49 祀り
日本の盆の様に、屋台が並んでいた。千田も嫁と一緒に、たこ焼きの代わりに海老の入った海老焼きを作って、呼び込みに忙しい。
千田の運んだ荷は、寺の地下に運ばれていた。千田は荷の中身は知らない。
地下には柴田とサッコ、ミキ。師とホー、そして大統領と文化省大臣がいる。
外には、軍の兵士が住民に気付かれぬよう配置されていた。
柴田はシートにくるまれた段ボール箱を開けた。黄金色の仏陀像が現れた。師が手を合わす。
「この像は、師に返します。」
柴田は師を見る。師は頷く。
「直ぐにでも、国宝となるでしょう」
大統領が言う。
「他の美術、工芸品は国に引き取って頂きたい」
柴田が重ねて言う。
「分かりました」と、大臣が言う。
「お願いがあります」
柴田は大統領を見た。
「何でも」
大統領が応える。
「この像は、ここに安置するべきものですが、これを知る異邦人がいます」
「それは」大統領が聞く。
「戦時、これらを略奪した将校だと思われます。ここに運び込むに際し、ダミーを使いました。その時、私兵が、私達の前に現れました。とりあえず、私達ができるのはここまでです。近くに小屋があります。そこに、監視の兵を常駐して頂きたい。それが誰なのかは調べてみます。大統領におかれましては、アメリカ政府に内密にコンタクトをとっては如何かと思います」
大統領は思案し、答えた。
「ありがとう。その様にいたしましょう」
日が暮れ。太鼓の音が響く。盆踊り、その輪には大統領や柴田たちがいた。
ホテルに戻り、サッコは受話器を取る。相手は、フランスに戻り、若くして将校となったギョーマンである。




