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プロローグ

「絶望、しているだろうな、きっと……」

 低い塀と中庭を挟んで屹立している病院の四階にある一室を見上げた。太陽の光によりまぶしかったため、反射的に目を細めてしまう。

 そこには一人の女の子が入院している。

俺は先ほどまで彼女と話をしていた。そして、彼女を絶望の淵へ追いやってきたのだ。

「でも、自殺はしないはずだ。いや、出来ないか」

 絶望の淵へ追いやったと同時に、自殺をさせないための枷もつけておいたのだから。

 風が吹き、髪をなびかせる。

「この時期になると、やっぱり冷えるな」

 俺が立っている歩道には均一に木が植えられている。それらから、ひらりと葉が落ちていく。それを見ると、これから本格的に冬がやってくることを感じさせられる。

 中庭からは入院患者とその家族が楽しそうに話をする声が聞こえてくる。

 彼女は病室から中庭を見ているのだろうか。もしそうなら、この中庭で楽しそうにしている人々はどのように映っているのか。

 俺には想像出来ない。いや、想像したくないと表現する方が正しいか。

「もう、行くか」

 一人ごちてから、次に行くべき場所に向けて歩を進めた。


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