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なんか転生した  作者: 名もなき人
第一章  なんか転生した
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第七話  なんかギルド行った

説明回が多すぎるような……。

俺が最初に目指したのは小屋から南の方角にある小さな街、ヴィロムス。

最終的には、『大地の国ウルズ』の王都であり冒険者ギルド本部のある王都ノルンに向かう予定だが、ここで一旦必要なものをそろえようと思ったのだ。お金は森で狩った魔物の素材を売れば十分だろうとアデーレばあさんに言われたので心配はないはずだ。


森を抜け、平原を抜けた先にその街はある。その道中強い魔物に襲われるのではないかと心配したが、出現した魔物は雑魚ばかりでなんだか拍子ぬけた気分だ。

あの森に出現する魔物よりあまりにも劣っていたので、実はあの森は相当危険な場所なのではと今更ながら思う。この平原に出現する魔物が弱いだけなのかもしれないが。


俺は雑魚い魔物を軽くあしらい、特に問題なくヴィロムスに着くことができた。


「思ってたより大きいな」


アデーレばあさんから小さな街だと聞いていたので、てっきり村みたいな感じだと思っていたのだが、立派な外壁に囲まれた大きな街だった。


「これで小さいとか、王都のほうはどんだけでかいんだよ……」


と感想をこぼしつつ、街に出入りを管理している門へと向かう。

そこで俺はあることに気付く。


そういえば街に入るのに何か必要なものがあるのか? 

俺はいたって普通の冒険者風の格好をしている。それはいいが、ただの旅人を入れてくれるのかが心配だったのだ。もしかしたら身分証明書が必要なのかもしてない。


ああ、どうしよう。と考えながら恐る恐る門へ向ってみると、そこには二人の鎧で身を包んだ門番が立っていて、そこから入ろうとしている人の荷物を少しだけチェックすると中へ招きいれていた。

なんだ、荷物検査だけか。その様子を見て安心した俺は二人の門番の元へと向かう。すると門番の一人、背の高いごつい顔をしたほうが俺に向かって話しかけてきた。


「君、その格好からして冒険者かい? 悪いけど荷物の確認をさせてもらうよ」


「どうぞ」


俺は素直に荷物を預ける。

荷物は魔物の皮でできたカバンの中に入れてある。中身は俺の着替えや食料や野宿に必要なものなどだ。

ちなみに武器は腰のベルトに差し込んであるタクトである。一応魔法使いということでアデーレばあさんがくれたものなのだが、アデーレばあさん曰く「わしのお下がりで普通のやつだから期待しないように」とのことだ。

このような杖は魔法使いの魔法コントロールの補助や術式を結ぶ時の手助けになったりする。たまに属性強化が付与されていて、魔法の威力が上がる杖があるそうだが、少し割高なため普通の魔法使いには手が出せないそうだ。


「確認完了。ようこそヴィロムスヘ、お嬢さん」


荷物の確認が終わり中へ通してもらう。

あれ? 語尾に変な単語がくっついていたような気が……。まあ訂正するのも面倒だったので、俺は門番ににっこりと笑いかけるとヴィロムスの街に入った。


「おお~。広い」


外壁の外からも大体予想はしていたが、かなりの広さだ。もう街じゃなくて都市ってしたほうがいいんじゃないか?

目の前に見えるのは、石畳の道に石造の建造物。街の通りには人が溢れていて、活気に満ちていた。ところどころに無駄に豪華な馬車が通り、貴族っぽい人々が乗っている。民家の窓は、木造りではないちゃんとガラスがはめられていた。結構文化が進んでいる。

ちらほらと人間ではない種族もいたが、街の人々と普通に話をしていたので偏見などはないんだろう。しかし奴隷はやっぱりいるようで、貴族っぽい服装をした人たちの後ろに、隷属の首輪をした者たちがくっついて歩いていたりした。なんか嫌な一面を見た気がする。


って感想を抱いている場合じゃない。まず宿屋探さないとな。早めに探しておかないと、夜暗くなってから宿屋を探すのは大変だ。

そのあとにギルド行ってみることにするか。ギルドの本部は王都ノルンにあるが、このような街には支部がありそこでも冒険者としてギルド登録することができるのだ。


ギルドの場所、門番さんに聞いとけばよかったな。そんなことを思いつつ銀色の髪をなびかせ歩きだす俺。しばらく歩いていると、周りからなんだか視線を感じた。

なんだろう? と思いこっそり聴力強化ヒアリングブーストの魔法を使う。するとこんな小言が聞こえてきた。


『なにあの子。銀髪よ?』

『あら、珍しいわね』

『私、銀色の髪初めて見たわ』

『おい、あの冒険者かわいくね?』

『ばかやろうっ! あれ男だろう? 男の服着てるだろーが』

『え、男装してるんだろ?』


なんか知らんが銀髪は目立つのか? 

そう考えてみると周りの冒険者やら街の人々に銀髪はいない。

珍しいとかわからないしな、俺小屋出たことなかったし。とりあえず宿を探した後は、フードとか髪隠せるものを買わなければ。

そう思いながら『プレブス亭』という名前の宿屋っぽい看板を見つけた俺は、人目を避けるように素早く中へ入る。

『プレブス亭』はやはり石造で、木でできたカウンターの前にはふくよかな体形のおばさんが立っていた。


「いらっしゃい。あら、これはまたずいぶんとかわいらしい冒険者さんねぇ。お嬢ちゃん泊まりかい?」


「はい、一応3日ほどお願いします。それと僕は男です」


「あれまっ! 男の子かいっ!? それはすまなかったねぇ。3日分だね、銅貨15枚ね」


ここでも間違えられた……。

俺は男としての自信を失いつつ、腰に下げた巾着から15枚の銅貨を取り出しカウンターに置く。

ちなみに銅貨は1枚100円くらい。銅貨100枚で銀貨となり、銀貨10枚で金貨になる。さらにその上に王貨というものが存在するらしいが、その価値は国によって変化するらしい。


「ちょうど銅貨15枚ね。部屋は二階の4番、これは部屋のカギと金庫のカギだから失くさないように。あと食事をとる時はぜひうちを利用してね。泊ってるお客様にはサービスするから。ではごゆっくり」


俺はおばさんに向かって軽く会釈をすると、指定された部屋に向かって歩き出す。

部屋は廊下の一番端にあった。木造りの扉を開け中に入る。


「おお、思っていたより広い」


そこには10畳ほどの部屋が広がっており、ベッドや机、金庫やクローゼットなどがあった。

俺は着替えなどの荷物を置くと『プレブス亭』から出て、おばさんから聞いたフードが売っている店に向かった。人通りが多かったため、その間にも多くの視線を浴びる。


店に着くと人柄のよさそうなもじゃもじゃ頭の男性の店主が出てきた。


「いらっしゃい。何をお求めですか?」


「えっと、フードがほしいんだけど」


「フードですか。少々お待ちを」


そういってもじゃもじゃ頭の店主は、奥の棚から何種類かのフードを持ってくる。


「これなんかいかがでしょうか。お嬢さんの髪色にぴったりなデザインで……」


など、『お嬢さん』にはツッコミたかったが店主は丁寧に商品の説明を始める。

うーん、なかなかいいのがないな。

俺はあまりお気に召さなかったのを悟った店主はもう一度奥の棚に戻る。


「お嬢さん。このフード付きマントなんていかがでしょうか。髪は完全に隠れてしまいますが、自動修復機能の付与魔法が施されております。もし破れたり破損したりしますと、時間をかけて自動に修復する魔法です。もちろん限度はありますがね。」


「おお、これは……!」


色は黒でデザインもシンプル。それに自動修復の性能は気に入った。


「いくらですか?」


「少し高めの、銀貨10枚になります」


うっ……。やっぱり高いな。

素材はまだ残っているが、手持ちのお金と今後の生活を考えると、ぎりぎりといったところだろうか。


「ただ大変人気の商品となっていますので、今回を逃すともう手に入らない可能性も……」


店主の煽りに少し動揺する俺。それをみとったか、店主少しだけにやりと笑った。

くっ……ま、負けないぞっ!


「…………えっと、ちょっと安くしてくれませんか?」


俺は試しに上目づかいで頼んでみる。


「うーむ。……まあ、お譲ちゃんかわいいから2割まけて銀貨8枚で」


「買いますっ!」


おねだり作戦成功。俺は生まれて初めてこの容姿に感謝した。


「まいどあり」


俺はさっそくフードマントを羽織るとニコニコ顔で店を後にした。

まあ、フードで顔見えないけどね。

その後、俺は店の店主から聞いたギルドに向かった。


――カランカラン


ギルドのドアを開けると、喫茶店のようなドアベルの音が響いた。そして内装もこれまたおしゃれな喫茶店風。フロアには丸いテーブルが5つほど並び、戦士風の人たちが談笑をしている。外装はレンガでできているが、内装は木造りで暖かい印象を受ける。

カウンターには2人の営業員が座っていた。日本では飲み物を注文するカウンターだが、このギルドでは受け付け用らしい。


昼間のうちだからか酒を飲んでいる冒険者はいないが、おそらく夜になると酒場のようになるんだろうなと考えながら、受付のカウンターへ向かう。

カウンターには若い女性が座っていて、営業スマイルで俺を迎えてくれた。女性はセミロングの茶髪で、おっとりとしたとび色の目が印象的な美人だった。


「ようこそ、ギルドヴィロムス支部へ。冒険者登録でしょうか?」


さすが慣れているのか、俺が初心者だということに気づいたようだ。


「はい、そうです」


俺がそういうと、その受付の女性は「少々お待ちください」と言って、引出しから1枚の紙を出した。



「では、こちらにお名前と年齢と性別を書いて貰ってもよろしいですか?」


俺は言われたとおりに自分の名前と年齢と性別を書く。

今更だが、ここの世界と地球との文字は違う。俺は赤ん坊に転生したおかげで文字を読み書きできるようにはなったが、使っている言葉はどうやら自動翻訳されているらしい。おそらくこの世界で最低限意思疎通ができるようにと、ペルセフォネがなにかしらしてくれたのだろう。


「お、男!?…………あ、それで結構です。ではお客様の職を書いてください」


「職?」


お、男!? はスルーする。


「はい、職とは職業のことではなく、お客様がどのようなタイプの冒険者であるかということです。たとえば剣を使って戦うなら剣士と、魔法を使って戦うなら魔法使いとなります。職を設定しておくことによって、パーティー募集や協力クエストの参考にすることができるのです」


ふーん、なるほど。じゃあ俺は、


「補助魔法使いっと」


正直に補助魔法使いと書く。本当は魔法使いと書いたほうがいいのだろうが、それでは誤解されるのが怖いのでそうした。

すると受付の女性は怪訝な顔で首をかしげる。


「補助魔法使い……ですか?」


「ええ、そうです。あの……いけなかったですか?」


「いえ、はじめて聞いたものですから」


やっぱいないのか~、補助魔法使い。もしかして需要がなかったりして……。


「では、冒険者ギルドについて簡単な説明をいたします。

 冒険者ギルドは依頼者と冒険者との仲介役を行う組織です。当ギルドでは個人からの小さなものから、街や国などの大きなものなど幅広く依頼を扱っております。依頼者がギルドに依頼をしますと、あちらにあります掲示板に張り出されます。その依頼を冒険者がここのカウンターで受けるといった流れでクエストは受注します。

 後、ギルドでは常時クエストと呼ばれるものがあり、素材の買い取りなどを行っています。素材が手に入った場合、使用しないのであればギルドに売ることをお勧めします。

 次にランクの説明をします。

 現在冒険者ギルドでは、無用な混乱を避けるためにランク制度を取り入れております。ランクは上からSS、S、A、B、C、D、E、Fまであり、そのランクに応じたクエストを受注することができます。最初登録時はFランクとなります。

 またランクを上げるには、一定のギルドポイントをためるか、もしくはギルド指定のB級以上の魔物を倒すかのどちらかになります。ギルドポイントとはクエストを達成するたびに貯まるポイントで、クエストの難易度が高ければ高いほど多くなります。そしてギルド指定のB級以上の魔物を倒してランクアップする場合、自分のランクより下の魔物を倒してもランクアップは起こらないのでご了承ください。

 ちなみに倒した魔物のデータは、今からお渡しいたしますギルドカードに記されますので、ご安心ください。

 最後に、当ギルドは依頼者とのトラブル、個人の犯罪など一切の責任を負わないのでご了承ください。」


「は、はい……」


なんか一気に聞いたので頭の中がこんがらがりそうだが、何とか理解することができた。

そして説明を終えた受付の女性は、四角いテレフォンカードのようなカードを出した。


「こちらがギルドカードになります。このカードに一度魔力を流してください。」


「こうですか……?」


言われるがまま、カードに魔力を流す。するとカードはぼんやりと光り、俺の名前やらランクやらが表記された白いカードとなった。

おぉーすげー。


「カードの色はランクによって変わります。これで冒険者ギルド登録は終了となりますが、引き続きクエストを受けますか?」


「いや、今日はこれで帰ります」


「はい、分かりました。これからのお客様の活躍に期待します」


そういって受付の女性は、仕事は終わったと言わんばかりの営業スマイルをする。


「あのー、名前教えてもらってもいいですか?」


すると受付の女性は少し驚いた顔をして


「私ですか? 私はセナーレ・ビルと申します」


と親切に教えてくれた。


うん、顔見知りを作れてよかった。

そう思いながら俺はギルドを後にした。


ちょうど5000字!


なんかうれしいw


と思ったら、編集で5120字に……。


2011/12/03 編集 アデリーさん めぐおさん ごるばさん ありがとうございました!

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