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ルーティン
小生の名は、かい。今花粉症がきつく、くしゃみが半端なく連発する。このくしゃみ、実は私的に複雑な気持ちになってしまう。今も昔の思い出が脳裏を横切ってきた。そんなくしゃみをしている小生をみてクスクス笑って歩く子ども、彼は中学2年の賢治だ。賢治はよく喋るが、実は人見知りで、シャイボーイである。今一緒に散歩をしている訳だが、彼はいつも決まったルートを辿る。それも、同じ時間、同じ場所を通るように心掛けている。心掛けていると言うよりは寧ろ、そうしたくて散歩をしていると言っても過言ではない。そう賢治は、好きな子に会うためにこのルートを辿っている。相手は2個上の高校1年の美香である。美香は、栗毛色したボブヘアでボイッシュな見た目と人懐っこい性格の気さくさをもった女性である。いつも賢治とすれ違う時、にこやかに会釈してくれ、賢治はその会釈ほしさにこのルートを定刻に出没する。彼のルーティンであった。
美香は、いつも可愛らしい犬を連れている。ポメラニアンのけい。圭と書くようだ。そして小生も犬であった。