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第4章 不思議な訓練  13

 「ユウカは知らないと思うけどさ」

 おお、マヤの翻訳機が正常に戻ったのか?

 何れにしても、マヤの自動翻訳機は早めにアッップデートする必要が有るよね。

 「ウチは先刻さっき、リルジーナとエルドラルドのおっさんから、アンタのアカシックレコード行きのナビゲーターに任命されたの」

 「えっ?」

 「どうよ?参った?」

 「私はあんたになんかに、頼んだ覚えは無いんだけど!」

 「ハッハッハッのヘ!」

 だマヤの翻訳機は直っていない?

 それとも、これがマヤの個性?

 多分、これがマヤの個性ね。


 「ユウカ、そんな事を言っても良いのかな~」

 「な、何なのよ?」

 「宇宙空間の飛行でナビゲーターに見捨てられたら、それは宇宙の塵屑ちりくずと成って母船には戻れないって事を意味するのよ」

 「何て事を!」

 「先刻はアンタに負けちゃったけど、この件ではウチの勝ちね」

 マヤの鼻が、何度もヒクついた。

 まさか私を、宇宙空間に置き去りにはしないと思うけど、宇宙旅行は初めての経験だし、ここは1勝1敗の引き分けと言う事にして置こう。

 「分かったわよ、ナビゲーター殿。だけどパイロットがいるから、ナビゲーターなんか不要なんじゃ・・・」 

 「ヘッヘッヘッの」

 「ホ」

 「先に言わないでよ、ユウカ」

 マヤは不満気ふまんげに、私にそう言った。


 「君は砂糖水よりももっと甘い!」

 ちょっと、それって先刻、私が言った科白せりふじゃない!

 マヤは「チクりのマヤ」だったが、「パクりのマヤ」でも有ったのだ。

 「アカシックレコードって、次元の狭間に有るの。上位3次元存在のパイロットがナビゲーター無しで行けるとでも思ってるの?」

 アカシックレコードは、次元の狭間と言う場所に有るのか?

 聞くからに、大変な場所に有りそうだった。 

 私が偽者だって事を証明する為には、兎に角、そこに無事に到着する必要が有った。

 「了解よ。これからはマヤの言う事を聞くわ。マヤはその事を私に伝える為に、ここに来たのね」


 「それも有るけど、アカシックレコードの中で上手く活動するには、ウチとアンタとパイロットのハローズの呼吸が合う事が何より大切なのよ」

 今回のアカシックレコード行きのパイロットの名前はハローズと言うのか?

 「だから明日、ここに3人が集まって呼吸を合わせる練習をするの!ユウカは明日は暇でしょ?」

 「うん。明後日あさっての夕方までは自由時間だと言われているけど・・・」

 「じゃあ、決まりね」

 「呼吸を合わせる練習って、どうするの?」

 「宴会をするに決まってるでしょ!」

 「宴会?マヤはお酒が飲めるの?」

 そうマヤに訊いてしまってから、先程、マヤに無理矢理ウィスキーを飲ませた事を私は思い出した。

 マヤは小さな身体だが、今の所は別に酔ってる風も無いから、きっと大丈夫なのだろう。

 あれ?マヤの翻訳機が可笑おかしかたのは、若しかしたらウィスキーが効いたから?

 「この身体からだだから、アンタの好きなビールをストローで少しだけ飲んであげる。明日の18時にスタートね。じゃあ、そこんとこヨロシク!」

 そう言うとマヤは、さっさとこの部屋から出て行った。


 マヤに取って、この飲み会に個人的な利益が有る訳では無い。

 自分の任務を無事に完遂する為だとしたら、マヤは見掛けに依らず真面目な性格なのかも知れない。

 その事は、結果的に私を守る事にも繋がる。

 リンドウは、妖精はお茶目だと言っていた。

 マヤの言動は、妖精としての茶目っ気の発露なのかも知れない。

 リルジーナも個性的だけど悪い娘じゃ無いと言っていた。

 今回は、マヤにナビゲーターとしてお世話に成る訳だし、これからはマヤに対しては、もう少し優しい態度で接するべきだと私は心に決めた。

 何れにしても、アカシックレコードに出発する前にパイロットに会える事は、私に取ってはウェルカムだった。


 そこまで考えた時、ようやく、私も眠気に包まれ始めた。

 さあ、今夜のナイトキャップは赤ワインね。

 私は大き目のワイングランスに赤ワインを並々と注ぐと、サイドテーブルにそれを置いて、ベッドに横たわった。 

 さてと、本日のファイナルドリンクと行きますか。

 私は、その赤ワインをグラスの3分の1くらいだったが、自分の胃の中に納めた。

 その時、何処からか誰かの声が聴こえた。

 「我が愛しの娘、ユウカよ」

 「へっ?」


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