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64 オークション
ニューヨークのオークションに曼陀羅が出品された。
時代は定かではないが、年代測定により明代以前の物だと云われる。出典は明らかにされていない。当初云われた曼陀羅ではなかった。如来を菩薩らが囲む浄土の世界を現すものではない。
釈迦の前世、輪廻を刺子で描いた捨身虎児と云われるものだった。
大きさは、30cm×60cmの縦長、下に瀕死の虎の親子が描かれ、上には親子に身を捧げるべく投身する釈迦の前世が描かれていた。
入札最低価格は300万ドルに設定されていた。
サッコはPCの画面を見ていた。
「始まった」
ソファーに座っている皆が顔を上げる、柴田が小さく手を挙げる。結果が分かれば良いだけである。音量を大きめにして、サッコはPCから離れる。そのうち、ハンマーの音がするだろう。
結局、落札額は1000万ドル。円に換算しても、意味はもたない。




