02 存在しないもの
ーあの取引襲撃から数日後のとある場所ー
ここは闇市場だ。非合法な取引があるが情報収集や金品の現金化が容易にできることを踏まえれば俺にとってはありがたい場所なのだ。だが今回ここに来たのはそれが目的ではない。このタブレット式端末のことだ。残念なことにこいつは電源が切れていた。どうやら修理が必要なようだった。どうして俺はこのタブレット式端末を気にしてしまうのだろうか、そしてなぜか、これを知っているような気もしていた。はっきりとは覚えていないがそんな気がするのだ。そんなことを考えているといつもの店...いや商人に会ったと言うべきか。商人は俺を見て気づいたようで、さっそく話しかけてきた。
「へへへ、いつもの旦那じゃないですか。また金品を現金化したいんですかい?それとも情報でも欲しいんですかい?最近の闇市場は種族が増えて常連さんの顔覚えるのと同業者との競い合いに一苦労しますよ。」
商人は世間話をしていたが、俺はそれに触れることなくいつも通り金品を出し、商人は即座に現金を出してきた。それと同時に俺は例のタブレットを出した。これには商人もなぜか驚いた様子だった。
「だ...旦那!こいつをもしかして売るつもりで?そいつはまずいですぜ!」
売るつもりはなかったが、商人がいつもよりかなり焦っている様子に俺は疑問を持ち首をかしげた。
「見てくだせえこれを!ここにマークがあるでしょ!」
そういうとタブレットを裏を見せるとそこには、かすれて見えずらかったが地獄の番犬と言われているケルベロスのマーク刻んであった。そして商人はつづけた。
「旦那、あの噂をご存じないんだね?まあ、当然ですわ。なんせこれを知っていたら今頃もう死んでいますわ。」
そういうと商人はかなり真面目な雰囲気を出し話し始めた。
「今のこの世界の科学力は今の政府が創ったと言われてますが、実際はそうじゃない。とある組織があって成り立っていたんですわ。その組織名こそが、【ケルベロス】なんですわ。しかしなぜ政府はこれを公表しないのか、それは政府がその組織をつぶしてしまったんです。ケルベロスは当初まともな研究組織として活動してたんだが、実は裏で非人道的な人体実験をしていたらしいんですわ。それに気づいた政府は即座に組織をつぶし、公表させないようにしたという噂ですわ。つまりそのタブレットはケルベロスの存在証拠となってしまい、政府に狙われる可能性があるんですわ。だからあっしはそれを買い取るわけにはいかないんですわ。」
俺はやむ得ず立ち去ろうとしたが何かに気付いた商人が聞いてきた。
「もしかして旦那?それ、売るんじゃなくて修理するつもりですかい?」
そう聞かれ俺はうなずいた。
「なら最初からそれを言って下せえよ!んじゃさっそく!」
そういうとタブレットを取り、修理にかかった。
一時間後、商人が戻ってきた。
「ほい旦那。これで直りやしたよ多分。んじゃあっしはこれで。」
そういうと商人はいつもより足早に去っていった。
ー隠れ家にてー
俺はタブレットの電源を点けた。そして画面には全身に黒いハズマットスーツ覆った謎の人物が写った。突然頭が痛くなった。この人物をよく知っている気がする、それもただの知り合いではなく深い関係があるような気がしたのだ。とにかく俺は映像を再生した。
「ふー、よし、映像はばっちりだな。(深呼吸をする)私の名前はケルベロスだ。知っての通りこの組織【ケルベロス】の中心人物だ。今これを見ているのは誰だろうな。赤の他人か、それかあの腐った政治家どもかあるいは犯罪者か...はー、できればKnightmareに見てほしいところだ。とにかく、いいか、よく聞いてくれ。もうすぐ私の人生は一時的に停止するだろう。だが私はここでこの計画をつぶすわけにはいかない。このタブレットに保存した計画表に基づいて作戦を行ってほしい。だが全てをここに保存するわけにもいかない。ある場所にメモリーを隠しておいた。場所は彼しかわからないだろう。そのデータを集めてくれ計画を実行するためには必要不可欠だ。政府はこれを阻止するためにどんなこともするだろうが奴らはに私を止めることなどできるはずがないからな...。Knightmare、もしお前がこれを見ているなら行く場所とやることはわかっているな...(映像が止まる)」
俺は思わず驚いてしまった。俺の名前を知っている人物など存在しなかったはずなのにこの人物は俺の全てを知っていた。それと同時に脳内に何かがよぎった。様々な場所の切り抜き写真を見せられている気がした。まさかこれがあの人物が言っていたメモリーの保管場所なのか?一体俺と何の関係があるんだ?だが俺はなぜかこれを成し遂げないといけないと思ってしまうのだ。とにかく俺の過去を調べるためにはそのメモリーとやらを集めないといけないだろう。俺は荷物の整理と武器の手入れを行い、例の人物が言うメモリーを集める旅の用意を始めるのであった。
世界観わかりやすいようになんとか頑張ってるんですけど、登場人物増やすかどうかめちゃくちゃまよってます。