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第6章 アカシックな冒険 1

「ふへ~っ、流石にこれ以上は呑めんわ!」

 私は、残っていた「酒盗」の最後の一切れを口に頬張ると、寝室のベットに横たわった。

 間違い無く、近日中に私はアカシックレコードに向かわなければ成らない。

 アカシックレコードで記憶を取り戻せなくても、どうせ地球に戻れないのなら、むしろ、それを取り戻してサラフィーリアから能力を受け継いで、敵をガンガンやっつけた方が私の生存率は高まるかも知れない。

 そうと決まれば、私は人生初の糞、糞、糞度胸を発揮するしか無い!

 頑張れ、ユウカ!!! 

 あれ?私の名前は由佳じゃ無かったっけ?


「その意気ですよ、我が愛しき娘、ユウカよ」

 その時、昨夜も聴いた、慈悲深くて限りが無い深い愛情に満ち溢れた声が聴こえて来た。

「サラフィーリアさん?・・・様?」

「わらわは申した筈です。汝の母で有ると」

「あっ、そう言えばそうでした。私のお母さん・・・、母上?母君?お母様?」

「その中では、わらわはお母さんが最も好みです」

 サラフィーリアの意外な選択に、私は戸惑った。

「わらわは上位5次元で、汝と邂逅する準備が整いました。後は、汝が自分自身の記憶を取り戻すだけです。 ですが前回は地球の次元上昇の件でしたので、汝には女神宗家だけに伝わる能力は授けませんでした」

「サラフィーリアお母さん・・・」

 そう呼んでは見たものの、そしてそれは本人が望んだ呼び方だとしても、リルジーナ達が敬愛して止まないサラフィーリアに、流石にお母さんは気安過ぎるかなと私は思った。

「我が愛しき娘、ユウカよ。わらわの事は単にお母さんと呼びなさい」

「へっ?」

「……」

「じゃあ、お母さん。わらわは、・・・じゃない私は、ずっと気に成っているのですが、その能力とは、一体、どんな能力なのでしょう?」

「それは、次回、わらわ達が邂逅した時に伝えます。今夜は汝に、その能力の伝承を受ける為には、前回とは異なる記憶を取り戻す必要だと言う事を伝えに来たのです」

「異なる記憶?」


 私は、何かしら大変な作業を、アカシックレコードで行わなければ成らないみたいだ。

「それは汝が記憶の箱舟に入った時に、自らで感じる事が出来るでしょう」

「記憶の箱舟?」

「汝らは記憶の箱舟の事を、アカシックレコードと呼んでいるみたいですが」

「ああ、そう言う事」

「わらわは、これから次元降下の過程に入るので、これが汝との邂逅前の最後の会話に成ります。でわ、おさらば」

 サラフィーリアはそう言うと、何処かに行ってしまったのか、それから彼女の声は一切聴こえ無く成った。

 そんな事を言われたら、又、日本酒を呑まなくちゃ成らない。

 でも、もうそれは流石に無理!

 私の父は、今日出来る事は明日にだって出来るから明日にせよ!が口癖だったから、ここは素直に父の教えに従おう!


「ユカ、オパヨウち~ん!起きてる?」

 私は、マヤが押した部屋のチャイムで目が覚めた。

 頭の奥が、割れるようにズキズキと痛んだ。

 やはり私は、ひどい二日酔いに見舞われていたのだ。

「マヤ、一寸待って!今、起きたばかりだから」

 私はそう言うと純水のボタンを押して、出て来た純水を一気飲みした。

 そう簡単に頭痛が治まる訳は無かったが、吐き気が無いのが救いだと私は感謝した。

「マヤ、どうぞ」

 自室に入って来たマヤは、開口一番、

「くっさ~!」

 と悲鳴を上げて、両手で鼻を押さえた。


この部屋もだけど、アンタの息は酒臭過ぎ!今夜の二十二時にアカシックレコードに出発するって、アンタ、聞いて無いの?」

「嘘!」

 ここの連中は、大切な事は何時も直前に成ってから私に伝える。 

「リンドウが艦長に呼ばれたので、代わりにウチが迎えに来てあげたのに、このザマは一体何?アンタ、自覚が足りないのよ!自覚が!」

 遂に、マヤの頭頂からは湯気が立ち上り始めた。

「ウチは、昨夜は会食も断って、機器の調整を夜遅くまでしてたと言うのに、ユウカのアホンダラ!アンポンタン!」

「え~っ?今夜に出発するだなんて、私は聞いて無いよ」

「マジ~?」

「マジ」

「ち~、これはリンドウの奴の怠慢だね」

 マヤの頭頂から立ち上っていた湯気が、少し収まった。


「まあ、兎に角、昨夜の会議でそう決まったの! だから、アンタの体調管理の為にウチがわざわざコクーンの調整係に任命されたって訳よ。 い迷惑だちゅーの」

 そうか、最近は忙しくてマビちゃんの所に行っていなかったよね。

 マビちゃんだったら、私の二日酔いなんか、アッという間に治して呉れるわね。

 下手にマヤから調整されたら、そっちの方が大事おおごとだ。

「いやいや、天下の天才ナビゲーターのマヤ様のお手を、私如きの体調管理で煩わせる訳には参りません」

「ユウカ?アンタ、だ酔ってんの?」

「いやいや、酔ってなんかいませんよ。天才ナビゲーター様」

 いや、絶対、酔ってる」


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