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第5章 テスト飛行 5

 「本挺は準惑星セレスに向けて、クーリングフライトを終了し、2回目のワープに入ります!」

 ふとマヤの方を見ると、マヤがこれまで装着していなかった「マヤ専用の可愛い大きさのハーネスベルト」を締めて、前かがみで衝撃に耐える姿勢を取っている。

 ふん、何度も同じ手にはまるか!

 私は、完全にマヤを無視した。

 マヤは私に反応が無い事を知って、チェッと舌打ちをするとさっさとハーネスを身体から外した。

 妖精はイタズラ好きだと知ってはいたが、ここまでとは!

 今日のフライトはそれだけ、余裕で安全だと言う事なのだろう。


 それから、私にはその違いが分からなかったが、ショートとミドルのワープジャンプを済ませて、ライラック号は無事に小惑星帯に到着した。

 しかし、ライラック号がワープ後に吐き出された宙域は、小惑星が特に密集している宙域だった。

 「これが小惑星帯?」

 ホットドッグのような美味しそうな形やブーメランに似た形の小惑星も有ったが、大半は「骨」を思わせる、それこそ「無骨」な形をしていた。

 私は小惑星帯と言う言葉の響きから、ロマンティックな場所を想像していたのだが、実際は何かの残骸がまとめて捨てられた墓場の様な場所に思えた。

 「これより、低速飛行モードに移行します!」

 そりゃそうだ、幾らハローズの操縦技術が高くても、これだけ小惑星が密集していると流石に高速飛行は危ないよ。

 

 「マヤ様のような高次元の存在は、惑星の重力と磁力を受けると身体に悪影響が及ぶので船内に残って戴いて、セレスにはユウカ様と自分だけが降り立ちます」

 「えっ?降り立つって、私も船外に出るの?」

 「そうです。これは今回のテスト飛行の目的の一つなのです」

 コラ、ハローズ!勝手に決めるな!そんな説明は全く聞いていません!

 私は、急に不安に成った。

 マヤが又、ニーッと不気味な笑いを浮かべた。

 マヤの奴め、私の不安を煽っているな!

 私は努めて平静を装った。


 私は彼らに取って、最後の切り札とも呼ぶべき大切な存在だから、それを危険な目に会わせたりはしないだろう。

 何か不測の事態が起こっても、きっと高度なテクノロジーで私は守られる・・・筈!

 私は勝手にそう結論付けた。

 「ユウカ様、見えて来ました。あれが準惑星セレスです」

 ハローズが指差した方向には、薄い灰色に輝く球体の天体が見えた。

 お、おお~!これぞ正しく女神の神秘が宿る星!

 私は直感的にそう感じてうなった。

 セレスは、小惑星帯に入って初めて見る完全な球体の惑星だった。

 「セレスの上空で、セレスに関する事と今回の作戦について、ユウカ様にご説明を申し上げますね」

 私は怖いと思う気持ちを抑えて、ハローズにこくりと頷いた。


 ハローズの話では、セレスは「メインベルトの小惑星帯」に於ける「唯一の球形惑星」で、地球時間で7時間で一回の自転、即ち一日が過ぎるらしい。

 そして、セレスには地殻の近くに大量の水分を保有しているそうだ。

 そのセレスには「アフナ山」と呼ばれる、ゆくゆくは火山として大噴火が予想されている、セレスで一番高い山が有って、その山の麓に着陸するとの事だった。

 そこは、水蒸気が噴出してる地点を持つ、小さいが平らなクレーターエリアらしい。

 セレスは惑星としては超小型なので星が持っている重力も弱い為に、私達が普通に歩ける様に、そして大気が無くても呼吸が確保出来る様に設計されている「セレス専用防護服」を身に着けて降り立つらしい。


 「でも何故、私が船外に出る必要が有るのよ?」

 私が、一番疑問に思っている事をハローズに訊ねた。

 又、マヤが不気味な笑いを浮かべた。

 その手には乗らないちゅうの!

 「現在の地球人類の知見では、小惑星帯の起源に関して木星の強い重力によって微惑星が単一の惑星を形成出来なかったと考えられていますよね」

 私にそんな事を訊かれても分かる訳が無い。

 私は曖昧に頷いた。

 「ですが、事実は我々光の勢力が決して忘れてはいけない悲しい出来事が、その原因なのです」

 「悲しい出来事?」

 ハローズは説明を続けた。


 「その事は今回の行動計画と直接的な関連が有りませんので説明は省略します」

 「そこまで言われたら聞きたく成るのが人情って物でしょう?ハローズ」

 「ユウカ様がそう仰るのならお話しますが、実は準惑星セレスの現在の守護女神は、文字通り地球のローマ神話にも登場する、あの女神セレス様なのです」

 「へ?」

 「太陽系を含めたオリオンの腕宙域の守護女神には、大きく分けると二つの系統が有って、ひとつはサラフィーリア様やユウカ様が属される系統、もうひとつは地球の守護女神で言えば、ティアマト様、テラ様、ガイア様、セレス様と続く系統です」

 「う~ん?」

 「これらの2つの系統の女神達は、お互いに連携しながらそして光の勢力とも協力し合って、これまで大切な数々の天体を守って来たのです」

 ここの部分は、何となく私にも意味合いは理解が出来た。


 「現在のタイムラインの中で、我々が一番起きる可能性が高いと考えている地球のアセンションシナリオは・・・」

 「アセンションシナリオ?」

 「地球の次元上昇の事です」

 「???」

 「それは、地球が二つに分裂して、アセンションした地球は引き続きガイア様が守護して、アセンションを選択しなかった或いはアセンションが出来なかった存在達が残った三次元物理空間の地球は、新たにセレス様が守護すると言うシナリオです」

 「地球が二つに分裂するですって!]

 私は更に 、さっぱり訳が分から無く成っていた。

 「だからハローズは、私に一体どうして欲しいの?」

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