第三話 なんか王族の食卓?1
更新遅れました><
3月まで忙しいので更新が遅れ気味になると思います。本当に申し訳ないです;;
俺は馬車内に広がる微妙な空気に何とか耐えながら、無事にウルズ国イグドラシル城に到着する。
巨大な城に見合った、これまた巨大な城門を潜ると、ずらっと綺麗に整列した城に仕える兵士たちのお出迎えを受ける、と同時に皆の「なんだこいつは」的な視線が俺に集中する。
うん、分かる。分かるよ君たちの気持ち。でも、やめて! そんなに見つめられると穴が開くから! 俺のチキンハートに無数の穴が開くから!
という俺の願いも空しく、一向に収まる気配を見せない。それどころか、だんだん警戒度が上がっているような気がする。
確かに、姫様を迎えに行ったはず馬車の中から、姫様と一緒に平民の冒険者が降りてきたのだから、警戒するのも無理はない。上下関係が厳しいこの世界で、一介の冒険者が国王の娘と同じ馬車に乗ることなど、まずあり得ないからだ。
兵士の中のある者は珍しそうに俺を見つめ、またある者は不審者を警戒して、いつでも武器を取り出せるように身構えている。
ああ……だから嫌だったんだ。
極度の恥ずかしがり屋という言い訳をして、一応フードで顔は隠してあるが、位の高い貴族や騎士に目をつけられる可能性もある。近衛隊隊長からはすでに目をつけられているが……。
馬車を降りてからしばらくすると、執事のような服を着た男がやってきた。
「姫様、ご無事で何よりでございます。国王様がお待ちになられていらっしゃいますので、謁見の間へお越し下さい。皆さま方は私についてきて下さい」
この執事さん(白髪オールバックに片眼鏡、おまけにカイゼル髭という徹底した執事ぶり)は事情を把握しているようだ。先に連絡に言った別働隊が伝えたのだろう。そして、ここからはフィリティアナ姫とは別行動をとるらしい。
入口を抜け、石造の長い廊下を通り、数十名の兵に囲まれながら俺たちが案内されたのは、バスケの試合ができるんじゃないか? と思えるほどの広い部屋だった。
その部屋の中央には、映画で出てくる貴族たちが使っているような長机があり、一番奥の方に椅子が5脚、手前の方に2脚の椅子が設置されていて、それぞれの席に豪華な料理が用意されていた。
おそらく、奥の5つの席の2つは国王と王妃、そして残った3つはフィリティアナ姫とフィリティアナ姫の兄と妹の分だろう。国王ヨゼフ・ウルズ・アルテミスには3人の子供がいるとアデーレばあさんから聞いていたので、数からみても間違いはない。
そして手前に用意されているのは俺とリリスのための席……つまり俺たちは王様から食事に誘われたということになる。
「コウイチ様、リリス様。こちらにお掛けになってお待ちください」
兵士の一人にそう促され、仕方なく高級そうな椅子に着く。
エリーはこの部屋には入らず、外で待機している。別れ際に『もし、姫様に何かしたら……剥ぎますよ?』と言って、口の端をほんの少しだけ持ち上げていたような気がする。
剥ぐって何をっ!? 皮ですかっ!?
恐ろしや……。そこまでする精神は近衛隊隊長としては適任だが。
「……」
暇だ……。
部屋には隅の方で待機している侍女が2人と、執事っぽい人が1人、あと部屋の入口に兵士が2人いるが、当然話しかけられることもなく少しながら気まずい雰囲気が流れる。
「……ねぇ、リリス」
「なんだ?」
とくに用事はなかったが、とりあえずリリスに話しかけてみる。
「この料理……食べていいかな?」
そういえば朝から何も食べてない。賊に襲われたこともあって、食事抜きで急いで王都に向かったのだ。
俺のこの言葉に、少し驚いた様子のリリス。
「……コウイチは城に来たのは初めてか?」
「そうだよ」
「これから国王様とお会いするのだぞ?」
「そうだね」
「……緊張とかしないのか?」
「全然」
だって俺、神様いじりしたことあるし。国王程度で緊張するわけないだろ?
それにここまで来てしまえば自棄だ。どうせ逃げられはしないのだし、せっかくだから堪能させてもらおうという魂胆である。
姫を救った恩人なんだからこれくらいの報酬があって当然だろう。それに香しい匂いを放つ料理を前にして、『お待ちください』とか嫌がらせとしか思えない。
と、空腹に支配された俺は、普段ならあり得ないほどの大胆っプリを発揮する。うん、欲望ってすごいよね。
「……そうか。だが、国王様がいらっしゃるまでは我慢したほうがいいと思うぞ?」
「本格的な食事は我慢するよ。ただちょっとだけ、〝トゥル〟っとつまみ食いするだけだからさ、ね?」
「いや……〝トゥル〟っとの意味が分からないんだが」
パクッ!
俺はリリスの忠告を聞くこともなく、手前にあったミートボールのような料理を頬張る。
「あ! 待てと言ったのに……」
「うっ……!?」
「ん? どうした?」
「う……うぅ……」
「どうした! ……まさか毒か!?」
「うまっ……くないね。あんまり」
まあ、不味いというわけではない。この世界の中ではいい方だろう。
「……普通そこはコウイチが『うまい!』と言って、私がこけるのではないのか?」
「えっ! そのノリこの世界にもあるの!?」
「この世界?」
「あ、いや……。僕は田舎出身だから王都でもあるのかなぁと思って」
危ない。ついうっかり口を滑らせてしまった。
「それにしても、国王様の城でいただいた料理が美味しくないとはどういうことだ?」
「いや、別に美味しくないってわけじゃないんだよ。ただ、想像と違っていたというか……」
前世の記憶がある俺からしてみれば、全体的(ミートボールっぽいものしか食べてないが)に味が薄い気がする。個人的には、前に食べた宿屋のおばちゃんが作った料理のほうがおいしかった。
「口に合わなかったようで、大変申し訳なかった」
「いえ、お腹が空いているので食べることができれば何でも……あれ?」
リリスこんな低い声してたっけ? いや、さすがにないだろう。ってことはこの声の主は……。
俺は恐る恐る声がした方へ、正確には向かい側の席の方へ目を向けた。
「国王様っ!?」
「いかにも、余はヨゼフ・ウルズ・アルテミス。『大地の国ウルズ』の国王を務めている」
国王は、スレンダーな体つきで背も高く、立派なひげを蓄えたダンディーな人物であった。もっと肥えた体つきで、カール頭に王冠を被っているような容姿を想像していたが……。
しかし、なんというタイミング。
「あの……その……」
どう言い訳をしようか考えていると、向かい側の扉から王妃様とその子供たちが部屋に入ってきた。と同時にリリスが席を立ったので、俺も同じように真似をする。
「この度は娘がお世話になりました。フィリティアナの母、マリエルと申します」
マリエル王妃は暖かな微笑みを浮かべながら、丁寧な自己紹介とともに軽い会釈をしてくれた。フィリティアナ姫を大人にしたような容姿で、とても母親とは思えないほどの若々しい雰囲気があった。
「それからこっちは長男のディオン、次女のシルヴィです。フィリティアナは知っていますよね」
王妃様は引き続き子供たちの紹介をする。
「はじめまして、私はシルヴィ。よろしくお願いしますわ」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」
第二王女シルヴィが、マリエル王妃の後に続いて律義に自己紹介をする。シルヴィ姫は水色のショートヘアーで、パッチリとした目が可愛らしい活発そうな美少女であった。歳はおそらくフィリティアナ姫の1つか2つ下だろう。
シルヴィ姫の外見は父親似で、フィリティアナ姫はどちらかというと母親に似てる。まあ、どちらにしても超絶美人であるということは変わりない。
「おい、貴様」
その後、長男のディオン王子がシルヴィ姫をズイっと押しのけ、俺の前に立ち話しかけてきた。
しかしめちゃくちゃイケメンだな。引き締まった長身の体、整った顔に金色の髪、ケチのつけどころがありゃしない。あの美しい流し眼で見られたら、前世の学校の女子は鼻血出して気絶するんだろうな。ケッ!
次女も将来絶対美人になる要素を持っていた(何度も言うが俺はロリコンではない)が、王族には美形が多いものなのだろうか?
ちなみに、デュオン王子はフィリティアナ姫より2つ年上だったような気がする。つまり、国王の後継者ということになる。
「この料理のどこが気に入らないのか。言ってみろ」
聞いていたのか……うわ、なんかめっちゃ睨んできてる!?
ただ観察しているだけのようだが、なんといってもその眼力が強すぎる。しかし醜いというわけではなく、その表情でもさらにイケメン度が上がっているのが恨めしい。
「申し訳ありません、王子! この者は王都に来て間もないのです。ご無礼をお許しください!」
リリスはいつの間にか膝をつき、俺を庇うため必死に弁護している。
「貴様には聞いていない、リリス。オレはその男に聞いている」
ビシッと俺に向かって指差すディオン王子。さすがイケメン、様になってます。前世の学校の(ry……もういいか。
「はっきり申し上げると……」
「おい! コウイチっ!」
質問されて返事をしないのは何かと失礼なので(もうすでに失礼だが)、一応返答しようとしたのだが、リリスに途中で止められてしまう。
「なんだ? 遠慮せずに言え」
〝遠慮せずに〟って……そんな怖い顔で言われてもな。しかし、前世の学校の(ry……しつこいね。
「……薄いです。味が」
「……ほう」
王子はそう呟いて、顔をグイッと寄せてきた。
ち、近いっ!? もしこの絵面を、前世の学校の女子が見たら(ry……これで止めます、はい。
フードを被ったままの俺は、俯くことによって目を合わせないように努力する。男にとっては恐怖でしかないのだ、イケメンの威圧感は。
リリスはとても心配そうな顔で俺を見ていた。そんなに心配しなくても、いざとなればこの程度の警護ならいくらでも突破できるのにな。
一通りジロジロと俺の体を観察した王子は、俺の肩にポンっと手を置く。
「貴様、分かっているではないか!」
「……はい?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった俺は、間抜けな返事をしてしまう。
「そうだろう、そうだろう! オレも常日頃から王宮で出る料理は味が薄いと思ってたんだ。だから料理長のあのクソ女に何度も味を濃くしろと命令してるんだが、『健康によくありません』の一点張りだ!」
「……は、はぁ」
料理長? クソ女?
「大体あいつ俺を誰だと思ってるんだ。仮にも俺は王子だぞ! なのに生意気でいつも……」
「そんなこと言って本当はお好きなのですよね? 幼いころからずっとお仲がよろしいですもの、お兄様とジェミは」
「なっ……!?」
突然愚痴話を始めた王子に俺が困惑していると、次女のシルヴィ姫が間を割って会話に参加してくれた。
助かった……。
「ばっ! ベっ別に好きじゃないしっ! あいつなんか嫌いだしっ!」
「あら? でもこの前ジェミの愛用していたお皿が割れたって聞いて、こっそり彼女のお部屋の机の上に新しいお皿を置いていたのですよね? それはジェミへの愛情表現ではありませんの?」
「ち、違うしっ! ただ……廊下にゴミが落ちてたから、嫌がらせに置いてきただけだしっ!」
「そうですか。それはウェルザンディのとある商人から特別に取り寄せさせた、護身用の付与魔法や純金の文字で書かれたメッセージ付きの金貨50枚相当の価値のあるゴミだったのでしょうね」
「……し、知らんっ!」
「そして匿名で送り付けたにもかかわらず、手の込み様や品物の価値からすぐに相手が判明してしまった、あのゴミのことですわね」
「なにっ! それは本当かっ!」
「ええ、本当ですわ」
「なぜだ! ちゃんと見周りの兵士にも口封じを……あ」
ディオン王子……すでにバレバレだし中二感が否めない。どうやらディオン王子は、幼馴染である料理長ジェミに恋心を抱いているらしい。
「というかシルヴィ! なぜそれを知っている!」
「それは……ヒ・ミ・ツですわ! お兄様」
オホホホホホホと上品に笑うシルヴィ姫。
怖っ! この世界の女性大半は怖いよ!
年下だからといって侮れない。現にディオン王子は最初に感じた威厳と威圧感はどこにもなく、すでに撃沈している。
「2人とも。客人の前ですよ?」
そこにマリエル王妃様の鶴の一声。その穏やかであるが響きのある美声に、静かになる2人。さすが王妃様である。
「すみません、お母様」
「シルヴィ……覚えておけ!」
悔しそうな顔を張りつけたまま、渋々席に着くディオン王子と、にこやかな笑顔で席に着くシルヴィ。
なんか王族との食事は堅苦しいイメージがあったが、そうでもないらしい。もっともこの家族が異常なのか、それともこの世界ではこういう感じなのか分からないが。
そのあとに続いてフィリティアナ姫、王様、王妃様が順に席に着き、ようやく俺たちも席に着いたところで本格的な食事が始まるのであった。
中途半端ですね><;
結構急いで書いたのでいろいろと変な部分があると思います^^;
ご指摘・ご感想お待ちしています。
編集 アデリーさん 黄金拍車さん 東海青龍王敖広さん ごるばさん ありがとうございました!