ペア決め
チャイムがなると一人の男性教師が教室に入ってきた。
そしてクラス全員の自己紹介が終わると話しを続けた。
「ーーでわ、紙に書いてる同じ番号の人とペアを組んで下さい」
(・・・・・同じ番号って黒川じゃない)
教師からの指示で教室ではペアを組み顔合わせをしている。
右隣をチラリと見やる美世に、柊斗は意地の悪い笑みを浮かべ美世と同じ番号が書かれた紙をヒラヒラさせていた。
「美世よろしくな」
「・・・・・」
美世は右手を出して握手を求める柊斗を見た後、教師を見ると分かりやすく視線を逸らされた。
席順にしろ、ペアにしろ仕組まれていた事に美世は呆れていた。
(好き勝手やってるねぇー。こう言うことか)
「馴れ馴れしく呼ばないでくれるかしら?黒川さん」
美世は隠しもせず刺のある言い方をした。
「このペアは一年続くんだが?」
「え”・・・」
柊斗は無理矢理手を取ると言い、美世はピシリッと固まった。
(くそ教師・・・覚えてろ)
美世は殺意の籠もった目で教師を睨み心の中で毒づくと、渋々柊斗と握手した。
(庶民のくせに・・・!)
皐月は悔しそうに歯を食い縛り、美世を睨んだ。
「先生ー!総代と次席がペアって狡くないですかー?」
そんな時、一人の男子生徒が手を挙げて言った。
(確かに!!その手があった!)
美世は希望の眼差しで教師を見るが教師は狼狽えた。
「それもそうだが・・・そうだ!二人以外は四人組になるんだ」
「だ、そうだ」
「終わった・・・」
柊斗に逆らえない教師は思い付いた様に言った。
そしてニヤリと笑い紙にキスをして言う柊斗に、美世は思わず天を仰いだ。
(コレ兄様に知られたら血の雨が降るんじゃ・・・)
柊斗の気持ちにいち早く勘づいた愛奈は顔を真っ青にしていた。
(言ってもアウト、黙っててもアウト。バレたら更にアウト)
どうにか出来ないか考えた愛奈だったが八方ふさがりだと諦めた。
「チームが出来た所で今後の説明をする。
チームは一年間同じだ。そして殆どの行事を一緒に行って貰う。そしてクラス対抗戦やギルド体験にも行って貰う」
「ギルド体験だってー」
「俺もう登録してるぜ!」
教師の説明に生徒達は思い思いの事を口にしていた。
初めてのギルドに不安そうな者、既に登録していて経験のある者様々だった。
「先生ーギルドってなんですか?」
「あぁ、知らない者もいるだろうから改めて説明するぞ」
(ギルドとか勘弁なんですけど・・・休むか)
教師の言葉が耳に入ってない美世は考え込んでいた。