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7話 ランク昇格

 



 ―冒険者ギルド・リッツバーグ支部―





 良かった……今日は受け付け嬢のみさりん♂はどうやら居ないようだ。俺の寿命が縮まずに済んだぞ。


「えと、ヒール草とキサラの実です!」

「はい、確かに受け取りました。依頼はこれにて完了です。そして、マリアさん、おめでとうございます! 今までの功績が認められて、マリアさんはEランクへ昇格となります♪」


 ヒール草とキサラの実を納品してから、受け付け嬢が笑みを浮かべながらマリアにお祝いの言葉を掛けた。


「え、本当ですか!? やっと……やっとFランクから卒業したよフランちゃん!」

「わんわん!(マリアおめでとう!)」

「マリアお姉様、おめでとうございます♪」


 余程嬉しかったのか、マリアが嬉し涙を流している。マリアは俺と出逢う前から、地道にどぶさらいや街の清掃に採取の依頼をコツコツとこなしていたんだもんな。マリアが喜ぶ姿を見るとこっちまで嬉しくなってくるぜ♪


「採取クエストや街の依頼は人気が無くて、受注してくれる冒険者がほとんど居なくてこちらも困っていました。マリアさんのような方はギルドに取っても必要不可欠なのです。これからも定期的に受けて貰えるとこちらも助かります」

「はい、これからもやらせて頂きます! 私は魔物退治に向いていませんので……私でお役に立てるようなら喜んで♪」


 マリアは受け付け嬢から、グレードアップしたギルドカードを受け取る。


「おお!」


 茶色のカードにはEランクと目立つように刻まれている。ランクが上がる事にギルドカードの色や質も上がっていくそうだ。下から、F、E、D、C、B、A、Sの順番だな。Fの時は真っ白な色だったが、今では茶色か。その上からはどんな色になるのだろうか? 少し気になるな。


「モニカちゃん、フランちゃん。晩御飯の食材買いに行きましょ! ノウェムちゃんも混じえて私の家でご飯食べよう!」

「おお! マリアお姉様の家にお邪魔しても良いのですか!? やったぁ♪」

「よし、では行きましょ♪」


 俺はマリアに抱かれながらギルドを出ようとするが、入口付近にイカつい山賊のような格好をした男達が俺達の前に立ち塞がった。


「デカ!? この姉ちゃん乳やばいな。しかも、俺の好みや」

「兄貴、今日はこの姉ちゃんに癒して貰いましょうか!」


 素行不良の男達がマリアをナンパしようとしている。この俺が目の前に居ると言うのに、良い度胸じゃねぇか!


「おい女! この方はな。遠方のアルシア王国で有名なDランク冒険者のザッコ様だぞ? 大人しく言う事を聞いた方が身のためだぞ?」

「おほぉ〜姉ちゃんええ身体しとるやないけぇ。俺達と楽しい事しないかい? グヒヒ……」


 マリアには指一本触れさせないぞ! この変態野郎!


「わんわん!《消えろ! 小童どもが!》」

「フランちゃん!?」

「あん? 何だこいつ……てか、魔物赤ちゃんか!?」

「おいおい、そいつは行けませんなぁ。俺達は冒険者だから、きっちりと討伐してやらねーとなぁ!」


 マリアの身体が震えている……俺を抱く力が強くなっている。怯えているのだろうか? 


「すみませんがどいてもらえますか?」

「通す訳には行かねぇなぁ〜おまえ、俺の女になれや。たっぷりと可愛がってやるからよぉ!」


 マリアは俺が守る! 今の俺に使える魔法は、【氷の魔球(アイスボール)】だけしか無いが、きっとコイツらに効くはずだ。


「マリアお姉様、ここはモニカにお任せ下さい」

「モニカちゃん駄目だよ! 危ないから!」


 モニカが杖を構えて前に出た瞬間、素行の悪い男達の背後から、眼帯をしているスキンヘッドのイカつい大男が現れた。


「おい、てめぇら……ここで何してやがるんだ?」

「なっ!? 何だ貴様は!?」

「あ、兄貴! こ、こいつは……C級冒険者の【隻眼のレイグ】!?」


 レイグと呼ばれた大男は、片手で素行の悪い冒険者の胸倉を掴んでドスの聞いた声で相手を詰める。


「おい、リッツバーグの高嶺の花……マリアちゃんに手を出すと言う事は、それ即ち死だ! 覚えとけ!」

「兄貴! 分が悪いです! ここは一旦引きましょう!」

「く、クソ! 覚えていやがれ!」


 素行の悪い冒険者達は、血相を変え大慌てでギルドから出て行った。あんだけ大口を叩いて置いて、無様に逃げる姿は実に滑稽だ。もう二度とうちのマリアには近付くんじゃねーぞ!


「あ! レイグさん!」

「マリアちゃん、大丈夫かい? 変な事されてないか? 怪我は無い?」

「はい、大丈夫です。 ありがとうございます」


 どうやら、マリアの知り合いだったようだ。見た目は人を殺して居そうな強面の顔をしているが、意外と話すと気さくで優しい冒険者の男だった。人を見た目だけで判断するのは良くないな。


「さっきの奴等、この辺では見ない顔だな」

「アルシア王国から来たと言ってましたよ?」

「そうか、世の中変な奴等は沢山居るからな。マリアちゃんも気を付けてな。また困った事があれば、俺も相談乗るからね」

「はい! 気を付けます! いつもありがとうございます」


 レイグは親指を立てた後、ギルドの受け付けカウンターの方へと行ってしまった。俺も早く強くなりたい……せめて、昔の暗殺者時代に鍛え上げた頃の感覚と力は取り戻したいな。


「お姉様、気を取り直して買い物に行きましょう! この街をついでに案内して欲しいですぅ♪」

「うん! じゃあ行きましょうか♪」


 俺達は3人で街に買い物へと向かった。食料品と生活に使う水と炎の魔石を購入して、散歩がてらモニカに街の案内をしてから帰路へと付いた。外は日が落ち始めて、夜の到来を告げようとしている。





 ◆マリア視点




「マリア、すまん。遅くなった」

「ノウェムちゃんおかえり♪ 晩御飯の準備はしてあるからお家へ案内するね♪」

「ノウェム様お帰りなさいませ! お疲れ様です!」

「モニカもありがとな。ご苦労様」


 晩御飯の準備が終わってから、丁度良いタイミングでノウェムちゃんから連絡があったので、私はモニカちゃんとフランちゃんを連れて街の噴水広場へ迎えに来ました。


「ガウッ!」

「フランも出迎えありがとな〜よしよし♪」


 あのツンツンしてるノウェムちゃんもフランちゃんの可愛さの前ではデレデレです♪ 今まで独りぼっちで寂しかったですが、フランちゃん、ノウェムちゃんにモニカちゃんと言った家族やお友達が出来て賑やかで嬉しいです。出会ったばかりですが、末永く今後ともお付き合いして行きたいです♪


「ノウェムちゃん、私のお家はこの道を真っ直ぐ行った所にあるの♪」

「悪いなマリア。あたいやモニカまで世話になってしまって」

「良いのよ♪ ノウェムちゃんにまだ恩も返せてないし♪ でも、期待はしないでね」


 私達は再び帰路へとつきました。夜の街は静かで、人通りも少なく月の光が川の水面に反射して、美しい光景が広がります。夜風に当たりながら散歩するのは最高です♪


「ノウェムちゃんはしばらくこの街に居るの?」

「あぁ、その事何だが、あたいはマリアの家の近くに引っ越そうと思ってる。また奴等に狙われるかもしれないからな」

「え、ほんと!? 何だか申し訳ないね……ノウェムちゃんが良かったらだけど、私の家で一緒に暮らさない? 狭くて何も無いボロい家だけど」

「ふむふむ、マリアが良いと言うのなら……それはこちらとしても都合が良い」

「やったぁ♪ じゃあ、今日から宜しくね♪」


 まさかのノウェムちゃんが、あのノウェムちゃんが! 私と一緒に暮らしてくれるなんて……嬉しい♡ モニカちゃんの方は、自分の家と仕事があるからと言われて先程断られちゃったけど、今後もこの街にちょくちょく遊びに来てくれるみたいです♪ そして、歩きながら喋ってると私のお家が見えて来ました。


「あ、ノウェムちゃんあれが私の家だよ♪」

「おぉ……めっちゃ年季入ってるな」

「最初は慣れないかもしれないけど、まあ住めば都だよ♪」


 家に到着♪ ノウェムちゃんも驚いてますね。最初にモニカちゃんを案内した時は、ノウェムちゃんと同じ反応をしていました。私は慣れてしまいましたけど、傍から見たらドン引きするようなボロい平屋ですからね。壁にはツタがビッシリ伸びて張り付いてるし。お金が貯まったらいつか新築の家を建てたいと思っては居ますが、現実は厳しいです……


「お邪魔するぜ!」

「お邪魔しますぅ〜」

「わんわん!」


 床が悲鳴を上げるかのようにギシギシと音を立てている。マリア達は靴を脱いでから洗面所で手を洗ってから食卓へと向かった。机の上には先程マリアが作ったシチューとパンが並んでいる。


「おお! 美味しそうだな!」

「はい、みんな席に付いてください♪ あ、フランちゃんは私の膝の上ですよ〜ミルク飲ませてあげるからね♪」

「わんわん!」


 さて、こんなに賑やかな食卓は何年振りでしょうか。私が喉から手が出る程欲しかった光景が、今私の目の前に……あれ? 悲しい訳では無いのに目から涙が……


「おぉ!? マリアどうしたんだ!?」

「お姉様!? うちのノウェム様が何か無礼な事をしてしまいましたか!?」

「わふ!?」


 ノウェムちゃん達が焦ったような表情をしています。私は悲しくて涙を流している訳ではありません。誰かと一緒に居られる事が嬉しいのです。


「ううん、大丈夫だよ。目に埃が少し入っちゃったみたい」

「そ、そうか。それなら良かった」

「マリアお姉様! うちのノウェム様が失礼な事をしたら言って下さいね! 調教……あ、間違えた。教育しますから!」

「ほう? モニカ、今調教と言ったよな? ではあたいが今から厳しい調教をしてやろうか!」

「ぎゃあああああぁぁ……!? ノウェム様落ち着いて下さい! 暴力変態!」


 あらあら、賑やかで良いですね♪ 思わず昔を思い出してしまいます。うふふ……今の私はもう独りではありませんね。


「はい、みんな手を合わせてご飯食べますよ〜」

「おう」

「ノウェム様は、もう少し部下に対して優しく接するべきですよぉ〜」


 私達は手を合わせて頂きますをしました。ノウェムちゃんもモニカちゃんもお腹空いていたのか、凄い勢いでご飯を食べています。


「おお! マリア、このシチューうめぇぞ!」

「あらあら、そんなに急いで食べなくても……ほら、お口に付いてますよ〜」

「な!? じ、自分で拭くから!」


 ノウェムちゃんの顔が赤いです♪ ノウェムちゃんはそういうのに耐性が無いのかもしれませんね。そういう子を見てると思わずお世話や意地悪をしたくなっちゃいます♡


「ノウェムちゃん、はいあ〜んしてください」

「なっ!? あたいは立派な大人……」

「食べてくれないの……?」

「わ、分かったよ! そんな泣きそうな顔をしないでくれ! 食べるから!」


 ノウェムちゃんは照れ屋さんですね〜あら、フランちゃんも食べたそうな顔をしていますね。尻尾フリフリさせちゃって♡


「フランちゃんも食べる?」

「わんわん!」

「はい、あ〜ん♪」


 フランちゃんもシチュー食べれるんだね……ホワイトウルフの赤ちゃんは何でも食べれるのでしょうか? 


「わふっ!」

「よしよし♪ 熱いから気を付けて食べてね♪」


 フランちゃんも美味しそうにシチューを食べています。後はミルクを飲ませてあげよう♪


「がぶがぶ……」

「フランちゃん、ゆっくり飲まないと駄目だよ? 美味しい?」

「わふ!」


 フランちゃん可愛いなぁ♡ もふもふ最高♪ さてと、ご飯を食べた後はいよいよ女の子同士でのイチャイチャイベントです! 




 ・・・お風呂場・・・




「お、おい。何でマリアもついてくるんだ?」

「え、ノウェムちゃんのお背中流す為だよ」

「あ、あたいは一人で入るから!」

「はいはい、じゃあ服を脱ぎましょうね〜」

「おい、こら! や、やめろおおお!!」


 女の子同士なのに何でそんなに恥ずかしがるのでしょう? とりあえずノウェムちゃんの服を剥ぎ取る事に成功しました♪ ノウェムちゃん、見た目に依らず大胆な下着を履いていますね♪ 黒色……しかも、胸にはパットが……


「な、何だよ! こっち見るな!」

「ノウェムちゃん……」

「何で……そんな暖かい目であたいを見るんだよ! うぅっ……貧乳で悪かったな! パット返せ!」


 ノウェムちゃんが可愛い! 無い胸を両手で隠すノウェムちゃんが……ノウェムちゃんの肌は白くて綺麗で物凄く艶がありますね。美少女ちゃんなのに、言葉遣いが少しあれですが、それもまたノウェムちゃんの魅力の一つとも言えるでしょう。


「ノウェムちゃん……よしよし♡」

「も、モニカにはパットしてる事絶対言うなよ! もしあたいの最高機密が知られたら……この手で消すしかない」

「それ程!? ノウェムちゃん大丈夫だよ〜パットしなくても貧乳……あっ」

「うぅっ……ぐすんっ」

「あぁ! ごめん、悪気は無かったの! ノウェムちゃん!?」


 ノウェムちゃんが泣いてしまいました。ノウェムちゃんを優しく抱きしめてあげるのですが、私の胸がノウェムちゃんの身体に触れた瞬間、ノウェムちゃんは涙腺が決壊したように大泣きしてしまいました。貧乳である事をめちゃくちゃ気にしていたようです。今更になって、罪悪感が……とりあえずノウェムちゃんを宥めよう。





―――――――――





 



 ◆ノウェム視点




「ノウェムちゃん、はい♪ お背中流しますよ〜」

「……」

「あらあら、まだいじけてるのかな? よしよし♪」

「べ、別にいじけて無いし!」


 何を食べたらこんなデカくなるんだよ……あたいにも分けて欲しいくらいだぜ。さっきは情けない姿を見せてしまったけど、あたいだって今まで色々と胸が大きくなるにはどうしたら良いのか、沢山考えたんだぞ!


「ノウェムちゃんは可愛い女の子だよ〜」

「あ、あたいは可愛くなんか無い! 良くみんなから男勝りでガサツで……女子力無いって……」

「ノウェムちゃん私の膝の上に()()()♪」

「あたいは大人だっつーの! 大体な……」


 な、何だ!? ニコニコ笑ってるけど……マリアのオーラが半端ない……あたいは今ままで、数多くの猛者や魔物とかを討伐して来たけど、何故かあたいの本能が告げている。こいつには逆らうなと……


「ひゃあっ……!?」

「うふふ……♡ ノウェムちゃんも女の子ですね〜そんな可愛い声出しちゃって♪」

「い、いい加減に……あっ」


 いつの間にかマリアの膝の上に座らされて、マリアにあたいの胸が揉まれて……身体に電流が駆け巡る様なこの快感。悔しいけど気持ち良い……


「ノウェムちゃん、私に身体を委ねて♪」

「……」

「良い子ですね〜よしよし♡ ムギュっ♪」


 暖かい……何故だろう。マリアに抱かれるだけで、不思議と心が落ち着く。まるで、遠い昔にママに……


「ママ……」

「え、ママ?」

「あ、ちげーよ! これは、その……あれだ! 言葉のあやだよ!」


 あぁ! あたいのバカ! 何でママって言葉が出て来るんだよ! しかも、あたいがマザコンだってバレちゃうじゃねーか!


「ノウェムちゃん? そんなに顔を赤くしてどうしたの?」

「別に赤くねーし!」

「私とママを勘違いしちゃったのかなぁ? ノウェムちゃん可愛い♡ 私の事ママだと思って、もっと甘えて良いからね♪」


 マリアの野郎ニヤニヤしやがって……マリアと一緒に居ると本当にペースが狂うぜ……しかも、あたいの身体にその豊満の胸を当て付けやがって! 貧乳に対する宣戦布告か!?


「一体何を食べたらそんなデカくなるんだよ!」

「ん? 別に何もしてないよ〜気付いたら大きくなってたの♪」

「くっ……あたいにも少し寄越せ!」

「やん♡ ノウェムちゃんのえっち」


 凄い柔らかく弾力のある胸だ。重量もどっしりとある。自分の胸と比較すると天と地の差がある程……何か揉んでて虚しくなって来たぞ。マリアとあたいの年齢もそんなに差は無い筈なのに!


「大丈夫、ノウェムちゃんはまだ子供何だから♪ まだ成長するわよ」

「あたいはもう19歳何だが……」

「…………きっと大丈夫よ♪」

「今の間は何だよ! どうせ……どうせあたい何か、魅力の無い貧乳女だよ〜ちきしょお!」

「ノウェムちゃんは何でそんなに胸にこだわるの? 私から見たら、ノウェムちゃん可愛いし十分に魅力的な女の子だと思うのだけど?」

「だって……男何てみんな胸がデカい方が良いのだろう……」


 この話しはやめだ! 話題を切り替えよう。埒が明かない気がするぞ。てか、身体と頭洗ったら早く出よう。


「こらこらノウェムちゃん、じっとしてなさい!」

「うっ……」


 恐ろしい奴だ……頭洗ってもらってるだけだが、それが何故か気持ち良い。不思議と嫌では無い気がする。今更だけど、誰かとお風呂に入るのは何年ぶりだろうか。今はあたいとマリアだけ……まあ、しょうが無いな。マリアが泣くと行けないし最後まで付き合ってやるか。


「マリア……」

「ん? チュッ♡」

「はわっ……!? いきなり何しやがるんだ!?」

「え、キスだけど。頬っぺたより唇の方が良かった?」


 あたいとマリアは女だぞ!? 女性同士キスするのはおかしくないか? お、おかしいよな!? 


「はい、洗い終わりましたよ♪ 後は寝る準備しなくちゃね♪」

「…………」

「うふふ……ノウェムちゃん大丈夫♪ ちゃんと調教……愛情を沢山注いであげるから♪」

「今、調教って言ったよな!?」


 あかん。マリアの目が完全にイッテやがる。あたいは今日は床で寝よう。マリアと同じベッドで寝たら……何されるか分かったもんじゃねえ。フランを抱き枕にして寝るか。


「ノウェムちゃん、ふきふきしますよ〜こっちにおいで♪」

「一人で出来るから! あっ……ちょ!? そ、そこは……ひゃあん……♡」


 誰かこの暴走エルフを止めてくれえええ!! 





 ――――――寝室にて――――――





「ノウェムちゃん、何で床で寝るの? フランちゃんを真ん中にして川の字で寝ようよ〜」

「あたいは床で十分だ。大丈夫だから」

「ふ〜ん。我が家はボロいから、床にゴキブリ出て来るけど良いの?」

「…………」


 ぐぬぬっ……あたいの苦手なアイツが居るのかよ! 一応危険度最下位とは言え……あたいの大嫌いな魔物だ。これは仕方無いな。ゴキブリと一緒に寝るくらいなら、まだマリアと一緒に寝た方がマシだ。


「わんわん!」

「フラン、おまえは相変わらずもふもふだな! おまえはあたいの抱き枕確定な!」

「わふっ!?」


 最高級のもふもふ抱き枕だぜ〜今日は早く寝ちまおう。


「フランちゃんもノウェムちゃんおいで♡ ママが一緒に寝てあげますよ〜」

「誰がママだ! この変態エルフ!」

「よしよし、照れ屋さん何だからぁ。ほら、フランちゃんもよしよし♡ ん〜可愛いでちゅね♪」


 モニカは飯食べたら、あたいに後は全て押し付けて帰るし……でも、部下が居なくて良かったかもしれないな。あたいのこんな恥ずかしい姿見られたら……威厳も尊厳もへったくれも無い。


「あたいはあっち向いて寝るからな!」

「素直になれば良いのに〜ムギュっ♡」

「…………」


 全く……しょうが無い奴だな。まあ、誰かに抱かれるのは嫌では無いけど……ふむ、暖かいな。


「あらあら♪」

「今日だけだからな! モニカには絶対言うなよ!」

「はいはい♪」


 何と言う包容力だ。何だかママと一緒に寝た記憶が蘇るな。だけど、今ではもう……


「ノウェムちゃん、どうしたの? 何か辛い事でもあった? マリアお姉ちゃんに話してみて♪」

「何でも無い! 目にゴミが入っただけだ」

「わんわん!」


 フランの毛並みは艶があって綺麗だな。少しヒンヤリしてるし、枕にしても良さそうだな。あたいもペット欲しいな。


「マリア、フランをあたいにくれよ」

「駄目ですよ〜でも、ノウェムちゃんが私の妹になってくれるなら考えなくも無いかな〜♪」

「わふ!?」

「フランちゃん、冗談だよ♪ フランちゃんは誰にも渡しませんよ〜」


 何でマリアはあたいの事をそんな気に掛けるのだろう?


「こらこら、フランちゃんは大人しく私にモフられなさい!」

「きゅうん……」

「ぐへへ……気持ち良い……あら? そんな可愛い顔して私をじらしてるのでちゅか?」

「わんわん!」

「うふふ♡」


 マリアとフラン、中々に良いコンビじゃんか。あたいはそろそろ寝るとしよう。


「ノウェムちゃんムギュっ♡」

「…………」

「あれ? ノウェムちゃんもう寝ちゃった? ほほう……キスし放題だね!」

「撫でて……」

「え、ノウェムちゃん今何て?」

「…………」


 マリアはあたいの頭を優しく撫でてくれた。あたいは少し恥ずかしい気持ちもあったが、今は恥を捨てても良いかもしれない。ママやパパが死んでから、死に物狂いで強くなろうと努力をして来た。妹のアシュリアを守る為、姉として色々と頑張って来た。でも、あたいも本当は誰かに甘えたかった。私は普段強がっては居るけど、本当は……


「すぅ……すぅ……」

「ノウェムちゃんおやすみ♪ さて、フランちゃんもそろそろ寝よっか♪」

「わふ!」


 今宵は良い夢が見れそうだ。









こんばんみー! 二宮です!


ブクマと高評価ありがとうございます! 私の拙い作品を読んでくれて感謝です!



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書く意欲に繋がりますので、よろしくお願いします!



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