表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秀吉からのショートメールで人生逆転した俺、身長148cmから1兆円稼いだ話  作者: 暁柊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/13

天才トレーダー、人生初のマニュアル通りにいかないデート


「デート、ですか?」


神崎レイナは、固まった。


オフィスの一角。

昼休み。

向かいには、いつも通りの顔でジュンヤが座っている。


「はい」


軽い。


あまりにも軽い。


「えっと……どういう意味で?」


「え?」


ジュンヤは首をかしげる。


「どういう意味って、デートはデートですよね?」


「……そうですけど」


(なにこれ)


心臓が、うるさい。


(仕事の話じゃないの?違うの?)


「その……なぜ私と?」


「一番話しやすいからです」


即答だった。


神崎は一瞬、言葉を失う。


(……それ、ずるい)


「それに」


ジュンヤは続ける。


「神崎さん、なんか楽しそうじゃないですか」


「……は?」


「一緒にいると、なんかこう……ちゃんとしてる感じがして」


「ちゃんとしてるって何ですか」


「俺がちゃんとしてないから、バランス取れるっていうか」


「それ褒めてます?」


「めちゃくちゃ褒めてます」


「……そうですか」


顔が、少しだけ熱い。


(断る理由、ないじゃない)



休日。


待ち合わせ場所。


神崎は、10分前に来ていた。


完璧な服装。

完璧なメイク。

完璧な立ち姿。


(よし)


自分に言い聞かせる。


(これはただのデート。普通の。分析対象)


そこに。


「すみません、遅れました」


ジュンヤが来た。


アニメTシャツ。

キッズジーンズ。

スニーカー。


完全にラフ。


「……あなた、それで来たんですか」


「はい」


「デートですよ?」


「はい」


「……まあいいです」


(なんでちょっと嬉しいのよ)



「どこ行きます?」


神崎が聞く。


「えっと……」


ジュンヤは、周囲を見回す。


「とりあえず、あれ行きません?」


指差した先。


ゲームセンター。


「……は?」


「なんか楽しそうです」


「いや、私たち大人なんですけど」


「え、ダメですか?」


少しだけ、不安そうな顔。


(……反則)


「……いいです」



ゲームセンター。


結果。


神崎は本気になっていた。


「ちょっと待ってください!今のはズルくないですか!?」


「え、普通にやりましたけど」


「絶対違う!」


クレーンゲーム。


景品は、妙に大きいぬいぐるみ。


ジュンヤは、無言で操作する。


――ガシャン。


一発で取る。


「はい」


「え?」


「どうぞ」


神崎は、受け取る。


「……なんで取れるんですか」


「なんか、ここに動かすと良さそうだったので」


「またそれですか」


(全部それじゃない……)


でも。


「……ありがとうございます」


小さく笑う。


自分でも驚くくらい、自然に。



次は、カフェ。


「これ、美味しいですね」


ジュンヤは、パフェを食べている。


幸せそうに。


「……そんな顔、するんですね」


神崎が呟く。


「え?」


「いえ……なんでも」


(この人……)


仕事中は、ただの“現象”だった。


理解不能の存在。


でも今は。


「……普通だ」


「何か言いました?」


「いいえ」


少しだけ、目を逸らす。



帰り道。


夕方。


空が少し赤い。


「今日は、ありがとうございました」


神崎が言う。


「こちらこそ」


ジュンヤが笑う。


「楽しかったです」


その一言。


心臓が、跳ねる。


(……何これ)


分析できない。


計算できない。


リスクもリターンも測れない。


でも。


「……また」


神崎は、言っていた。


「また、行きませんか」


ジュンヤは、少し驚いた顔をする。


そして。


「はい、ぜひ」


笑った。


その笑顔を見た瞬間。


神崎の中で、何かが崩れた。


(ああ……)


理解する。


(私、もうダメだ)


完全に。


「この人、好きだ」



その夜。


神崎は、ベッドの上で天井を見ていた。


「……ありえない」


呟く。


相手は。


理論も常識も通じない男。


危険すぎる存在。


なのに。


「……なんでこんなに」


胸が、苦しい。


でも。


少しだけ、嬉しい。



一方その頃。


ジュンヤは。


「……楽しかったな」


コンビニのプリンを食べていた。


恋に気づかずに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ