39/169
困惑
ケイとキッドの関係を知り、小生は困惑していた。なぜ、この広い世の中に、人間時代に関わりの多かった者同士を近くに引き寄せるのか、これは偶然ではなく、神様の試練に違いないと実感した次第であった。ではこの広い世の中で同じような境遇で対峙している者はどれぐらいいるのだろうか。安直に善行さえすれば、人間に戻れると思っていた小生が恥ずかしくなる瞬間だった。そして気づくのだった。小生は、賢治の恋の成就が善行に繋がると考えている。しかし、キッドは、龍之介の恋の成就が善行に繋がると考えている。これは共存するのか。テーゼとアンチテーゼが交錯する世界。これは、どちらが正しいのかという議論、いうなれば、不毛な論争ではないのかと小生の善行に対して自信が崩れる音がはっきりと聞こえてきた。




