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秀吉からのショートメールで人生逆転した俺、身長148cmから1兆円稼いだ話  作者: 暁柊


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8/13

家出してから初めて毒親に別れを告げる


ジュンヤの足が、止まった。


「……ここです」


見慣れたはずの街。


古びたアパート。

色あせた看板。

空気の重さまで、変わっていない。


神崎は、何も言わず隣に立つ。


「大丈夫?」


「……たぶん」


嘘だった。


心臓が、うるさい。


逃げたい。


でも。


「行きます」


歩き出す。


一歩一歩が、重い。



玄関の前。


手が震える。


インターホンを押す。


――ピンポーン。


足音。


ドアが、開く。


「……あ?」


出てきたのは、父親だった。


変わっていない。


あの頃のままの顔。


「何だお前」


その一言で。


過去が、蘇る。


殴られた記憶。

怒鳴られた声。

否定され続けた日々。


だが。


ジュンヤは、静かに言う。


「……久しぶりです」


沈黙。


数秒後。


「は?」


目が、見開かれる。


「……はぁ!?お前、生きてたのかよ!」


その言葉に。


神崎の眉が動く。


ジュンヤは、ただ頷く。


「はい」


父親は、鼻で笑った。


「何しに来た」


変わらない。


何一つ。


「……ちょっと、話が」


「金か?」


即答だった。


「どうせ金ねぇんだろ。こっちもねぇんだよ」


ジュンヤは、少し考えて。


そして。


「逆です」


「……は?」


スマホを取り出す。


画面を見せる。


残高。


桁違いの数字。


父親の表情が、止まる。


「……なに、これ」


「今、これくらいあります」


静かに言う。


嘘じゃない。


現実。


「……は?」


理解が追いついていない。


そのとき。


奥から、母親の声。


「誰なの?」


出てくる。


そして。


固まる。


「……ジュンヤ?」


震える声。


ジュンヤは、頷く。


「久しぶりです」


母親の目が、揺れる。


だが。


次の瞬間。


「……あんた、金持ってるの?」


空気が、凍る。


神崎が、小さく息を吸う。


ジュンヤは、少しだけ目を伏せた。


「……あります」


その一言で。


全てが変わった。


態度が。


声が。


空気が。


「ちょっと上がりなさいよ!」


「ご飯食べてく!?」


「なんで連絡しなかったの!」


早口でまくしたてる。


優しさではない。


欲だ。


分かっている。


全部。



部屋に入る。


変わらない景色。


いや。


少しだけ、汚れている。


時間が、止まったままの場所。


「それで、いくら持ってるの?」


父親が、ストレートに聞く。


ジュンヤは、答える。


「290億くらいです」


沈黙。


そして。


「……は?」


「冗談だろ?」


「本当です」


その瞬間。


父親の目の色が変わる。


「……お前」


笑う。


嫌な笑い。


「親に、何か言うことあるよな?」


来た。


この流れ。


ずっと。


昔から。


「育ててやったんだぞ?」


「金、出せよ」


神崎の拳が、わずかに握られる。


だが。


ジュンヤは。


静かに言った。


「……出しません」


空気が、凍る。


「……あ?」


「出しません」


もう一度。


はっきりと。


父親の顔が、歪む。


「ふざけてんのか!!」


怒鳴り声。


昔と同じ。


でも。


違う。


ジュンヤは、動かない。


「……ずっと、思ってました」


ぽつりと、言う。


「なんで、自分は生きてるんだろうって」


母親が、黙る。


「殴られても、否定されても」


「意味、あるのかなって」


静かに。


淡々と。


「でも」


顔を上げる。


「最近、ちょっとだけ分かりました」


父親を、まっすぐ見る。


「ここを出るためだったんだなって」


沈黙。


誰も、何も言えない。


「だから」


一歩、下がる。


「もう、関係ないです」


その言葉は。


静かで。


でも、決定的だった。



玄関へ向かう。


後ろから、声。


「待てよ!」


父親。


「金くらい置いてけよ!」


最後まで、それだった。


ジュンヤは、振り返らない。


「……必要ないと思います」


ドアを開ける。


外の空気。


深く、息を吸う。



アパートを出たあと。


しばらく、無言。


やがて。


神崎が言う。


「……優しいのね」


「え?」


「私なら、全部壊してる」


ジュンヤは、少し考えて。


「……壊したら、同じになるので」


その一言に。


神崎は、何も言えなくなる。


スマホが震える。


『それでいい。それが“勝ち”だ』


ジュンヤは、空を見上げた。


少しだけ。


軽くなった気がした。


「……終わりました」


神崎が、隣に立つ。


「じゃあ」


少しだけ笑って。


「次、どうする?」


ジュンヤも、少し笑う。


「……まだ、よく分からないですけど」


歩き出す。


今度は。


前に。


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