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6話 シャルマーレ城・盟主レオノーラ

 



 ◆ナイトメア本拠地・シャルマーレ城◆




 霧が濃く、先の見えない黒海に浮かぶ小さな孤島。周りは嵐のように風や波が吹き荒れ、雷が至る所に激しい音を立て落ちている。そんな荒れた場所の中心に位置する孤島の中央には、全体を黒を基調とした中世のお城を連想させるような巨大なお城が存在感を放つように建っていた。孤島の中は魔法による結界で守られており、外からの侵入者が簡単には入れないようになっている。


「久しぶりに来たな……シャルマーレ城」


 この地はナイトメアの最高幹部クラス、又は盟主様に認められた者しか入れない特別な場所だ。ナイトメア創設者であり、いと尊き御方、レオノーラ様がお住いになられている神聖で特別な場所である。幹部達はそれぞれに転移の効果が付いたリングを指に嵌めているので、この最果ての海まで一瞬で転移で移動して来れるようになっているのだ。しかし、この魔道具は盟主様が作られた特別製の物で、転移の効果が発揮するのは1日3回までであり、転移の効果もシャルマーレ城の場所のみと限定されている。他の場所へ好き勝手に転移が出来る訳では無いので万能では無い。


「もう他の仲間は集まっているのか?」


 ノウェムは床が大理石で出来たお城の廊下を進む。天井や壁には豪華な装飾品やシャンデリアが並び、その価値は如何程になるのか計り知れない物ばかりだ。ノウェムの目的地は、シャルマーレ城の10階にある円卓の間。主に幹部会等に使われる会議室である。


「しかし、本当にデカい城だな。何処ぞの魔王の城だよ」


 何度か来ているけど毎度圧倒されてしまう。盟主様の財力はどれ程の物なのか、あたいには全く想像がつかないぜ。


「お? あれは……」


 廊下を抜けた先のエントランスに見覚えのある人物が立っていた。


「ルーナ姉! 久しぶりだなぁ!」

「その声は……ノウェムちゃん? お久しぶりでして〜♪」


――――――――――――――――――――――――

 執行者No.IV 【月影の巫女】

 ルーナ・ユースティア


――――――――――――――――――――――――


 艶のある腰まで届く長い髪に、服装は上は白、下は赤の巫女服を華麗に着こなしている。身長は170cm、穏やかで優しそうな雰囲気の和風美人の女性だ。右目の下に小さなホクロがあり、大人の女性の色香を充分に醸し出している。


 ルーナの主要武器は剣。腕前は、剣聖の領域にも達している。独自の月影流と言う流派を編み出し、魔法と上手く組み合わせて戦う戦闘スタイルで数多くの強敵を打ちのめして来ている。面倒見も良く、女の子が大好きでドSな性格の持ち主だ。


「ノウェムちゃん、元気にしていましたか?」

「おうよ! あたいは何時でも元気100倍だぜ!」

「クスクス……なら良かったです。円卓の間まで御一緒しても?」

「勿論だよ! え、ルーナ姉……その手は一体……」


 ルーナ姉が手を繋ごうと言わんばかりに無言で笑みを浮かべている。ルーナ姉は優しくて、あたいも憧れている女性だけど、怒らせると物凄く怖いお姉さんだ。執行者達の中でも実力は上位に入っており、あの生意気な変態ピエロでさえ唯一逆らう事が出来ない。執行者の中で序列とかは特には無いけど、誰もルーナ姉に逆らおうとする者は居ない。


「ルーナ姉? あたいはもう19歳だぞ?」

「私から見たらまだまだ可愛い妹です♡ おてて繋ぎましょう♪」

「え、でも……」

()()()()()()♡」

「…………」


 くそ! 恥ずかしい! こんな所、あの変態ピエロに見られでもしたら……また馬鹿にされるぞ!? どうか道中であいつに出会いませんように!


「ノウェムちゃん少し身長伸びた?」

「え、どうだろ。あんまり実感は無いけど」

「うふふ……前より更に可愛くなりましたよ♪ みんなと会うのは2年振りくらいかしらね?」

「あ、あたいが可愛い……そうだな、皆他の国で動いているから中々集まる機会は少ないもんな」


 くそ! ルーナ姉からめちゃくちゃ良い匂いがする。何で女のあたいがこうもドキドキしているのだ……手も柔らかくて……あたいは一体何を考えているのだ!? そうだ、意識するから行けないのだ! 他の話題で気を紛らわせよう。


「ルーナ姉、実はあたいからも報告する事があるんだ!」

「ん? 何かしら?」

「マグリウス共和国のアルメニア大森林で、奴等と出くわした」

「まさか、狂精会(リビド)ですか……?」

「あぁ、敵の数は10人程度だったが、その中に幹部クラスと思われる猛者が一人混じっていた。まあ、逃げられたけどな」

「そうですか……何にせよノウェムちゃんが無事で良かったです。もし、何かあれば私を頼ってね♪ 私の妹分のノウェムちゃんに傷を付ける輩が居たら……地の果てまで追い掛けて斬り捨てますので♪」

「お、おう。ありがとう。ルーナ姉が力を貸してくれるなら万の軍勢が味方に付いたようなものだぜ!」


 後もう1つあるな。マリアの事も報告しておこう。後で皆の前でも言うけどな。


「ルーナ姉、それともう1つあるんだ。精霊の森、リッツバーグの街に生き残りのエルフが居たんだよ! しかも、盟主様が探していた王族の生き残りだ!」

「え!? 生きていたのですね……ノウェムちゃん、大きな収穫ですね♪」

「あぁ、あたいの探し求めている物がやっと手に入るかもしれない……」


 あたいにはかけがえの無い大切な妹が居る。だけど、幼い頃から重度の病で、妹はベッドでほとんど寝たきり状態だ。父も母も早くに亡くして、あたいと妹の2人で必死にこの腐った世の中を生き抜いて来た。妹を守るためにあたいは何だってして来た。血反吐を吐く様な努力をして、今の力を手に入れた。理不尽という名の暴力に負けない為に……



そしてノウェムとルーナは目的の場所へと到着する。



「ノウェムちゃん、着きましたね♪」

「あぁ、円卓の間……」


 ノウェムはルーナと手を繋ぐのを止めて、扉を開き重々しい雰囲気の円卓の間へと入った。部屋の中に入ると室内は赤い絨毯が敷かれており、中央には巨大なテーブルと十二の席が設けられている。一番上の上座には盟主様が座られる玉座があるが、盟主様はまだお見えにはなって居ないようだ。


「来まシタカ。貧乳小娘」


 部屋に入ると執行者達が席に座っていた。ノウェムとルーナが来た事により、ほとんどの執行者達が円卓の間にて集結する。


「あぁん? 何だ変態ロリコンピエロ、来た早々にあたいに喧嘩売ってるのか? そのキモイ赤っ鼻へし折ったろか?」

「イヒヒ……雑魚は良く吠えると言いマス。私とやると言うのデスカ? 貧乳小娘……おっと、これは失礼。貧乳じゃなくて絶壁でしタネ! 立派な壁だコト」

「ラクリマ………もう許さねぇ……ぶち殺す!」



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅴ 【 笑う道化師⠀】

 ラクリマ・オペランディ

 ――――――――――――――――――――――――



 身長は196cm、鮮やかな水玉模様のヨレヨレの服を着たピエロみたいな格好をした男性だ。特徴的な丸い赤っ鼻にヘビメタのような化粧をしており、悪魔を連想させる容姿をしている。ラクリマの種族は【妖魔種】と言う珍しい種族で、主に闇魔法を得意とする。性癖は幼女が三度の飯より大好きで、良く奴隷の女の子を買っては弄んで楽しむという救いようの無いクズだ。ノウェムとは昔から犬猿の仲である。


「久しぶりに遊んでやりマスヨ。貧乳小娘!」

「ゴミの分際で……どちらが上か分からせてやる!」


 久しぶりに再起不能になるまで叩き潰してくれるわ!


「イヒヒ……! 派手に踊り狂いなさい! 行けお前達!【 操り人形達の舞踏(マリオネット・ダンス)⠀】!」


 ラクリマの周囲に継ぎ接ぎだらけの人形が複数体浮かび上がった。人形達はそれぞれに意思があるかのように動き出しノウェムを襲う。


「相変わらず趣味の悪い人形だな! キツイのお見舞いしてやんよ! 」


 ノウェムが見えない壁を右手でトントンと叩くとそこを起点にパキパキと空間にヒビが入って行く。



【 月影の太刀 壱ノ型(いちのかた) 月光乱舞⠀】



 ラクリマの召喚した人形達が、ルーナの剣技により一瞬にして全て斬られ消滅した。ルーナが二人の戦いを仲裁しようと動いたのだった。


「ねぇ、ラクリマ? 私の可愛い妹分のノウェムちゃんに意地悪したら……殺しますよ♡」


 ルーナがラクリマにヤンデレのような目付きをして、凄まじい殺気を解き放つ。


「げっ!? ルーナ!?」

「何ですかその反応は? 死にたいのですか?」

「い、いえ……な、何でも無いデス……」

「うんうん♪ 仲良くしないとメッ!ですよ?」


 正直ラクリマとは犬猿の仲ではあるけど、恐らくお互い本当に嫌いと言う訳では無いとあたいは思う。こんな救いようの無い変態だけど、ラクリマは仲間や配下の者を凄く大切にしている。あたいが任務でしくじって、敵に追い詰められた時も真っ先に駆け付けて来てくれたのが、意外にもこの変態ピエロだったんだよな。


「お前達は相変わらずだな」

「ガッハッハッ! 良いじゃねぇかウェンクトゥーラ! 喧嘩する程仲が良いと言うしな!」

「ウェンクトゥーラ! アイゼンベルク! 久しぶりだなぁ!」

「あぁ、息災だったかね?」

「いつぶりだろうな。しかしまあ、ノウェム嬢とラクリマの喧嘩は最早恒例行事だな」



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅶ 【 死神 】

 ウェンクトゥーラ・ベートリ


 ――――――――――――――――――――――――



 身長は185cm、全身に包帯を巻きその上から黒いロングコートにシルクハットを被っている。年齢は40代後半の壮年の男性だ。表では、偽名を使いオーロット商会の会長等を務めており、聡明で文武両道に秀でた人物だ。ナイトメアの初期メンバーの一人で配下からの信頼は厚い。葉巻を愛用している。



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅷ 【 幽冥の支配者 】

 ネクティオ・アイゼンベルク


 ――――――――――――――――――――――――


 温厚な性格の熊型の獣人族。身長は230cmの大男だ。片目に眼帯をして、全身フルプレートの装備を着用している。アイゼンベルクは歴戦の戦士と言った風格で、黄金に輝くハルバードを片手に敵を蹂躙する戦闘スタイルだ。アイゼンベルクには、最愛の幼い一人娘がおり名をシュナと言う。クマっ娘で人懐っこい性格をしていて、父のアイゼンベルクはもう強面顔も破顔する程にデレデレだ。



「ノウェムちゃん♡ 久しぶりに(わらわ)と〇〇〇しよ♡」

「お! キャロム久しぶり! てか、あれは絶対にしないからな!」

「遠慮しなくても良いのじゃぞ? ノウェムちゃん、今宵は寝かせないのじゃ♡」



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅵ 【 常闇の女帝⠀】

 キャロム・ベルマーレ

 ――――――――――――――――――――――――



 身長は175cm。漆黒のチャイナドレスに黄金の煌びやかな扇子を片手に持ち、常にカリスマ性溢れるオーラを放っている。アメジスト色のボブカットヘアーに耳にはピアスを開けており、キリッとした綺麗な緑色の瞳に少し口角の上がった口が特徴的だ。そして、重度の同性愛者でありドSな女性でもある。




「はぁ……眠い。お家帰りたい」

「バードウェイ! お前は相変わらず小さくて可愛いな!」

「いちいち騒ぐな、やかましい……私はこう見えても25歳、ノウェムより歳上何だが?」

「よしよし♪ あ、飴ちゃん食べるか?」

「だから子供扱いするなっ!」



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅹ 【 金色の観測者 】

 オーロット・バードウェイ

 ――――――――――――――――――――――――



 身長は125cm。男見たいな名前だが、見た目は小学生くらいの黒髪ツインテールの女の子だ。目は大きくぱっちりとしていて、歳相応のあどけなさを残し庇護欲が唆られる様な愛らしさを兼ね備えている。基本面倒くさがり屋でズボラな性格だけど、研究に打ち込む時だけは息を忘れたかのように物凄く熱心に励む。白衣を身に纏い、眠たげな顔でいつも気だるそうにしている。大人びた幼女と言った所だ。見た目によらず、バードウェイは殲滅魔法や回復魔法を得意とする。



「おい、貧乳小娘! 私の可愛いバードウェイちゃんにちょっかい出してるじゃないデスヨ!」

「おいおい、頭お花畑変態ピエロ。薬でもキメてるのか? お前のじゃなくて、()()バードウェイだろ?」

「2人ともやかましい……そして、ラクリマは死ね」

「なっ!? バードウェイちゃん!? 何故私ダケ!?」

「サンドバッグ風情が……大人しくサンドバッグらしく静かにしていろ、このゴミ虫が……死ね」

「なっ!? 何でショウカ……バードウェイちゃんに罵倒されると何だかゾクゾクしてしまいマス! これはまさか、恋なのデスカ!?」


 バードウェイは基本的に毒舌だが、たまにデレる事もある。表の顔はアルカナム研究所の最高責任者だ。アルカナム研究所はナイトメアが創設した研究所である。


「バードウェイちゃん、分かりますよぉ。ラクリマ見てると八つ裂きにしたくなる顔をしていますよねぇ♪」

「シャルロッテ! お前は黙らっシャイ! このイカれた聖女め……」

「あらあらぁ、ラクリマ、貴方の身体の断面を私に見せてくれると言うのかしらぁ?」



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.IX 【 破滅の聖女 】

 シャルロッテ・ランカスター 

 ――――――――――――――――――――――――



 身長170cm。常にニコニコしながら、争いとは無縁のような穏やかな笑みを浮かべている。長い金髪の艶のある髪の毛、うっとりとしたような目に口の右下に小さなホクロがある妖艶な爆乳美女。修道女のような格好をしていて、胸元に十字架のネックレスを常に首から下げている。見た目からは想像はつかないが、かなり好戦的な性格で、懺悔しながら敵を真っ二つにしたり魔物や人間の断面を見るのが好きという狂気な一面もある。シャルロッテの固有スキル【 災禍の狂乱(ディザスター)⠀】は、血を浴びれば浴びる程狂気に満ちて行き、全ステータスが一時的に上がり続けると言うチート並の能力だ。他の執行者達も化け物級に強いが、その中でもシャルは頭が一つ飛び抜けていると言っても過言では無い。



「静粛に、皆揃ったようですね。執行者の一人、フラムベスタ・アレクトーはとある件で参加は欠席です。さて、時間も有限ですので、これから幹部会を始めます」

「ほぉ! 揃ってますなぁ〜盟主はん。ささ! こちらへ」


 円卓の間に最後の執行者の2人と盟主様が到着なされた。盟主様の両隣りには、執行者のセプテムとオクトーが控えている。



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅰ 【 超越者 】

 セプテム・ケレブレム

 ――――――――――――――――――――――――




 身長は182cm。種族は龍人族で丸いメガネをしているインテリ風な優男だ。盟主様が不在の際には、執行者達のまとめ役も担っており、ナイトメアの知略の部分を主に担当している。



 ――――――――――――――――――――――――

 ◆執行者No.Ⅲ 【 殲滅王 】

 オクトー・ザレフキア

 ――――――――――――――――――――――――



 身長183cm、爽やかでつり目が特徴な青年だ。白と黒の袴を羽織り、懐には様々な暗器を仕込んでいる。生物が絶命する瞬間と破壊や殲滅に喜びを見い出しており、敵対勢力には一切の慈悲の欠片も無い男だ。独特な喋り方に気さくな性格ではあるが、カルマ値はマイナスの方に振り切っている。



 《皆さん、お忙しい中集まって頂きありがとうございます》



 。.。:+* ゜ ゜゜ *+:。.。:+* ゜ ゜

 ◆ナイトメア創設者・盟主 【 ???⠀】

 レオノーラ・フォン・リアス・ルージュ・ステイシア

 。.。:+* ゜ ゜゜ *+:。.。:+* ゜ ゜



 ナイトメア創設者にして、最も謎多き人物でもある。ナイトメアの執行者達もその素顔を見た物は少ないと言われている。普段は賢者が着るような白いロープを被り、頭は深くフードを被り徹底して素顔は隠されている。儚さの残る透き通った美しい声を聞く限り、女性だと言うのが分かるくらいだ。



「盟主様の為ならば我等一同!何処へでも駆け付けます!」

「私達は、盟主様に絶対の忠誠を捧げておりマス!」

「ご命令とあれば即座に!」


 執行者達は全員その場で立ち、盟主に最大限の敬礼をする。盟主はそれらを手で制して、着席するように皆に促した。


 《さて、今回皆に集まってもらったのは他でも無い。狂精会(リビド)の件についてと今後の方針と対策です》


 盟主はため息をつきながら、重々しい雰囲気で事の内容を執行者達に伝える。


 《ラクリマはもう知っているかと思いますが、先日マグリウス共和国、フロンターレの街にあるナイトメアの支部が襲撃されました。支部は全壊、死者は78名、ラクリマ直属の配下アルファス・カラステア及びミナス・メルクリアが重症》


 各執行者は驚きに満ちた表情を浮かべていた。


「おいおい、アルファスとミナスが……あの二人が負けたのか!? 実力はAランク冒険者や騎士団長クラスにも匹敵する奴らじゃねーか!」

「ほう? 狂精会(リビド)の奴等は我々に喧嘩を売ってきたと?」

「ガッハッハッ! 狂精会何ぞ、この俺、アイゼンベルクが全て捻り潰してくれるわ!」

「妾の力をふるう時が来たのじゃな」

「あぁん♡ ゾクゾクして来ちゃう♡」


 あたいからも報告しておかないと行けないな。


「盟主様、実はあたいの方からも報告が2件あります」


 《ノウェムちゃん、何でしょうか?》


「あたいも先日アルメニア大森林に調査に出向いた際に、狂精会の……恐らく幹部級と思われる者と接触しました。名はベルク=ハーゲン……逃げられましたけど、敵はかなりの手練かと」


 《なるほど、ノウェムちゃんが無事で何よりです。あんまり無理はしないで下さいね?》


「ご心配ありがとうございます」


 《狂精会は目的を果たす為ならば、どんな残虐な行為も平然と行う慈悲の欠片も無い連中です。裏では非合法の裏カジノ、人身売買に薬物など多岐に渡ると聞きます》


 静観をしていたラクリマが重々しい声で言葉を発した。怒りと悲しみに憎悪と言った様々な感情がラクリマの中で渦巻いている。


「そんな連中にアルファスとミナスは、やられたのデスネ……手塩にかけて育てて来た部下達ガッ! 許せマセン……この世とありとあらゆる苦痛を与えて殺してやりマス! 盟主様、どうかこのラクリマ・オペランディに狂精会の討伐をお命じ下さいマセ! 今すぐにでも行って暴れて来てやりマスヨ!」


 《ラクリマ、気持ちは分かりますが落ち着きなさい。敵は強大な組織です。そして、アレクトーに調査お願いをした結果、マグリウス共和国、アルシア王国、バスティール帝国、カーデナル聖王国に奴等の拠点があるそうです。もしかしたら、まだ他にも拠点はあるかもしれませんが、また分かり次第報告します》


 ナイトメアと狂精会(リビド)の全面戦争が始まるのか……あたいも今よりもっと強くならなくちゃ! 後はマリアの件だな。



「盟主様、2つ目なのですが、アルメニア大森林でハイエルフを保護致しました」


 《ハイエルフ? まさか……まだ生き残りが生きていたのですね。その子の名前は?》


「マリア・ステイシアです」


 《マリア!?》


 普段冷静沈着の盟主レオノーラ様が狼狽えている!? どういう事だ? それとも違うマリアさんと勘違いしてる? まあ、世の中は広いからなぁ……同姓同名の奴も居るかもしれんし。


 《ごほんっ……報告ありがとうございます。ノウェムちゃん……彼女を何が何でも守るのです。必要であれば他の執行者達にも協力を仰いで下さい。後、私の名前は決して出さない事》


「はい! このノウェム・カルデリア! 必ず任務を遂行させて見せます!」


 ハイエルフのマリア……色々と調べて見る価値はありそうだな。しかも、盟主様の勅令が下るとはな。盟主様がマリアの名前を聞いて狼狽えていたが、マリアと何かあるのだろうか?


 《では、皆さん。これからナイトメアは狂精会との全面戦争に突入して行く事でしょう……何か異論はありますか?》


 執行者達は、全員無言で同調の意を示した。




 ◆執行者No.Ⅰ 【 超越者 】 

 セプテム・ケレブレム



 ◆執行者No.Ⅱ 【 血濡れ姫 】 

 ノウェム・カルデリア⠀



 ◆執行者No.Ⅲ 【 殲滅王⠀】 

 オクトー・ザレフキア



 ◆執行者No.Ⅳ 【 月影の巫女⠀】

 ルーナ・ユースティア⠀



 ◆執行者No.Ⅴ 【 笑う道化師⠀】 

 ラクリマ・オペランディ 



 ◆執行者No.Ⅵ 【 常闇の女帝⠀】

 キャロム・ベルマーレ⠀

 


 ◆執行者No.Ⅶ 【 死神⠀】

 ウェンクトゥーラ・ベートリ 



 ◆執行者No.Ⅷ 【 幽冥の支配者⠀】 

 ネクティオ・アイゼンベルク⠀



 ◆執行者No.Ⅸ 【 破滅の聖女⠀】

 シャルロッテ・ランカスター



 ◆執行者No.Ⅹ 【 金色の観測者⠀】

 オーロット・バードウェイ



 ◆執行者No.XXⅠ 【 不死鳥⠀】

 フラムベスタ・アレクトー




 《狂精会をこの大陸から排除致します。全面戦争です》




 ナイトメアの会議はこの後もしばらく続いたのであった。



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