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絶対絶命
海人は今窮地に立っている。強盗犯人と自宅で鉢合わせとなり、マンションの屋上に犯人は逃げていく。私はこのまま部屋に閉じこもり、警察に電話をしてあとは任せる選択肢もあったが
今日に限って、犯人を追跡する判断をしてしまった。これが、色々な出来事の始まりなのは、この時、知るよしもない。護身用の金属バットを持って、恐る恐る屋上の扉を開ける。犯人は一階に人の気配を感じた為、一旦屋上に身を潜めてから、逃走を企てたが、私がそれを残念なことに察知してしまっていたのだ。扉を開け周りを見渡したら、貯水槽の裏影にやり過ごそうとしてる犯人を確認した。気付かれないようにジリジリと距離を詰める。ここで、私のおっちょこちょいが発動してしまう。持っていた金属バットが貯水槽にあたり、カキーンと鳴り響く。サヨナラ負けのムードが漂う。犯人は勿論気づき包丁で臨戦態勢に入る。私は虚勢を張る為に金属バットを持って大きく構えた。ピッチャーにビビってるのに、お前の玉なんかスタンドに放り込んでやるよ!ぐらいの虚勢を張った。