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秀吉からのショートメールで人生逆転した俺、身長148cmから1兆円稼いだ話  作者: 暁柊


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3/13

関白豊臣秀吉。現る


ジュンヤは、ベッドに座っていた。


「……なんか、疲れました」


ぽつりと呟く。


実家に行っただけなのに。


株で何十億動かすより、ずっと疲れる。


「人って、難しいですね……」


スマホを、ぼんやり眺める。


あの“短信”。


きっかけであり、原因であり、すべての始まり。


「……誰なんですか」


初めて、問いかける。


いつもは一方的だった。


でも今日は違う。


聞きたいと思った。


その瞬間。


――ピロン。


通知。


『会うか?』


「……え?」


思わず声が出る。


今までと違う。


短いが、“返答”になっている。


「……会えるんですか?」


震える指で、打つ。


数秒。


沈黙。


そして。


『よかろう』


次の瞬間。


視界が、歪んだ。


「……え?」


部屋が、消える。


床も、壁も、天井も。


すべてが、黒に溶けていく。


「ちょっ……えっ!?」


気づけば。


ジュンヤは、“何もない空間”に立っていた。


上下も分からない。


ただ、静寂だけがある。


「……ここ、どこですか」


そのとき。


足音が、響いた。


コツ、コツ、と。


ゆっくり。


確実に、近づいてくる。


「……」


振り向く。


そこにいたのは――


一人の男。


派手ではない。

だが、目を離せない。


小柄な体。

鋭い目。

笑っているのに、底が見えない。


そして。


“王”の空気。


男は、にやりと笑った。


「初めましてやな」


関西弁。


軽い口調。


だが。


重い。


圧倒的に。


「お前が、ジュンヤか」


ジュンヤは、少し考えて。


「……はい」


「ほう」


男は、楽しそうに目を細める。


「もっとビビるかと思うたが」


「えっと……」


ジュンヤは首をかしげる。


「ちょっとよく分かってないので」


沈黙。


そして。


男が、吹き出した。


「ははははは!」


腹を抱えて笑う。


「おもろいな、お前!」


空間が、揺れる。


笑いだけで。


「えっと……あの」


ジュンヤは、恐る恐る聞く。


「誰なんですか?」


男は、当然のように答えた。


「ワシか?」


少しだけ間を置いて。


誇るでもなく。


隠すでもなく。


ただ、事実として。


「関白、豊臣秀吉や」


静寂。


普通なら。


信じない。


だが。


ジュンヤは、頷いた。


「……やっぱり」


「ほう?」


「なんとなく、そんな気はしてました」


「なんでや」


「文章が、ちょっと偉そうだったので」


一瞬の沈黙。


そして。


再び爆笑。


「ははははは!!」


「偉そう、か!!」


涙を浮かべるほど笑っている。


「天下人に向かって、それ言うか普通!」


ジュンヤは、少し考えて。


「違うんですか?」


「違わんけどな!」


即答だった。



笑いが収まる。


秀吉は、じっとジュンヤを見る。


値踏みするように。


試すように。


「……で」


空気が、変わる。


「どうや?」


「何がですか?」


「天下、取る気はあるか?」


唐突。


だが。


本質。


ジュンヤは、少し考えて。


そして。


こう答えた。


「……よく分からないです」


秀吉の眉が、わずかに動く。


「ほう」


「お金は増えましたけど」


「はい」


「それで何するか、まだ決めてないので」


静かに言う。


見栄も、欲もない。


ただ、事実。


秀吉は、ゆっくりと頷いた。


「……ええな」


ぽつりと呟く。


「それでええ」


そして。


一歩、近づく。


圧が増す。


「金はな」


低く、言う。


「“道具”や」


ジュンヤは、黙って聞く。


「天下も同じや」


「取ることに意味はない」


「どう使うかや」


その言葉は。


軽いのに。


重い。


歴史の重みが、乗っている。


「お前は」


秀吉が、指を向ける。


「今、選べる」


「金も、力も、全部ある」


「ほな」


にやりと笑う。


「何になる?」


沈黙。


ジュンヤは、答えられない。


まだ。


何も。


決まっていない。


秀吉は、それを見て。


満足そうに笑った。


「……それでええ」


「え?」


「決まっとる奴は、おもろない」


くるりと背を向ける。


「迷え」


軽く手を振る。


「迷って、選べ」


「それが、“人”や」


その姿が、遠ざかる。


「あの!」


ジュンヤが、呼ぶ。


「なんで、僕なんですか?」


足が止まる。


少しだけ振り返る。


そして。


答える。


「一番、“空っぽ”やったからや」


「……空っぽ」


「せや」


にやりと笑う。


「何でも入るやろ?」


そのまま。


消えた。



気づけば。


部屋に戻っていた。


「……夢?」


いや。


違う。


スマホが、光る。


『ここからは、お前の番や』


ジュンヤは、しばらく画面を見て。


そして、ぽつりと呟く。


「……難しいこと言いますね」


ベッドに倒れ込む。


天井を見る。


「でも」


少しだけ、笑う。


「ちょっと、面白くなってきました」


その目は。


もう、“ただの被害者”ではなかった。

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