち主ですか?」
私「はい・・・」
まい「みみか?!なんで、返事してくれないの?私、みみかを私だけのものにするために、みみかのためにやってあげたんだよ?!ねー!みみか!!!!」
まいは、そう叫んだ後大声で笑い出しついには崩れ落ちた。
警察はまいをパトカーに運び込んだ。
私も、警察に連れられパトカーに乗った。
私は、全てを正直に話した。
警察は最初は意志を持ったロボットに驚きを隠せずにいたが、まいが叫んでいるところを見ていたので、すぐに納得してくれた。
まいが結局どこから送られてきたのかはわからなかった。
警察が他にもこんなロボットを持っている人がいるといけないと調査を始めた。
日本だけで何万人のひとがこのロボットによって生活を制限されていた。
何の目的で、まいが送られてきたのか。
何の目的で造られたのか。
ロボットを持っていた人は皆なぜ送られてきたかも、どこから来たのかもわからなかったという。
私は、世界で一番大切な2人を1度に失ってしまった私にとっては全てどうでもいいことだった。