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なんか転生した  作者: 名もなき人
第二章  大地の国ウルズ
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第六話  なんか万屋みつけた1

受験生になってから時間がなさすぎる~><


更新が遅くなってすいません!


今回のクエストで学んだこと。武器って大切だよね。

痛い目見て思い知らされた。この世界では低ランクのクエストであったとしても、国の刺客に襲われたり、一国の姫が実は同行していたりは日常茶判事なんだということに……。


と言うわけで、そのようなイレギュラーに備え、常に万全の注意を払う必要があると判断した俺は、クエスト完了の報告を行う前に武器屋に寄ることを決めた。


「その前に、まずは飯だな」


王都ノルンへ向かう途中で立ち寄ったヴィロムスでもそうだったが、この『鳥の巣』にも食堂があり、宿泊していない客でも、料理代を払えば気軽に利用することができる。俺は朝食を取るべく、1階ロビー横の食堂へ向かった。


「あっ、おはようございます! 朝食ですか?」


昨夜は冒険者の酒場と化していた食堂へ向かうと、テーブルと机を掃除していた店員の少女が話しかけてくる。

時刻はすでに10時過ぎ。朝食の時間としては遅くなってしまったようで、俺以外に2人ほどしか客はおらず、それで片づけを始めていたところなのかもしれない。


「はい。お願いできますか?」


「もちろんです! ご注文は何にしますか?」


彼女は掃除をしていた布巾を片手に、可愛らしい笑顔で俺に尋ねる。

身長はやや低いが、元気で笑顔がよく似合っている。栗色のロングヘアーに赤いバンダナを付け、花の刺繍が入ったエプロンを身にまとった彼女はとても可愛らしい。おそらくこの店の看板娘なのだろう。


「お勧めはありますか?」


メニュー票は一瞥した俺は、とりあえず彼女に尋ねてみる。


「私のお勧めはやっぱり『鳥の恵みスープ』です。私のお母さんの自慢の一品なので、ぜひ一度食べてみてください!」


「じゃあ、それお願いします」


「分かりました。少しだけ待ってて下さいね」


それからしばらく経って、彼女が料理を運んでくる。しっとりとした野菜と大きな鳥肉がゴロゴロ入ったそのスープは、朝食にしては少し重そうであったが、冒険者としてはこれくらいのボリュームがあった方がうれしいのだろう。

俺はそのスープを一口食べる。


「味はどうですか?」


「めちゃくちゃうまいです!」


「ウフフ、それはよかったです」


ふむ。地球で言うポタージュに似てはいるが、どこか違う。王宮で食べた高そうな料理もおいしかったが、やはり俺はこういった料理のほうが好きだ。


「そんなに早く食べたら、喉に引っ掛けてしまいますよ?」


「だって……ゴクン、うまいんですもん!」


結構な量があったのだが、一気に平らげてしまう。これは料理のレパートリーの加える必要があるな。あとで彼女のお母さんにレシピを聞いてみよう。


「そう言ってもらえてとてもうれしいです。この店にお泊りのお客様ですよね? 挨拶が遅れましたが、私はここのオーナーの娘で、クロエ・カバネルっていいます。クロエって呼んでください」


「コウイチイマジョウです。コウイチが名前で、一応冒険者やってます。よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします。それにしてもコーイチさんは冒険者さんだったんですね。あまりにも言葉使いが丁寧だったので気がつきませんでした」


「そうですか?」


初めてあった人にはとりあえず敬語を使うようにしていたが、この世界の冒険者はみなそんな感じなのだろうか。うーんこれは改善すべきなのか?


「はい。男の冒険者さんで、そのような丁寧な敬語を使う人あまりはいないと思いますよ?」


「ん? 今何て……?」


あれ? 今、敬語とかよりもものすごく重要なワードが聞こえたような気がする。


「えっと……敬語を使う人が少ないと」


「じゃなくてその少し前の」


「男の冒険者さんで、敬語を使う人は……」


「お、男!!」


「……?」


「僕が男に見える?」


「えっ! もしかして女の方でしたか? 確かに綺麗な人だと思ってましたが」


「いや、めっちゃ男です!」


ちなみに、今日はフードを被っていない。ここを拠点として活動しようと考えているので、毎日顔を合わせるのだからいちいち隠すのは大変だ、と判断したからである。数日前リリスに『不気味』だと言われたこともあって、あまり多用はしないようにすると決めたのだ。

つまり、今現在俺は顔を晒している。そして彼女は俺を男だと言った。


「貴方は素晴らしい人だ! ぜひ友達になってください」


「は、はい。いいですよ……?」


クロエは急に変なことを言いだした俺に戸惑っているようだ。だが、俺はそんなことはお構いなしに、クロエの手を掴み上下に大きく握手をする。

俺のクロエに対する好感度上昇。良い人決定!


「あ、そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんですけど。ここらに武器屋ってありますか?」


友達になったついでに、これから向かう予定の武器屋の場所を聞く。


「それなら、ここから道を抜けた先の中央街に沢山のお店が出ていますよ。ノルンで一番商業が栄えている地域です。あそこなら、冒険に必要な道具がひと通り揃うと思います」


「中央街か。じゃあ、行ってみることにします。どうもありがとう」


「はい。気を付けてくださいね」


クロエの笑顔で手を振られ、癒されながら『鳥の巣』を後にする。


***


「人混みがすごいな……」


クロエの紹介でやってきた中央街は、人間の市民や商人、冒険者他に、エルフなどの妖精族や鳥人ガルータなどの獣人達で、かなりの賑わいを見せていた。綺麗に整備された石畳の道の両端には、沢山の出店が立ち並んでいて、行きかう人々や商人たちの声で、街はまるでお祭りのように活気に満ち溢れている。


「うおっ! 猫耳発見!」


そんな人混みの中、俺は少し前を歩く、猫人ワーキャットの女性冒険者の猫耳に目を盗られる。元いた世界にもカチューシャなどにくっ付いた猫耳は存在したが、歩くたびにぴょこんと動く耳は間違いなく本物で、俺は堪らず興奮してしまう。

さ、触ってみたい……! モフモフして愛でたいっ!

実を言うと、俺は小さくて可愛いものには目がないのだ。


「……ハッ!」


いかんいかん! 今はそんなことをしている場合ではない。

俺は頭を左右に激しく振り、武器屋探しに集中するために気を引き締める。

ここまで長い間、目的の武器屋を求めて歩いていたのだが、一定間隔で同種類の店が見つかってしまうので、俺は見つけた店を片っ端から回っていた。


「ゲームだったら、どの店も一つの街に一つしかないんだけどな」


などと愚痴をこぼしながら、また新たに見つけた武器屋に入る。

その店は初心者用の低級装備から、中堅冒険者用の中級装備まで多数の基本的装備がそろってあったが、俺が求めているような武器はなく、その店を後にする。

もうすでに何軒かの店に出入りしてみたが、どの店も同じような商品ばかりで、しっくりとくるような武器はなかった。


「そもそも俺にしっくりくる武器なんてあるのか?」


なぜそれを考えなかったのか、と今までその発想に至らなかったことを悔いる。武器屋に行って商品を見れば、俺に見合ったものが見つかる、と適当に考えていた結果である。


「『補助魔法使い』向きの武器ねぇ……」


今まで入ってきた店は、どれもこれの需要が高い基本的装備を重点的に扱っている。初心者は『銅の剣』、下級者は『鉄の剣』みたいな感じで。つまり、自ら作成した武器ではなく仕入れてきた武器を売っているのだ。

俺が求めているのは、沢山の種類とオリジナル感溢れる武器が置いてあり、どんなステータスの冒険者にもばっちり対応できる、そんなバラエティーに富んだ店だ。


「そんな店あるわけないよな~」


などと考えに浸っていると、いつの間にか人通りの少ない場所へ出た。どうやら、店が集中している地域を抜けてしまったらしく、周辺の建物が商店から市民の家に変わっていた。

中央街入口から、ゆっくり歩いて約二時間。沢山の店があったが、ついに見つけだすことはできなかった。


「戻りながら、もう一回見て回るか」


またこの道を帰らなければならないのかという疲労感混じりの溜息をこぼし、元来た道を戻るため踵を返す。

とその時、民家と民家との間に存在する路地の脇に掲げられた、店の宣伝らしい質素な看板が目についた。そこには『万屋アベルのお店』と書かれており、記された矢印は隣にある路地を示していた。

万屋というと、RPGのゲーム内では『なんでも屋』と位置付けられているが、この世界でもそうなのだろうか。もしそうだとしたら、武器も置いてあるかもしれない。


「……まあ、物は試しと言うことで」


もし、目的の武器がなくても、元の道の店を探しまわるよりはましだろう。そう判断した俺は、薄暗く気味の悪い路地へと足を進めた。


拠点に新キャラが現れた。


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